2019年5月25日土曜日

佐川急便、積み荷4倍のパワフル自転車 前輪に秘密

2019/5/25 4:30


SGホールディングス傘下の佐川急便が、倒れない新型の電動アシスト自転車を開発した。従来の4倍となる120キロまで荷物を積め、カーブで車体が傾いてもバランスを保つ。前輪に2つのタイヤをチェーンでつないだユニークな機構を採用し、段差や斜面も安定して運転できる。自転車は宅配のラストマイルをつなぐ手段だけに、新戦力として期待する。
荷物を積む台車をワンタッチで着脱できる
荷物を積む台車をワンタッチで着脱できる
■クルマづくりの発想
「トライクカーゴ」は2019年1月に完成、配送現場に3月下旬から試験導入した。トヨタ自動車出身のエンジニアやデザイナーが在籍する豊田トライク(東京・港)と組んだ。安全性、デザインなどクルマづくりの発想を採り入れており、佐川急便は同社の開発力に着目した。
120キロの荷物を積める。軽トラックが輸送する約3分の1にあたる積み荷を、人の力だけで運べる能力を持つ。通常の自転車であれば、運転がふらつくところを、トライクカーゴは解決した。
キーとなるのは、11カ国での特許を取得している「シンクロシステム」と呼ぶ前輪のメカニズムだ。2つのタイヤが並び、チェーンでつながっている。といっても、ペダルと後輪をつなぐチェーンと役割が違う。駆動力を伝えるのではなく、前輪のチェーンは傾きに応じ、バランスをとる役目を持つ。
例えば、段差に片方のタイヤが乗り上げたとすると、チェーンが連動して、もうひとつのタイヤに下向きに押し下げる力がかかる仕組みにした。カーブを曲がり車体が傾く際にも、同様のメカニズムが働く。チェーンを通じ左右のタイヤに力をバランス良く振り向けている。
■自転車以上、自動車未満
積載重量が増えることで大きくなる旋回の力も抑え、小回りが効くハンドルさばきを可能にしている。前輪がひとつのタイヤと比べても、路面としっかり接しており、グリップ力が強いという。積雪後のシャーベット状になった道でも横滑りするのを防ぐ。
豊田トライクの加藤勝彦営業統括部長は「自転車に荷物を載せて運んでいるようだが、リヤカーをけん引する構造になっている」と説明する。電動アシストによりペダルでこぐ力を補助し、シンクロシステムが台車の荷物を垂直に保つ。ここに重量物を運べる理由がある。
自転車で荷物を運ぶ際の規則は、道路交通法にもとづき都道府県の公安委員会により定められている。荷台やかごに荷物を載せるとすると、東京都は上限を30キロまでとしている。ただ、自転車でけん引する扱いとなれば、4倍の120キロまで認められている。
今回は自転車のように操作できるリヤカーを開発したというイメージだ。「自転車以上、自動車未満」という新たな輸送手段と位置づけている。トライクカーゴは大容量の荷物を運ぶ際に起こりがちな転倒をはじめとするハードルを突破したかたちだ。
■営業所で試験導入
佐川急便は3月下旬から東京、大阪など全国10カ所の営業所で試験導入した。
東京都荒川区で配達を担当する大堂敏郎さん(31)は「1時間かかっていた配達ルートを40分で回れる。ドライバーに頼んでいた重たい荷物を積んで遠い届け先にも行けるようになった」と乗りこなす。
勤続12年になるベテランで、普段は台車や自転車を使って地域を細かく分けた配達エリアを回っている。一度で運べる量には限界があるため、集配拠点のセンターと配達先を何度も往復し荷物を積み込む作業が必要になっていた。多い日には1日20回以上になることもあったという。
トライク導入後はこのロスがなくなり、配達に使える時間が増えた。配達エリアの荷物を一度で積め、1日で150~200個を配るという。運転時には「段差の多い道やカーブを曲がるときに感じていた不安定さがなくなった」という。
前輪に2つのタイヤがチェーンでつながれ横転を防ぐ
前輪に2つのタイヤがチェーンでつながれ横転を防ぐ
台車を荷台にワンタッチで着脱できる点も作業効率の向上につながっている。「まとまった量の荷物がある高層マンションなどで特に作業効率が上がっている」(荒川営業所の嵯峨秀勝所長)。マンションまでトライクに乗り、玄関先で荷台を取り外せば、館内をまとめて配達できるメリットもある。
今後は試験導入で見えた課題や改善点を洗い出し、19年秋を目標にまず100台程度の導入を目指す。
運転免許を持たない若年層も増えており、主婦層や高齢者など幅広い人材の受け入れにもつなげたい考え。佐川急便営業開発部の鳥海志郎参事は「『あの自転車に乗って働きたい』と言ってもらうのが目標」と意気込む。同社のブランド「飛脚」と並ぶ新たなシンボルとして求人効果も期待する。
(企業報道部 宮嶋梓帆)
日本経済新聞参照



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