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□最初に読むべき「お金」の基本図書
毎年多くの「お金」に関する本が出版され,書店に並び、そして消えていきます。
そんな状況の中で、「金持ち父さんシリーズ」は刊行から13年経った今でも変わらず多くの支持を得ています。
その第1作目である『金持ち父さん 貧乏父さん』は、時代が変わっても古びない原理原則を示す「お金」の基本図書。
「目からウロコの連続でした! 」という声が絶えず寄せられ、これまで数多の人々の「お金観」を変えてきました。
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ケースワーカーはホームレスが退院後に住めるアパートを見つけ、そこに住所を登録し、生活保護受給の手続きをする手伝いをする。そして生活保護費の中から治療費や入院費を受け取るという形を取る。
病院は治療費を取りっぱぐれずにすむし、結果的に患者も野宿生活から離脱することができる。今は生活保護を受け取るハードルはずいぶん下がったが、20年ほど前はなかなか申請が通らなかった。当時は、
「ホームレス生活から抜け出したかったら、救急車を呼んで入院するのが早い」
と言われていたぐらいだ。
いったん生活保護をもらい、そこから家賃を支払うようになってしまえば、基本的に継続してアパートで生活していくことができる。
だが、中には生活保護でアパート生活するのは嫌だという人もいる。大阪の淀川の河川敷に小屋を建てて生活をする70代の男性は語る。
生活保護をもらって暮らす福祉アパート
「こういう所に勝手に住んでても『出てけ』とはまず言われないね。基本的人権のおかげかな? その代わり……、
『大阪は福祉の街なので、福祉をもらってアパートで暮らしてください』
って役所の連中によく頼まれるよ。もちろん断るけどね」
「福祉で暮らす」とは、ほとんど「生活保護をもらって生活する」という意味である。生活保護を受給して、普通にマンションで暮らせ、という意味だ。
「福祉をもらう奴は、みんな早(はよ)う死んでしまうわ。なんもしなくてもお金が入ってくるから、酒飲んでギャンブルしているヤツばっか。ドヤ街に行ったら、ギャンブルで生活保護を溶かした人らが炊き出しに並んでるよ。もう何のための生活保護か、何のための炊き出しかわからない。
俺はホームレスでありながらも毎日働いているから、本当の意味で生きていられるんだよ」
と語った。
彼のように、人に施されるのは嫌だというホームレスは実は少なくない。健康であるうちは、自力で生活して、どうしてもダメになったら福祉アパートに入居しようと思っているという人もいる。言わば、独立心が強い人たちだ。
また、福祉アパートなどの独自ルールである「『禁酒』『禁煙』『門限23時』などを守るのが嫌だ」「面倒くさいから住みたくない」という人もいた。
ただ、多くのホームレスは、
「アパートに住めるなら、住もう」
と思う。実際、生活保護費が受給しやすくなり、福祉アパートへ住みやすくなって以降、ホームレスの数は減った。生活保護を受けていると病院の治療も受けられ、健康的な生活を送りやすくなる。
いろいろな考え方があるが、よい方向に進んだと思う。
しかし中には、ホームレスの健康を利用してお金を稼ごうとする人たちもいる。いわゆる貧困ビジネスだ。
以前、新宿中央公園でホームレスの人たちに話をうかがっているとき、とてもひどい目にあった男性に出会った。
その男性は片手にバッグを抱えてベンチに座っていた。
「寒い日が続きますけど、体調大丈夫ですか?」
と話しかけると、
「大丈夫じゃないよ」
とつっけんどんな言葉がかえってきた。
導尿カテーテルをつけたホームレス(筆者撮影)
「俺は今、こんなことになってんだよ」
と言うと、バッグの中からビニールパックを出した。中には黄色い液体が入っている。
「これは尿パック。つまり俺の尿なの。尿パックは尿道につながってるの。こんな状態だから全然、体調なんてよくないよ!!」
と怒り口調で言った。
つまり袋の管は、導尿カテーテルを介し男性の男性器につながっているのだ。
導尿カテーテルをつけたままホームレス生活をしている人がいるなんて、ちょっと信じられなかった。なぜそんなことになってしまったのかを聞く。
熱海まで連れて行かれ、いきなり手術、そして放置
「ベンチに座ってたら、背広を着た連中に『体調大丈夫ですか?』って聞かれたんだよ。今みたいにさ。それで『いや、大丈夫じゃない』って答えたんだ。最近、オシッコの出が悪いって言った」
そう答えると、背広を着た連中は、
「では病院で治療を受けましょう」
と言って男性を自動車に乗せた。そしてどこへ行くとも言わず、走り始めた。
「近所の病院に行くと思うでしょ。そうしたら着いたのは熱海の病院。熱海までほぼノンストップで連れてこられちゃった」
新宿から熱海までは、高速道路で約2時間の距離だ。ホームレスを医者に診せるために移動する距離じゃない。
病院に着くと、検査を受けさせられた。
「『前立腺が肥大化しているので手術します。サインを書いてください』って言われて、なんだかよくわからないけどサインしたよ。お金ないけど大丈夫?って聞いたら、大丈夫って言うからさ」
そして翌日には手術台の上にいた。
手術が終わったのち数日は入院したが、そのまままた自動車に乗せられて新宿中央公園に連れて帰って来られたという。そして彼を公園に放置して彼らは帰っていた。
開腹手術が終わったばかりのホームレスを、数日後に野宿生活に戻していいはずがない。
前立腺肥大症は、確かに排尿に障害が出る場合、手術の選択もある疾患だ。ただ、この疾患は50代を超えるとかなりの確率で起こる。50歳で30%、60歳で60%、70歳で80%が肥大すると言われている。
はたして、新宿に住むホームレスを、わざわざ熱海まで連れて行ってまで手術する必要があったのだろうか?
おそらくは国から診療報酬をもらうための詐欺的な手口である。ホームレスを手術して、多額の診療報酬の請求をしていたのだろう。
ホームレスを手術して、診療報酬を不正に受給するやり口だ。にわかに信じがたい出来事だが、実際にある。ちなみに新宿のホームレスの間ではホームレスに声をかけて病院に連れて行く人たちを、“病院手配師”と呼んでいた。
固有の呼び名がつくほど数がいるのだ。
詐欺とまでは言えないが、生活保護受給者を受ける患者に対しては、高い治療を施す病院も少なくない。
ドヤ街近くにある病院では看板に『生活保護取扱い』と大きく書いてあるところも多い。
そのような病院で働く看護師に話を聞くと、
「患者は自分でお金を払うわけじゃないから、いくら高い治療でも平気です。先生もそこらへんは踏まえてますから、看護師として『その注射は打たなくていいんじゃないかな?』と思う注射をドンドン打ちます。正直な所、あからさまにお金を稼ごうとしています」
と話してくれた。
違法とは言えないかもしれないが、誠意のない治療法である。
あこぎなやり方で稼ぐ病院の実態
手術ではなくアルコールなどの中毒から回復を目的とする精神科の病院もある。前述のとおり、確かにホームレスにはアルコール依存症の患者が多い。治療が必要な人も多い。
治療するのはもちろんいいが、かなりあこぎなやり方で稼いでいる病院は問題だ。
下請けとして、都内の貧困ビジネス系の精神科の病院に関わった人に話を聞いた。
「現場で見ていて、かなりヤバイ感じがしました。患者のほとんどはアルコール依存症のホームレスか生活保護受給者なんですが、毎日どこかからワゴン車で連れてきて、クリニックで軟禁してしまうんです。
そして彼らの持ち物とか、全部勝手に捨ててしまうんですよ。『生活に支障のない程度に整理する』と言っていたのに、結果的には全部容赦なく捨てました。その際に、現金も取り上げてしまいます。『患者が勝手に酒を買わないようにする』らしいのですが、やりすぎだなと思いました」
ホームレスも荷物を全部捨てられてしまっては、野宿生活に戻るのは困難になる。病院としては、彼らを二度と帰すつもりはない。
彼らは狭く区切られた最低限の施設の住み、最低限の食事が与えられる。治療行為がないわけではないが、ほとんど飼い殺しだ。そして生活保護費からガッツリと治療費はいただく。病院には、彼らが生きている限り継続してお金は入り続ける。
違法行為ではないのかもしれないが、かなり強引な手法で稼ごうとしているように見えた。その病院の年商は20億円を超えていた。
病気よりもおそろしい社会の闇
そんな病院によるホームレスの貧困ビジネスの中でも最悪のケースは、2009年に発覚した奈良県の「山本病院事件」だろう。
心臓カテーテル検査を行ったように装い、診療報酬をだまし取っていた山本病院(筆者撮影)
山本病院では、西成の生活保護受給者向けのマンションに直接出向き、入院の勧誘をしていた。実に入院患者の6割が、生活保護受給者だったという。
そして入院患者に、心臓カテーテル検査を行ったように装い、診療報酬をだまし取っていた。2005年度には275件、2006年度には196件の心臓カテーテル検査を実施したと、記録されている。
本当に手術をしたケースもあったようだ。
患者に対し、
「手術やらんと死ぬで!!」
と、とても荒い口調で手術をすすめたという。そして手術は失敗して、患者は亡くなった。結果的に山本病院では、狭心症のある女性看護師にも半強制的に心臓カテーテル手術を施し死亡させた。
まるでサスペンス映画のような、恐怖の治療を繰り返した山本病院は、元理事長らが逮捕されて幕を閉じた。
ホームレスの健康を利用して金を稼ごうとする人たちは、実はたくさんいるのだ。
病気よりも、むしろそういう社会の闇のほうがおそろしいと思った。
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