こんな社員に昇給は無理 5つの間違った交渉例
昇給の交渉は、悪いことでは全くない。声高な要求を通じて上司の関心を引いてもよいが、必要なのはそれを正しいやり方で行うことだ。

私は上場企業の最高経営責任者(CEO)としての10年余りを含む30年以上にわたるキャリアの中で、さまざまな人を見てきた。以下に、給与を上げてもらえない5つのタイプの人を紹介する。きっと心当たりのある人もいるだろう。

・はっきりしない

何か話したいことがあることをうかがわせるメールを上司に送る。もしくは、留守番電話に「あの、もしできればなんですが、その、お給料について話せればと思うのですが……急ぎではないです。お時間のある時にでも」とメッセージを残す。

しかし、上司と会話をするにあたり、給与だけでなくパフォーマンスについて話すべきだということが分かっていない。上司には他にも考えねばならないことがあり、何の結果にもつながらない。

・「昇給しなければ辞める」

ある朝目覚め、今日こそ上司と話そうと決心する。自分には大学に通う子どもが2人いて、住宅や車のローン支払いもあり、もっとお金が必要だ。会社で上司に対し、「給与が上がらないなら辞めてやる」という態度で対峙(たいじ)する。人事部はその日、この社員の後任を探し始める。彼は確かに退職する羽目になった。

・恨みたらたら

給与が上がっても、上司に何も言わない。昇給率は周りの同僚と同じだと分かっているが、自分は他とは違うと思っている。自分はもっといい給料をもらうべきだ、と。そしてもっと給与が上がるまで、今以上の仕事をしようとしない。こんな社員はこの会社で長くもたないだろう。

・ひねくれ屋

休憩所で他の社員に給与や賞与について文句を言い、ネガティブな空気を広めようとする。そして上司には一言こう言う。「みんな給与に不満を持っているみたいですよ」。しかし上司はお見通しだ。この社員もそのうち会社を去るだろう。

・うそつき

自分は他の会社からもっと良い給与を提示されている、と上司に言う。上司から内定通知を見せるように言われるが、その話はうそなので何も見せるものはない。この社員も会社からいなくなった。

この5タイプが理解していないのは、何を要求するかより、それをどう要求するかの方が大切だということ。昇給の交渉はいたって普通のことであり、それを避ける理由はない。だが、上司と信頼関係を築ければ、給与の話はよりしやすくなる。そのためには、所属部署の業績に貢献したり、短期的な目標を達成したりすること。そうすれば、あなたも上司も収入アップを実現できるのだ。

このポイントはあまりに多くの人が見逃しており、そういった人は、上司がケチだから賃金が上がらないのだと考えている。実際には、上司はあなたの給与についてそこまで考えていない。だが、自分が大きな貢献をすることに集中すれば、あなたは上司の立場になって考えることになる。大切なのは、自分と自分の要求だけではない。チームもまた重要なのだ。

昇給交渉のやり方は何もこみいったものではないが、多くの人がうまくやれていない。以下にその方法を紹介する。

・上司との面談から始める。必ず対面ですること。
・上司やチームの優先事項、またチームの成功に自分がどう貢献できるかに焦点を置く。
・自分のパフォーマンス目標に責任を持ち、約束したことは実行する。
・自分の成果について、上司と定期的に確認する。

より多くの仕事をこなし、成長に向けて学べば、それが給与交渉の土台となる。パフォーマンス目標を達成する姿を見せれば、むしろ上司の方から給与の話を持ち掛けられるかもしれない。