サラリーマン絶滅社会の到来前に知っておきたい「副業の思考法」 あなたに5万円を払う人の見つけ方
私はここまで、サラリーマンという職業が絶滅の危機にあるという話をしてきました。
かつての大量生産・大量消費の日本経済において、会社にとって理想的だった画一的な社員=新卒大量一括採用して社内で純粋培養した、一生を会社に尽くしてくれる大量の“企業戦士”が、生産と消費の変化によって“不要”になってきてしまっている、ということです。
一時期はそこそこ売れて話題になったモノやサービスであっても、数年後にははるかに便利ではるかに安いモノやサービスが登場し、一気に売れなくなり、消えて無くなる。そんなことはもはや当たり前で、誰も驚かなくなっている。
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次から次へと新しい価値を生み出し、提供し続けなければ、どんな企業であっても、生き残れなくなりました。参入が乗り遅れたために、大企業が何千億という赤字を出し、何万人という人をリストラするなどということが、普通にある国になりました。
サラリーマンは「一生安泰な稼業」だと思っていたら、もうすぐ、切って捨てられるかもしれない“リスク”を抱えていたのです。
社長はこんな残酷なことを考えている
これだけITが発達し、AIやロボットが発達してくると、ITやAIやロボットを使いこなす人だけが必要になってきて、不要な工程がたくさん出てくる。なにせ、社員50人が一ヶ月かけてやっていた業務を、あるシステムによって完全自動化できてしまったりするのです。システムを管理するエンジニアが1人いればいい。
御社の社長は、朝礼で社員に、「みんなで目標達成に向けて頑張ろう!」と叱咤激励しながらも、「こんなに人は要らないよなー……。この部門、いらないなー。ということは、ここの50人、いらないなー。どうしようか……」と困っていたりするのです。
切りたい、だけど切れない。日本の企業はそんなジレンマを抱えています。日本は世界でトップクラスに、社員を手厚く保護する制度を持った国です。会社が業績悪化によりやむなくこの拠点(工場や支店)を畳まなくてはいけない、あるいは、会社に恣意的に不利益を与えた、といった、よほどの理由がない限り、解雇は出来ません。かつては会社に縛り付けて辞めさせないために作っていた数々の制度が、足かせになっている。
しかし、このままでは日本の経済は立ち行かなくなる。そうした現実が見えてきた今、制度を変えなくてはいけない。制度を変えるためには、まず、人々の思想を変えなくてはいけない……!
みなさんはここ数年、なぜ、「働き方改革」がキーワードとなっていると思いますか?
かつて、世界有数の労働時間を誇りながら、世界から「エコノミックアニマル」と揶揄されても、平気でモーレツに働き続けてきた日本国民が、なぜ急に「残業をなくそう!」「ワークライフ・バランスを考えて、自分の時間を大切にしよう!」「リモートワークで自由な働き方を!」と叫びだしたのでしょうか。
少し冷静になって、よく思い返してみてください。これって社員の側が叫びだしたことでしょうか? 違いますよね? 働き方改革を言い出したのは、「企業」であり「国」ではないですか?
働き方改革というのは、自由な働き方を容認させておきながら、企業にとって、自由な雇い方を実現するための“雇い方改革”でもあるのです。いや、本質は「雇い方改革」にあると言っていいでしょう。
副業解禁の真の狙いとは
「雇い方改革」の一つとして導入されたのが、「副業解禁」です。今年、厚生労働省の「モデル就業規則」から副業禁止規定が削除され、「勤務時間外に、他社の業務に従事することができる」と規定されました。
これにより、副業がご法度だった企業各社が、副業を認めるように就業規則を変えることが想定されます。180度の大転換です。これは一体、どういうことでしょうか。
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今まで日本企業は、「他の仕事はしないで、当社の仕事だけに集中してください。その代わり、社員とご家族の生涯の生活は当社が保障します!」というスタンスでした。一生勤め上げてくれれば、多額の慰労金(退職金)と、老後の生活費(企業年金)まで手当てしてくれたのです(といっても、実は、退職金は給与の後払い方式なのですが。まあそのことは置いておきましょう)。
しかし、企業はもはや、それを維持できなくなった。そこで、
「当社は業務分の対価はきっちり支払います。ただし、社員とご家族の生活は当社は保障できません。生活に足りない部分や、引退後のためのお金は、どうかご自身で稼いでください」
というスタンスに、ガラリと変えた、ということなのです。
急に「働き方改革」が進んで、残業が少なくなって、早く帰れる日が設けられて、家で仕事をしてもいいよと言われ、「楽になって、よかった。家族との時間も作れる」と喜んでいたら、今度は、「楽になったでしょう? その分、自分で稼いでください」と言われてしまった。それも、企業から言われる前に、国から言われてしまったのです。
副業か死か
それを聞いて、今さら慌てても仕方がありません。そもそも今までの日本のサラリーマンが、恵まれ過ぎていたのですから。世界のどこにも、日本のように国と企業に守られたサラリーマンなど存在しないのです。日本のビジネスマンの雇われ方が、世界の常識と同じになってきただけなのです。
企業の自由な雇い方を推進する「雇い方改革」はこれからもますます進むでしょう。それを嘆いても、恨んでも、仕方がない。それが世界の標準なのですから。
ならば自分が、そうした世界でも生き残れる「働き方」を手に入れたらいい。それに気づくことによって「雇い方改革」が「働き方改革」になるのです。働き方改革とは、会社が用意してくれるものではない。自ら行うものだということを、心に刻んでいただきたいのです。
禁止規定がなくなり、副業が解禁されるならば、自ら進んで、副業を始めてください。「俺は副業なんて必要ないよ」とか、「仕事が忙しくて副業なんてできない」とか、「俺は副業よりも会社で成功したい」といった声も聞かれますが、あまりにのんきな話にしか聞こえません。
会社は社員の皆さんに、「このままでは十分な仕事と給料を与えられなくなりそうなので(つまり本当の対価しか払えなくなりそうなので)、どうか副業してください」とお願いしているのです。
一億総中流社会はとうのむかしに終わりました。これから、二極化はいろんな産業で進みます。成功企業の経営者や一部のスペシャリストは、数千万円から数億円の報酬を得るようになる一方で、その他大勢、世の大半のサラリーマンの報酬は、これからもじわじわ、減っていくに違いありません。
給与制度の改正や、残業がなくなって手当が付かなくなったことにより、年収1000万円の人が800万円になったり、600万円だった人が500万円になったりといったことが、普通に起きているはずです。
稼ぎ方のヒントを教えよう
では、どうやって副業で稼ぐのか。
よく、「副業を探せと言われるけれど、何をしていいのか分からない」という人がいます。実は、答えは簡単なんです。
副業といっても、空いた時間を使ってまったく違う仕事をする必要はありません。まったく新しい知識やスキルを勉強して身につける必要はありません。
あなたが優秀な営業マンで、数十社の顧客と信頼関係を持っていたとしたら、自社の商品だけでなく、他社の商品を同時に扱えばいいのです(もちろん、自社製品と競合しないものです)。月々の契約でもいいですし、売れる商品ならば出来高払いでもいいでしょう。
たとえば一日に4社を回って、コピー機のメンテナンス・販売を行う仕事をやっていたとしましょう(あくまでたとえ、です。念のため)。そのコピー機の管理を担当している課の責任者と、年に何度か話すことがあるはずです。「最近、コピー機の調子はどうですか」「新型機も出ていますので、一度見てください」といった話をする機会に、別の会社から預かった商品の営業をすればいいのです。
「実は私、最近ウォーターサーバーの販売もやっていまして。御社でもおひとついかがでしょうか」と勧めてみる。競合商品であれば利益相反になりますが、コピー機とウォーターサーバーは別物ですから、副業を勧めている会社であれば、咎めることはないでしょう。
これは極端な例かもしれませんが、副業の基本は自分の販売機会を活かして、売れるものを増やすことなのです。
あるいは、あなたの知識と経験を活かして、「顧問」や「相談役」になるというのも立派な副業です。
顧問や相談役と聞くと構えてしまうかもしれませんが、欧米では、大企業に勤めながら中小企業やベンチャーの社外取締役や顧問になっている人は、たくさんいます。
月に1~2回、取締役会などの会議に出席したり、電話とメールベースで経営者の相談に乗って、アイデアを出したり、社外の人脈を使って人に引き合わせたりする。それだけで、数十万円の報酬を得ています。
一度、冗談交じりでもいいので、取引先、あるいは個人的に親しい部長クラスの人に「月に2回、御社の課題についてソリューションを提案するので、5万円の顧問料をいただけませんか」と聞いてみてください。あなたが潜在能力のあるビジネスマンであれば、案外「月5万円でいいならお願いしてみようかな」となるものです。
もしお金が先にくるとやりにくいようでしたら、小山薫堂さんが提唱する「勝手にコンサル」をやってみればいいのです。私も、友人や知人の会社のビジネスを聞きながら「自分だったらこんな風にする」とか「あの会社と協業すればいいと思うので、紹介する」など勝手にコンサルしています。
私の場合は、純粋に様々なビジネスを成功に導くのが好きなので、報酬を受け取るつもりはありませんが、こういうふうに「勝手にコン
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優秀な人は、それで多額の副収入を得ていたり、あるいは将来、大きく化けるかもしれない権利(株式)を手に入れているのです。
工場の生産管理をしている人も、経理をしている人も、あなたが本当に世の中に必要とされるスキルと能力を持っているのなら、必ず稼げます。自分が培ってきたものを、必要としている人に分けてあげて、報酬を得ればいいのです。月々10万円を払ってくれる会社3社と契約すれば、仮に年俸が100万円減っても、年収は260万円アップします。
「そんなことができるのか」と考えてしまう人は多いのではないでしょうか。それがまさに、典型的なサラリーマン思考なのです。
日本のサラリーマンは、勤めている会社のために働く、という意識が強すぎます。しかし、会社はもうそんな忠誠心は望まなくなります。これから企業の「雇い方改革」が進む中、使い捨てされずに生き残るためには、意識を変えなければならないのです。
月5万円で雇ってくれる人はいますか?
まずは、自分の持っている能力のうち、どれが、誰に売れるのか。自分で考えてみてください。自分の価値を商品化するのです。
もっと言えば、自分に能力がなくてもいい。自分の知り合いに「商品」になる人がいれば、その人を適所に紹介するだけで、紹介料をもらえたりします。これも立派な副業です。
自分の価値や自分の周りの資源(人脈や保有資産など)を商品化できたら、次に、マーケティングをしましょう。試しに、自分を市場に売りに出してみるのです。
取引先や、知り合いの会社などに、聞いて回ってみるといい。自分をいくらで雇ってくれるのか。自分にいくら出してくれるか――。サラリーマン思考にとどまっている人は、自分でお金を稼ぐことに慣れていませんが、自分に値付けをしてもらうことが、脱サラリーマン思考の第一歩です。
週に1度から月に1度くらい、その会社を手伝うことで、10万円でも、5万円でも自分に払ってくれる会社があるのか。そういう会社がいくつか見つかるのなら、あなたには市場価値があるということです。
本当に手軽なところでは、メルカリで不要なものを販売する、というところからはじめてもいいのです。メルカリで商品を売って利益を出せたということは、あなた個人の労働価値を市場が認めたということだから、です。
まずは、自分に5万円を支払って、顧問として雇ってくれる会社があるか。あるいは自分が月5万円を稼ぎ出す手段を持っているか――。絶滅から逃れるために、まずはそこから考えてみてください。
(次回へ続く)
(構成/嶺竜一。三戸政和氏のツイッターアカウントは https://twitter.com/310jpn)
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