貯金できない人が陥りがちな4つのペナルティ
資産運用の世界的権威、チャールズ・エリスとバートン・マルキールは、著書である「投資の大原則」(参考文献(1))で、このように述べています。 「金持ちになる早道は簡単だ。支出を収入より少なくすること。」 また、以前、「コストを節約しないと、複利効果がマイナスに働いて大変ですよ」というコラムも書きました。 お金を貯めたら、将来には雪だるまのように増やすことができます。これを言い換えると、お金を貯めることができなければ、それは雪だるま式にお金を失うということでもあります。だからこそ、「お金を貯める」ことが大切です。
「ペナルティ」が多いほどお金を貯めづらい
ぼくの考えでは、お金の貯めやすさの大半は、「習慣」と「環境」で決まります。ですから、お金を貯めたいと思っている方は、悪い習慣を絶ち、悪い環境から遠ざかることが得策です。 悪い習慣や悪い環境のことを、個人的に「ペナルティ」と呼んでいます。ペナルティが重なれば重なるほど、お金を貯めづらく、お金持ちになるチャンスが減ります。逆に、ペナルティが少なければ少ないほど、お金持ちになりやすいです。ですから、こういったペナルティを可能な限り避け、最小限に抑えるのが大切だと思います。 では、具体的に、ペナルティにはどのようなものがあるのか? これから、4つご紹介しましょう。
喫煙ペナルティ:喫煙者は貯金しづらい
まず、喫煙者はお金を貯めづらいです。マクロミルの調査(参考文献(2))によると、喫煙者1人あたりの平均たばこ代は月あたり約9,000円なのだとか。この出費がまるごと貯金に回れば、1年あたり10万円以上もお金を貯めることができます。 ちなみに、月1万円の貯金は、年利6%、36年の運用後には、月8万円の貯金に化けます。つまり、「いま、毎月1万円を貯めることで、36年後は、月あたり8万円の生活費がうるおう」ということです。それだけのインパクトがあると考えると、禁煙は、経済的にみてもかなり魅力的な判断ですよね。 ぼく自身も、昔は喫煙者でした。何年か前までは喫煙していましたが、海外旅行をきっかけに、禁煙しました。きっかけさえあれば、だれにでも禁煙はできます。もしあなたが喫煙者なら、まずはきっかけ作りから考えてみてはいかがでしょうか。
飲酒ペナルティ:酒飲みは貯金しづらい
次に、酒飲みもお金を貯めづらいです。またまたマクロミルの調査(参考文献(3))によると、酒飲み1人あたりの平均お酒代は月あたり約5,000円なのだとか。これまた、出費がまるごと貯金に回れば、年あたり6万円もお金を貯めることができます。 ちなみに、ぼくはお酒が好きですが、少なくとも「家ではお酒を飲まない」ようにしています。交際費にもならないですし、ただの嗜好品になってしまいますので。お酒を飲むと集中力が下がるなどのマイナスもあるので、家では飲まないことにしました。 そのかわり、友人と食事に出かけるときには、(低予算な飲み放題に限り)お酒を飲んでもよいことにしています。酒飲みにとって、お酒を断つのは辛いかもしれません。ですが、不要な部分を見極めて、切り詰められるところから切り詰めていくことが大切だと思います。
地域ペナルティ:住む場所が悪いと貯金しづらい
住む場所も、貯金のしやすさに影響をおよぼします。ハーバード大学の研究(参考文献(4))によると、貧乏を抜け出すには、「住む場所」が大切だということが分かりました。住む場所によって、生活費は月あたり数万円単位で変わります。だから、住む場所を間違えるだけで、それだけ大損する可能性も高いということです。 ちなみに、厚生労働省や総務省の調査(参考文献(5)(6))によると、山形県や長崎県に住んでいると、平均年収が低く、物価も高い傾向があるようです。ですから、これらの地域に住んでいる方は、注意が必要だといえるでしょう。
親ペナルティ:子どもが居ると貯金しづらい
最後に、最も衝撃的なペナルティは、「親ペナルティ」です。ジェニファー・グラスらによると、子どもを持つと幸福度が下がるのだとか(参考文献(7))。この一因としては、養育費によって金銭事情が緊迫することが考えられるでしょう。 ちなみに、「親ペナルティ」という言葉だけは、すでにコラムニストの河崎氏が使用しています。すでに金銭的に厳しい生活をしている方や、幸福感が低いと考えている方は、子どもを持つことにより、さらに状況が悪化する可能性が高いでしょう。ですから、どうしても子どもがほしい場合を除いて、いちど、考え直してみるのも、あなたのためになるでしょう。
あなたは、ペナルティを自分に課すべき?減らすべき?
これらが、ペナルティの例です。こういったペナルティに当てはまるほど、ぼくらはお金を貯めにくく、そして経済的に辛い生活をすることになるでしょう。よって、こういったペナルティを、あなたが自分に課そうとしているのであれば、考え直してみるべきです。 貯金を増やすことができれば、それをそのまま資産運用に回すことができます。その資金を複利で運用すると―――。その影響は、はかりしれないほど大きなものだとお分かりいただけるでしょう。 あなたは、ペナルティを自分に課すべきなのでしょうか。それとも、ペナルティを減らすべきなのでしょうか。これは、重要な問題です。ぜひ、これら4つのペナルティについて、時間をとって考えてみてはいかがでしょうか。 ●参考文献 (1) 書籍:チャールズ・エリス, バートン・マルキール, 2018, 『投資の大原則』, 日本経済新聞出版社 (2) 調査:マクロミル, 2018, “たばこや禁煙に関する調査”, 2018年9月16日時点 (3) 調査:マクロミル, 2018, “お酒に対する意識と購買状況に関する調査”, 2018年9月16日時点 (4) 論文:Raj Chetty, Nathaniel Hendren, Patrick Kline, and Emmanuel Saez, 2014, “Where is the Land of Opportunity? The Geography of Intergenerational Mobility in the United States” (5) 調査:厚生労働省, 2017, “平成29年賃金構造基本統計調査 結果の概況” (6) 調査:総務省, 2017, “小売物価統計調査―平成28年結果―”, 総務省統計局 (7) 調査:Jennifer Glass, Robin Simon, and Matthew Anderson, 2016, “Social Policies, Parenthood, and Happiness in 22 Countries”, The Society Pages(文:中原 良太(マネーガイド))
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