Photo by iStock
仮想通貨、ブロックチェーン、フィンテック、AI、評価経済……新しい経済システムが次々と登場している昨今。しかし、著書『これからの時代のお金に強い人、弱い人』で知られる「時給70万円」のインド人実業家、サチン・チョードリー氏は、時代や環境に左右されない「お金を増やすルール」を身につけることが大切と語る。そのひとつが、ここぞという場面で「ささやかな贅沢」を経験すること。具体的にどんなことをすればいいのか、教えてもらった。

「快適さ」に金を惜しむな

お金を貯めないといけない。お金を増やさないといけない。そのためには、お金はできるだけ使わないほうがいいのではないか……。
Photo by iStock
そんなふうに感じている人もいるかもしれませんが、それは違います。
むしろお金に強くなれた人は、お金をしっかり使います。決してケチケチするのではなく、むしろリッチな体験にお金を使います。
大事なことは、無駄なことにはお金を使わないということです。そこに価値があると思えば、たとえ高額でもお金は使うのです。
例えば、私が主宰する投資アカデミーを見ていて思ったのは、この傾向です。
お金に強い人は、ホテルのカフェラウンジに行く
お金に弱い人は、街の安いコーヒーショップを好む
決して街のコーヒーショップを否定するわけではありませんが、ではホテルのカフェラウンジと、どちらが心地よい時間が過ごせるかと聞けば、どうでしょうか?
ゴージャスな空間に丁寧なサービス。高級なコーヒーカップに、重厚なソファ。そんなホテルのラウンジのほうが心地よいと思う人が多いはずです。
ただし、ホテルの場合は、街のコーヒーショップの何倍もお値段が張ります。それでも、お金に強くなれた人はホテルのカフェラウンジを選ぶのです。
また、これは私もそうですが、長時間のフライトではビジネスクラスを使います。
家族で旅行に行くときも、私だけがビジネスクラスに乗って、家族はエコノミーに乗るなんてことはしません。家族もビジネスクラスで行きます。
なぜなら、とても快適だからです。空港では、落ち着いたラウンジでゆったりと過ごすことができます。食事も用意されていますから、フライトの前に軽く食べることもできます。
機内では、ゆったりした空間が広がっています。シートもエコノミーとはまるで違いますし、足元もとても広い。だから、眠っていくにもラクチンです。そしてもちろん、食事もワインも違います。
それなりの費用はかかるわけですが、長い移動時間を窮屈でつらい思いをして過ごすか、快適に気持ち良く過ごすか。そこに価値があると思えば、お金は出し惜しまないのです。
そのぶんお金を貯めるという選択肢もあるかもしれません。
しかし、こうやって必要だと思うときには、思い切った使い方をすることが、大きなエネルギーを与えてくれるのです。なぜなら、大きな快適さを手に入れることができるからです。
お金に強くなれる人やお金持ちは、そういうことをよくわかっています。

自分の「喜ばせ方」を知る

例えば、夫婦で高級なレストランに行くとします。
Photo by iStock
リーズナブルなものこそ価値があると考えている人には、何万円も使って夫婦で食事をするなど、考えられないことのようです。
しかし、お金に強くなれた人はよく知っています。高級レストランでの食事は、すばらしい体験になることを。味はもちろんのこと、店の雰囲気、テーブルや椅子、食器さらにはサービスに至るまで、一流のものを味わうことができます。それは、本当に心地よい体験なのです。
そして、こういう体験が「仕事をもっと頑張ろう」「もっとお金を増やして、もっと食べに来よう」というモチベーションにつながっていくのです。
結局、私はこういうことだと思っています。
お金に強い人は、自分の喜ばせ方がうまい
お金に弱い人は、自分をうまく喜ばせられない
「快適だから」「心地よいから」と毎日のようにリッチな体験をしてしまったら、お金はまったく貯められませんし、増えません。また、高級なお寿司も、毎日食べていたら飽きてしまいます。
だから、お金に強くなれた人は、「ここぞ」というときに自分にご褒美をあげるのです。しかも、ケチケチしたご褒美ではなく、リッチなご褒美をどーんとあげる。見栄のためにお金を使うのではなく、自分のためにお金を使う。
あえて、ここぞというときにリッチ体験をすることで、よりインパクトのある出来事にしているのです。
ところが、お金に弱いままの人は、残念な行動を取ってしまうことが少なくありません。「お金がもったいない」「お金を手元に置いておかねば」とそうしたリッチ体験から目を背けようとするのです。
もったいないから、ホテルのカフェラウンジではなく、安いコーヒーショップでいい。もったいないから、ビジネスクラスなんかに乗るよりも、エコノミークラスでいい。もったいないから、高級レストランではなくて普通のレストランでいい。だから、リッチなご褒美の心地よさがわからない。リッチになるためのモチベーションがわかない。
私が残念なのは、リッチな体験をしようとしないことです。その体験をしなければ、快適さや心地よさ、すばらしさは見えてきません。
ところが、自分の世界ではないとばかりに目を背けようとします。自分が経験してきた世界以上のものは見たくないと考えるわけです。
言葉を替えれば、ホテルのカフェやビジネスクラスや高級レストランは、お金持ちの世界と言ってもいいかもしれません。お金持ちになれば、当たり前のようにそういう世界に出入りすることになるのです。それが、日常になっていくのです。
お金に強くなれた人は、そのことがよくわかっているのです。だから、それを味わいに来る。それを日常にするべく、イメージを膨らませる。この世界にやってきたいというモチベーションを高める。
しかし、そんなリッチ体験すら、お金に弱いままの人たちはしようともしないのです。

毎日、イメトレをしよう

リッチな体験をすることが大事なのは、その体験そのものに価値があるからです。
こういう世界に来たいという気持ちを盛り上げてくれるからです。お金を使うに足る意味が十分にあるのです。
Photo by iStock
ただし、毎日おいしいものを食べればいいわけではありません。時々でいいのです。
むしろ、時々だから、その体験はより強烈なものになるのです。お金持ちに限って、普段は質素に暮らしていたりします。贅沢はしません。無駄遣いしません。
しかし、するときはとびきりの贅沢をします。このご褒美のうれしさを、よくわかっているのです。
「思考は現実化する」という言葉があります。思ったことがすべて現実になるなど、絵空事のようにも思えますが、あながち否定はできないと私は思っています。
「こんなふうになってみたいなぁ」と思っていると、間違いなく、その方向に進んでいきます。なぜなら、意識が行動を変えていくことになるからです。
ただ、意識がぼんやりとしたものだと、なかなか前に進むのは難しいでしょう。行動を変えていくほどのものにもなっていきません。
しかし、例えば、リッチな体験をすることで、より具体的なイメージを膨らませられるようになったとしたら、どうでしょうか?
高級ホテルに宿泊してみなければ、高級ホテルのすばらしさはイメージすることができません。それは、体験するからこそ、具体的なイメージにできるのです。ここにまた泊まってみたい。日常的に泊まれるようになってみたいとなるわけです。
だから、いろいろなリッチ体験の意味があるのです。
それは、「こうなってみたい」というイメージを、より具体的なものにしてくれるのです。そして、お金に強くなれた人は、それを日常的にやっているのです。
私が投資アカデミーや自分の講演で勧めていることがあります。
それは、寝る前に2分間、瞑想をすることです。自分がどんなふうになっていたいのかをイメージトレーニングするのです。
自分の勝手なイメージですから、好きなものを描けばOKです。こんなことをしている自分。こんな家に住んでいる自分。こんなホテルに泊まったり、こんな旅行をしていたり、こんな食事をしている自分。こんなパートナーと幸せを描いている自分。それを、とことん描くのです。
お勧めは、毎晩、寝る前に2分だけ瞑想すること。イメージすること。そのイメージを膨らませ、より大きなものにするためにも、時々リッチ体験をすることが意味を持ってきます。その体験が、またイメージを膨らませてくれます。
たった2分です。でもそれは、人生を大きく変えていく大切な時間なのです。
時代・環境の変化に関係なく、永久不変の「お金」が増える習慣を教えます!