ドリー・クラーク氏はマーケティング戦略の専門家で、『Entrepreneurial You』の著者。仕事を失ってもピンチに陥らないよう、収入源とキャリアを多様化することを勧めている。複数の仕事と収入源を持つことは、スキルを伸ばし自分をブランド化することにもつながる。
2001年、ドリー・クラーク（Dorie Clark）氏は政治記者として働いていた。学校を卒業して初めての仕事だった。ある日、人事部長が同氏を部屋に呼んだ。
｢会社の歯科保険制度の変更か何かだろうと思った｣と、著書『Entrepreneurial You』の中で振り返っている。
｢そうではなく、その場ですぐに解雇された｣
現在、クラーク氏はマーケティング・ストラテジスト、デューク大学フュークア・スクール・オブ・ビジネスの経営学の客員教授、複数の書籍の著者で最新刊が『Entrepreneurial You』だ。
ポッドキャスト『The Art of Charm』の中で、クラーク氏は収入源と専門性を多様化させることの価値を説明している。2001年の同氏と同じような目に遭っても、ショックを受けないように。
手持ちの全資金を1つの銘柄に投資してはいけないことは、誰でも知っている。それはまずいアイデアだと皆、分かっている。投資は、分散させることが大切だ。
だが、仕事や収入については、多くの人たち、いや、ほとんどの人たちはお金を稼ぐ方法を1つしか持っていない。これは極めてリスキーなことだ。
真に、合理的に、プロとしての自身の安定性を獲得する最善の方法は、複数の収入源を育てること。そう確信するようになり、研究を重ねてきた。
これは起業家はもちろん、会社勤めの人たちにも当てはまる。何らかの副収入源を育てること。
つまり、手づくりの品をネットで販売したり、コーチングやワークショップを行ったり、ちょっとした講演をするなど、何か副業を持つことは不確実性への備えとなり、たくさんのメリットもある。
要するに、スキルを身につけ、自分のブランド力を高めることができる。
著書の中で、クラーク氏は現在、7つの収入源で生計を立てていると記した。
本の執筆、講演、ビジネススクールの客員教授、コンサルティング、エグゼクティブ・コーチング、オンラインコースの運営、そしてメールによるアフィリエイトだ。
またポッドキャストの中でクラーク氏は、もう1つ、キャリアを多様化させるメリットを示すエピソードを『Entrepreneurial You』から紹介した。
レニー・アチャン（Lenny Achan）氏は、ニューヨーク市マウントサイナイ病院の看護師としてキャリアをスタートさせたが、副業でアプリ開発をしていた。
上司はそれを知り、病院のソーシャルメディアを運営するチャンスを同氏に与えた。アチャン氏はチャンスをものにして実績を上げ、後に病院の広報責任者となった。
レオナルド・ダ・ヴィンチも『仕事の不安がなくなる哲学』の著者ローマン・クルツナリック（Roman Krznaric）氏の言葉を借りると、｢複数の仕事で優れた実績をあげた人｣の一例だ。
ダ・ヴィンチは肖像画家であり、発明家であり、科学者だった。
雇用の先行きが不安定になっている今、ダ・ヴィンチのようにさまざまな異なる仕事に手を広げることが賢明だとクルツナリック氏は述べた。
クラーク氏は『Entrepreneurial You』で、元グーグル、キャリアコーチで、『Pivot』の著者ジェニー・ブレイク（Jenny Blake,）氏の言葉を紹介している。講演ビジネスを始めたとき、｢当面の収入｣をもたらす1対1のコーチングセッションに頼っていたとブレイク氏。
話すことに情熱を感じていたが、講演の仕事ではまだ稼げなかった。
つまり、コーチングは2つのキャリアの間にあるギャップをつなぐ収入だった。
クラーク氏は、収入とキャリアの多様化をどのように始められるかをチェックできる無料のオンライン診断を提供している。
ウェブデザイナー（最高時給32ドル）からフィットネスインストラクター（最高時給41ドル）まで、いわゆる｢副業｣はたくさん存在する。
［原文：A woman with 7 income streams explains why it's one of the best things you can do for your career］
Image: Alissa Kumarova/ Shutterstock
BUSINESS INSIDER JAPAN より転載（2017.10.22）
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