節約は実は簡単です。あまり深く考えず、ガマンするか、より安いものへスイッチするだけでいいからです。でも、それは貧乏思考の表れ。金持ちを目指すなら、節約するよりも、収入自体を増やすためにはどうしたらいいか、創意工夫したいものです。

極端な節約に走るのは思考停止しているのと同じ

不況になると、多くの人が節約に走る理由は、「あまり考えなくてもよい」からです。節約は簡単です。ガマンするか、比較して安いほうへスイッチするだけでいいからです。考えないのはラクです。だから子どもでもできます。実際、「あと月1万円、生活費を削るにはどうすればよいか?」という質問に答えることは、そう難しくないでしょう。

では、「あと月1万円、収入を増やすにはどうすればよいか?」という質問には、なんて答えるでしょうか。パッといくつかの案を出せるでしょうか。なかなか思いつかない人もいるでしょう。

「副業」で多くの人が思いつくのがアルバイトです。なぜなら、仕事が与えられるアルバイトはラクだからです。自分で考えなくてもいいし、一定時間働けば確実に時給がもらえるからです。これもまた、思考停止の典型例です。

「節約は創意工夫」と言われることもありますが、節約は、どう工夫したとしても、基本的には守りです。ケチケチ作戦です。その程度で「創意工夫」だなんて満足はしたくないものです。

「収入の範囲内で生活する」は正解?

そもそも、たとえば手取り月収30万円なら、いくら節約したとしても使える上限は30万円です。消費税増税やら社会保険料負担も増加し、手取りはどんどん減っていきます。さらに今後インフレになれば、節約貯蓄派の家庭はどんどん没落していきます。お金を銀行に預けていても利息はインフレ率に負けるため、目減りする一方だからです。

にもかかわらず、「収入の範囲内で生活しましょう」なんてアドバイスが、本当に有益なのでしょうか。収入が減ったから支出も減らす。一時的にはそれも必要ですが、それだけでは家計の縮小均衡につながります。そうした発想は、「自分の能力はこんなものだから、目標もこんなもの」と考えるのと同じです。それはつまり人生の縮小均衡をも招きます。

私自身、投資のタネ銭作りで節約に取り組んでいた時、行動範囲が狭くなり、新しい挑戦が減り、家と会社の往復だけで日々が過ぎて行きました。

それよりも攻める。どうやったらもっと稼げるか、家計のパイそのものを大きくすることができるかを考える。どうやったら人生がより面白くなるお金の使い道があるかを考える。家計の拡大均衡を目指し、人生の拡大均衡を目指す。そのほうが楽しいと思いませんか。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))