私のところには、年齢も職業も様々な女性がお金の相談にやってきますが、今回は、35歳のOL、A子さんがご相談にやってきました。ご相談内容は、「ここ数年、ずっと彼氏がいなかったので、このまま一生独身だと思ってマンションを買いました。実はそのマンションのことでとても悩んでいるんです……」とのこと。この先もずっと独身かもしれない……と思うと、マンションでも買っておこうと思う女性は少なくないでしょう。早速、お話を聞いてみることにしました。
⬛︎シングル女性が家を買うとなぜか彼氏ができる?
35歳というと、ひとしきり結婚していく友達を見送り、その友達の背中をみつめながら、「私は一生独身かも」と、「一生独身」のワードが頭をよぎる女性は少なくないようです。
そして、一生独身かもと思うと、考えてしまうのが「終の住処の確保」。「一生独身ならマンションでも買っておこうと」と思ってしまうその気持ちはとてもよくわかりますが、実は安易に家を買ってしまうとその後のライフプランに大きな影響を及ぼしてしまいます。
というのも、きちんとした根拠はありませんが、なぜか、「家を買ったとたんに彼氏ができる」という現象がおこるからです(笑)。これまで多くのシングル女性のご相談にのってきましたが、家を買ったとたんに彼氏ができるというケースは少なくありません。ファイナンシャルプランナーの友人達も同じことを言うので、女性が家を買うと、何か目に見えない恋愛パワーが働くのかもしれませんね。
彼氏ができること自体はハッピーなことですが、「もっと便利なところに買っておけば良かった!」、「早まって家を買わなければよかった」などというお悩みを抱えてしまうケースも少なくありません。
ですから、独身のうちに家を買う場合には、いくつか気をつけなければならない注意ポイントがあります。
⬛︎新築マンションはプレミアム価格にご用心!
一般的に女性がマンションを購入する場合、新築マンションを好む傾向があるようです。
確かに一生住むことを考えると、おしゃれな外観、使い勝手の良い間取りなどに加えて、最先端の設備を備えている新築マンションを選んでしまうのもわかります。
とはいえ、新築マンションは中古物件に比べて価格が高いのが特徴。都内の新築マンションで全ての理想を満たそうとすると、かなりの高額な物件になってしまいます。
最近は、地価の上昇や建設費の高騰などがあり、特に新築物件の価格は高騰していますが、これらの事情に加えて、新築物件には、いわゆる「新築プレミアム価格」がのっています。
新築プレミアム価格とは、物件を売り出すときの広告宣伝費や不動産業者、建築業者の利益を上乗せした価格のこと。みなさんのご自宅にも新築物件の広告が入ってくると思いますが、あの上質な紙に印刷されたおしゃれな広告には結構なコストがかかっています。通常、新築物件は物件価格の2割~3割がプレミアム価格としてのっていると言われています。例えば、2500万円の物件であれば、500万円程度がプレミアム価格としてのっているということ。極端な話、新築物件を購入して次の日には、2000万円に値下がりするというイメージです。
ですから、急なライフプランの変更で物件を売却したいと思っても、住宅ローンの売却価格よりも住宅ローンの残債金額の方が多く、家はないのにローンが残る……という最悪な事態に陥ってしまうというケースも少なからずあります。
⬛毎月の家賃負担が重荷で売却へ
ところで、A子さんが買った物件も新築マンションでした。週末は自宅で過ごすことが多いA子さんは、郊外の駅から離れた広めの新築マンションを購入したそうです。
ところが、先ほどの「シングル女性が家を買うと彼氏ができる」の法則にA子さんもあてはまり、マンションを購入して半年後に彼氏ができました。そして、おつきあいも順調に進み、頻繁に会うようになったので、いっそのこと一緒に住もうと、A子さんは彼氏の家に引っ越すことを決めたそうです。
そこで、お荷物になってしまったのが、A子さんが購入した新築マンション。彼の家に引っ越すのを機に、賃貸の募集をしたそうですが、駅から遠く人気エリアから外れていたため、賃貸がなかなかつきませんでした。A子さんは、彼と幸せな同棲生活を始めたものの、自分のマンションのローンを払うことに……。幸せ気分も半減してしまったそう。
そこで、私が故意にしている不動産会社に相談してみたところ、「しばらく賃貸はつかないだろう、ついたとしても、現在A子さんが支払っている毎月のローンの金額よりは数万円下回る家賃になるだろう」とのことでした。
様々な視点から総合的に判断して、物件は売却することにしました。残念なことに、ローンの残債金額を上回る金額では売れませんでしたが、残ってしまったローンの分は、A子さんの貯金から返済し、ローンは清算しました。
⬛︎︎家を買うときには、資産価値の高い物件を買おう!
今回のA子さんの事例の教訓は、シングル女性が家を買うときには、突然のライフプランの変更や将来、老人ホームに入るなど、様々な可能性にも対応できるように、いざとなったら、人に貸せる、売却できることを考えておくことが大切ということ。
マンションを購入するときには、人口が増えているエリアで安定した賃貸需要があるか、駅から3分~5分以内か、将来性もあり、利便性も高いかなど、物件の資産価値が高いかどうか、よく考えてから買うようにしましょう。
新築マンションのHPやチラシの派手な宣伝文章は、「マンションポエム」とも呼ばれているそう。販売価格にはそれらのコストも入っています。
■賢人のまとめ
シングル女性がマンションを購入するときには、将来のライフプランの変化も見越して、「人に貸せる」「人に売れる」資産価値の高い物件を購入することが大切!新築物件はプレミアム価格がのっているので要注意!
■プロフィール
マネーの賢人 高山一惠
ファイナンシャル・プランナー(CFP)/(株)Money&You取締役。2005年に女性向けFPオフィス、株式会社エフピーウーマンを創業、10年間取締役を務め退任。その後、株式会社Money&Youの取締役へ就任。お金の総合相談サイト『FP Cafe』や女性向けマネーメディア「Mocha」を運営。全国で講演活動、多くのメディアで執筆活動、相談業務を行ない、女性の人生に不可欠なお金の知識を伝えている。明るく親しみやすい性格を活かした解説や講演には定評がある。著書は『やってみたらこんなにおトク!税制優遇のおいしいいただき方』(きんざい)、『つみたてNISAでお金は勝手に増えていく!』(河出書房新社)、『パートナーに左右されない自分軸足マネープラン』(日本法令)など多数。株式会社Money&You:https://moneyandyou.jp/ FP Cafe:https://fpcafe.jp/ Mocha:https://fpcafe.jp/mocha マネラジ。:https://fpcafe.jp/mocha/features/radio Money&You TV:https://fpcafe.jp/mocha/features/mytv
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