年々人気が高まるふるさと納税。なんとなくお得、自己負担は2000円だけ……と利用してはいるものの、実はよく仕組みがわかっていないなんてことはありませんか? ふるさと納税の制度を先にきちんと理解しておくと、安心して利用できますよ。ふるさと納税の仕組み、所得税、住民税からの控除の計算などをご紹介します。

ふるさと納税の仕組み

年々人気が高まる「ふるさと納税」。2015年度のふるさと納税額は1652億円、なんと前年から4倍も伸びています。多く利用されているふるさと納税ですが、なんとなくお得、自己負担は2000円だけ……と利用してはいるものの、実はよく仕組みがわかっていないなんてことはありませんか?

そこで、ふるさと納税の仕組みをご紹介しましょう。

ふるさと納税は所得税、住民税の控除

ふるさと納税は、応援したい自治体に寄付をすることです。この寄付金額のうち、一定の限度額まであれば、2000円を超える部分は所得税と住民税から控除されるというもの。所得や家族構成などによって限度額は変わりますが、2000円を超えた寄付金額分の税金が減るということですね。限度額までであれば、自己負担が2000円だけで他の自治体に寄付ができることになります。

多くの自治体は寄付を受けると、そのお礼として特産品などを贈っています。つまり、ふるさと納税をすれば、自己負担2000円で特産品などがお礼でもらえるというわけですね。これがふるさと納税の人気の理由です。

本来は自治体を応援するふるさと納税ですが、特産品目当ての寄付も増えているのが現状です。

所得税、住民税からの控除の計算は?

具体的にどのように税金の控除額が決まるのでしょうか。所得税からの控除は

(ふるさと納税額-2000円)×「所得税の税率」

で計算された金額が、納めるべき所得税額から直接ひかれます。

住民税からの控除は少し複雑ですが、一般的には

・基本分(ふるさと納税額-2000円)×10%
・特例分(ふるさと納税額-2000円)×(100%-10%[基本分]-所得税の税率)
(※特例分が住民税所得割額の2割を超える場合、ふるさと納税額が総所得金額等の30%を超える場合等は、上の式の金額より控除額は減ります)

で計算された基本分と特例分をあわせた金額が住民税からひかれます。

所得税とあわせると、ふるさと納税額から2000円をひいた金額が所得税、住民税からひかれるということですね。ふるさと納税をしても、所得税から控除される金額が予想よりも少なかったという人もいるでしょう。理由は、この所得税と住民税あわせての控除だからですね。

この控除ですが、所得税はその年の納税分から、住民税は翌年6月から支払う納税分から控除されます。ふるさと納税をした翌年6月から支払う住民税のほうもチェックすると、税金が減額されているのが確認できるでしょう。

ワンストップ特例は、住民税からだけの控除

ふるさと納税の申告は確定申告をすることになりますが、ワンストップ特例という制度を利用することもできます。条件としては、

・確定申告の不要な給与所得者等
・ふるさと納税先の自治体数が5団体以内
・ふるさと納税先の自治体に特例の適用に関する申請書を提出

です。

この特例を利用すると確定申告をする必要はありません。この特例を利用した場合は、所得税からの控除はなく、すべて住民税からの控除となります。

ふるさと納税枠、年収700万円で10万8000円

自己負担額が2,000円となる限度額「ふるさと納税枠」はどれくらいなのでしょうか?

【給与所得者の場合】
■独身または共働き
年収300万円→2万8000円、年収500万円→6万1000円、700万円→10万8000円

■扶養者は配偶者のみ
年収300万円→1万9000円、年収500万円→4万9000円、700万円→8万6000円

■扶養者は配偶者、子2人(大学生と高校生)
年収500万円→2万8000円、年収700万円→6万6000円、900万円→11万9000円
※平成27年制度改正後の上限額。住宅ローン控除や医療費控除等、他の控除を受けていない給与所得者のケース。

これらの上限はあくまでも目安です。詳しくは、ふるさと納税翌年1月1日時点に住民票がある市区町村に問い合わせください。

ちなみに、これまでの上限額、納税枠とご紹介したのは1月1日から12月31日までの1年間でのことですのでご注意を。年末になるとかけこみ寄付もみられますが、計画的に余裕をもってふるさと納税ができるといいですね。

応援したい自治体に寄付をして、実際の負担が2000円でお礼の特産品が贈られるという「ふるさと納税」。仕組みもしっかりとチェックをしてお得に利用しましょう。
(文:福一 由紀(マネーガイド))