アウディや日産、自動運転車向け車載用VRを披露 CESアジア
[上海 14日 ロイター] - 上海で開かれた先端技術の見本市「CESアジア2019」で、アウディ<NSUG.DE>や日産自動車<7201.T>は、将来的な自動運転車の普及に向けて開発中の車載用仮想現実(VR)アプリケーションを披露した。
自動車メーカーはこれまで長い間、ドライバーに道路に注意を向けさせることに注力してきた。しかし業界が自動運転技術に移行し、ドライバーが運転に関わらなくなれば、メーカーは車に乗っている人たちが感じる退屈にどう対処するかという問題に直面する。
アウディの中国部門でデジタル事業・顧客体験担当シニアディレクターを務めるボリス・メイナーズ氏はロイターに対し、「顧客が運転する必要がなくなったら、車内で顧客に提供できるものは何かということが課題となる」と述べた。
アウディ子会社が共同設立した新興企業ホロライドは同見本市で、乗客がドライブ中にVRを通じて、クジラと泳いだり、沈没船を発見したりできる体験を披露した。
自動車が加速したり横に曲がったりすると、トランクに搭載されたコンピューターに動きが記録され、VRゴーグルを装着している乗客の視界が調整される。乗り物酔いを防ぐことも可能だという。
日産は同見本市でドライバーと乗客が装着するゴーグルを展示。このゴーグルを着けると、リアルタイムで情報が伝達され、装着者とコミュニケーションが取れるキャラクターが映し出される。
日産総合研究所のエキスパートリーダー、上田哲郎氏は、ドライバーを含めたすべての同乗者のドライブ体験に焦点を当てたいと述べた。自律運転の段階になれば、ドライバーによるコントロールは少なくなり、他の同乗者とのやり取りが増えるからだ、と説明した。
調査では、一般市民が自動運転車を完全に信用するには時間がかかることが示されている一方で、企業は自動運転車が最終的に普及すると考えて投資を開始する必要があるとしている。
アウディのメイナーズ氏と日産の上田氏は、両社が開発しているVR体験について、大半の状況で車両が運転のあらゆる側面を処理できる「レベル4」に業界が到達して初めて導入される可能性が高いとの見方を示した。
上海を拠点とするコンサルタント会社、オートモーティブ・フォーサイトのYale Zhang氏は「多くのエンジニアは自動運転技術の急速な実現に自信を持っておらず、VRの試みは早期にはみられないかもしれない」と語った。
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