貯蓄が1000万円以上ある人と貯蓄が0円という人とでは、生活習慣にさまざまな違いがありますが、その一つに「生活設計を立てている」という点があります。今回は「2人以上の世帯」についてのデータをもとに、1000万円以上貯めている人の思考を探ります

「生活設計」への考え方…あなたの場合は?

以前、「生活設計を立てている」と答えた人ほど、貯蓄額が多い傾向にあるとお伝えしたことがあります。この記事は、貯蓄が1000万円以上ある人と、貯蓄が少ない人のデータを比較してみました。金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査[二人以上世帯調査]」(2017年)の「生活設計策定の有無」から読み解きます。ぜひ、ご自分の場合と比べながらご覧ください。

※当記事の「貯蓄」とは、「金融資産」全体のことをさします。預貯金だけでなく、株や投資信託などの流動性の高い金融資産も含みます。また一部、筆者がデータを再集計して算出しています。

「生活設計を立てている」割合に大きな差が!

「あなたは、生活設計を立てていますか」と聞かれたら、以下Aタイプ、Bタイプ、Cタイプのどの回答になるでしょうか。

「生活設計を立てている」……Aタイプ
「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」……Bタイプ
「現在生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」……Cタイプ

では、貯蓄0円の人、貯蓄1000万円以上の人、中間くらいの貯蓄300~400万円の人の回答の割合を見てみましょう。

●貯蓄0円……Aタイプ23.4% Bタイプ43.7% Cタイプ30.6% 
●貯蓄300~400万円未満……Aタイプ34.6% Bタイプ41.2% Cタイプ22.9%
●貯蓄1000万円以上……Aタイプ50.4% Bタイプ29.9% Cタイプ19.0%

貯蓄0円の人のうち、「生活設計を立てている」というAタイプは20%超で、「生活設計を立てていないし、今後も立てるつもりはない」というCタイプは約30%もいます。ところが、貯蓄300~400万円未満の人では、Aタイプが30%超に増え、Cタイプが約20%に減ります。では、貯蓄1000万円以上の人はどうでしょうか。Aタイプが約50%と、いっきに増えます。貯蓄0円の人(23.4%)に比べると、その割合は2倍! 「生活設計を立てている」ということと、貯蓄額との関係性が高いことがよくわかりますね。

「今後は生活設計を立てるつもり」というBタイプにも注目!

次に、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの割合を見てみましょう。「貯蓄0円の人」は、このBタイプが40%超ですが、「貯蓄1000万円以上の人」では、約30%と少なくなっています。

実は、「現在生活設計を立てていないが、今後は立てるつもりである」というBタイプの人は要注意! 「~するつもり」と思っていても、ずるずる先のばしになって、結局着手しないままという経験はないでしょうか。「明日からダイエットをする“つもり”」と言っていたのに、翌日も同じことを言っているパターンに似ていますよね。ぜひ、Bタイプの人は少しでも早く生活設計を立て始め、Aタイプを目指しましょう。

貯蓄が1000万円以上あっても、生活設計を立てることは大切

貯蓄1000万円以上の人は、他の貯蓄額の人に比べると、Aタイプが多めですが、一方で、Bタイプ+Cタイプを合わせるとおよそ半数。つまり、貯蓄1000万円以上でも、半数の人が「現在は生活設計を立てていない」ことがわかります。

貯蓄が1000万円以上と多く、余裕があるので「生活設計については必要がない」と考えているのかもしれません。今はいいとしても、10年後、20年後になると状況が変わるかもしれませんので、貯蓄に余裕があるという人も、ぜひ一度、生活設計を立ててみてはいかがでしょうか。

以上、「生活設計」についての考え方を、貯蓄1000万円以上の人、貯蓄300~400万円の人、貯蓄0円の人で比較してみました。Bタイプ、Cタイプの人は、「生活設計を立ててみる」ことに少し関心がわいたかもしれません。生活設計をざっくり立てるために、1)人生における「お金の使い時」を考え、2)「貯め時」にガッチリ貯めて「お金の使い時」に備える、という2つのステップに、ぜひ取り組んでみてくださいね!
(文:西山 美紀(マネーガイド))