貯蓄ができない要因のひとつに、「貯蓄の仕方」があります。余ったら貯蓄ではなく、先取りしてコツコツ積み立てていく積立貯蓄。これこそが、あなたを「貯蓄できない」から卒業させてくれる、実に有効な手段なのです

1000万円目指すなら貯蓄を習慣化させることが第一歩

貯められない人は、どうすればいいのか。先に答えを言いましょう。今月から積立貯蓄を始めることです。「それを積み立てるお金がないんです」という人もいるでしょう。しかし、収入が大幅にダウンした、あるいは教育費がピークを迎えている、などの理由で一時的に貯蓄できないというケースを除いて、その多くが貯蓄できる家計なのです。

積立貯蓄は、「貯蓄できない」という人ほど効果的です。その理由は、給与や金融機関口座から貯蓄分を「先取り」できるからです。貯め方の基本は「収入-貯蓄=生活費」を毎月継続することですが、この形をいわば強制的に作ってくれます。もちろん、積立貯蓄を続けるには、差し引いた分で家計をやりくりしなくてはなりません。それでも、工夫と多少の我慢で、スタート時は少額でもいいので積み立てていく。そういった家計管理が習慣化することで、きっちり貯められるようになるのです。

また、積立貯蓄には当然、利息が付きます。しかし、ご存知のとおり、今や超低金利時代。積立定期預金の利息も、ときおり0.3%台が登場しますが、全体としては0.2%あれば高い部類といった状況です。

ではそれで、どの程度増えるのか。それを示したのがこの表です。月1万円を30年間積み立てると、金利が0.1%でも約364万円貯まります。税引後の利息は4万3000円ほど。「たったこれだけ?」と感じる人がほとんどでしょう。しかし、着目すべきは利息ではなく、総額そのもの。元金ゼロからのスタートでも、継続さえすれば364万円も貯まるという、その事実にこそ意味があるのです。

さらに、より積立貯蓄の効果を高めたいなら、ボーナス月に増額する方法がおススメ。たとえば、ボーナスから年間10万円貯蓄に上乗すると、たとえ金利が0.1%でも30年間の積立総額は668万円(税引後の元利合計額)、年間20万円なら971万円に達します。

目的、用途に合わせて積立商品を選ぼう

では、どんな貯蓄商品で積み立てればいいでしょうか。基本は自動積立。給与天引きや口座から、指定した積立分が引かれます。ボーナス併用や積立額の変更もできますので、まずは「頑張ればできそう」な金額から始めてください。多くの商品が1000円単位での設定ができます。

具体的な商品ですが、勤務先に給与天引きの財形貯蓄制度があれば、それを利用してもいいでしょう。一般財形貯蓄、財形住宅貯蓄、財形年金貯蓄の3種類あり、貯蓄目的に合わせて選べます。また、財形年金と財形住宅を合わせて元利合計550万円まで非課税の他、財形住宅は最高4000万円までの融資が受けられるというメリットもあります。

口座引き落としなら、自動積立定期を利用します。給与が振り込まれる金融機関で、給与が振り込まれる日に積立日を設定しておくと、確実かつ便利。また、金利は、その金融機関のスーパー定期と同じに設定されるのが一般的です。ただし、金利自体は金融機関によって、あるいは時期によっても異なりますので、そこは要チェックということになります。

また、金利とは別に、利息の付き方として「単利」と「複利(半年、年)」の違いもあります。単利は利息が元金に組み込まれないタイプで、複利は組み込まれます。したがって、複利型の方が増え方では有利となりますが、金利が1%以下であったり、積立額が少額であれば、長期間積み立てても大きく差は出ません。

利用する金融機関にスイングサービスがあれば、それを組み合わせてより効率的に貯めるという方法もあります。スイングサービスは、指定日に引き落とし口座の残高が最低指定残高以上のときに、その超過分を自動的に積み立てる機能。生活費が抑えられた月は、その分を自動的に貯蓄に回すことができます。利用ポイントとしては、引き落とし額が「1000円以上1円単位」といった、より細かいものほど効果的。また、スイングサービスは手数料が発生する金融機関もあります。よくチェックしてから利用すべきでしょう。
(文:清水 京武(マネーガイド))