「習慣を変えればお金が貯まるようになる」。その考えは改めたほうがよさそうです

お金が貯まる風水? それはほとんど無意味です

ネットで検索をすると、「こうすればお金が貯まる!」といういくつかのヒントが紹介されています。たとえば……

・長財布を使うとお金が貯まる
・財布の中でお札を同じ向きにそろえるとお金が貯まる
・靴をちゃんと磨いているとお金が貯まる
・黄色のモノを身につけるとお金が貯まる
・トイレを掃除するとお金が貯まる
・本物志向で高級品を買う人はお金が貯まる

なんてことをすると、お金が貯まるそうです。

習慣を変えればお金が貯まるようになりますよ、というメッセージはいろんなところでネタになっています。雑誌のコラムになったり、ネットの読み物になったり、テレビで紹介されていたりと話題に事欠きません。

おそらくいくつか試してみて「でも貯まらなかったなー」という人は多いと思います。でも、ラクしてお金が貯まるなら、と時々試している人は多いのではないでしょうか。もちろん、お金が貯まらない人には、ちゃんと貯まらない理由があります。

発想の逆転からお金のヒントを見つけ出すマネーハックのアプローチで、「お金が貯まる風水を参考にしてもお金が貯まらない理由」を考えてみたいと思います。

風水のような習慣でお金が貯まらないのは、「理由」がないから

おそらく、「お金が貯まる○○」をまねてみる人の本音は、「苦労はしたくないけどお金は貯めたい」なのだろうと思います。ラクをしてお金が貯まるなら、こんなに助かることはありません。

あるいは、「毎日の買い物を何も削りたくないけど、貯まるなら貯めたい」と考えているかもしれません。これも、日々の生活でガマンせずお金が貯まるなら、これほど嬉しいことはありません。

「風水系」や「お金を大事にする系」の習慣の多くは、結局のところあなたの実際の消費生活を何も変えてはくれません。だからお金が貯まる変化が生じないのです。もっとはっきりいってもいいでしょう。あなた自身に、その習慣によってお金が貯まる理由がないのです。

本当にお金が貯まる習慣は、ちゃんと理由がある

もし、本当にお金を貯めたいのであれば、お金が動いて消費しないところにプールされたり、実際にお金が使われずとどまったりするような、実効性が伴うような習慣を考えるべきです。

「お金が動いて消費しないところにプールされる」の例としては、自動引き落としで定期的に一定額を定期預金にする、つまり積立定期預金を組む方法などがあります。「実際にお金が使われずとどまったりする」方法としては、実際に必要な額より少なく(例えば10,000円ではなく8,000円おろす)ATMで引き出すことを繰り返すような方法があげられます。

こうした習慣にはちゃんと理由がありますから、実行すればお金が貯まる可能性が高いでしょう。少なくとも風水に出費してみたり、お札の向きをそろえるよりは効果的です。

習慣というより、多くは「最初のしかけ」だけで決まる

さらにいえば、「お金が貯まる習慣」の多くは、毎日努力することよりも、何かちょっと仕掛けを作って自動化することのほうが効果的です。

先ほどの自動引き落としなどは、最初に一度だけ銀行で手続きをする必要があります(最近ではWEBで手続きが完結することもある)。その面倒だけはどうしようもありませんが、手続きさえしておけば、「指定日に指定金額を自動的に積み立てる」という習慣は確実に実行されるようになります。

何かATMで手続きをする必要もありませんから、サボることもありません。面倒だから貯めるのを怠る、というようなこともないわけです。貯めたくないからと強制ストップするのも銀行で手続きが必要ですから、そのまま継続して「習慣化」される可能性が高まります。

以前、『お金が「貯まる人」と「なくなる人」の習慣』という本を出したのですが、考えれば考えるほど、「風水系」や「お金を大事にする系」の習慣は役立たずだなと思いました(もちろんそんな習慣は紹介していません)。

上手に自分を巻き込んで、お金が貯まる人になる「習慣」を選んでみてください。
(文:山崎 俊輔(マネーガイド))