2018-1214
二人以上(夫婦)世帯と単身(一人身)世帯との間では、消費行動や家計の取り扱い方が大いに異なる。前者では家計全体のお金の他、世帯構成員一人一人のプライベートな金銭が別途やり取りされるが、後者では構成員は一人のみであることから、家計そのものが世帯構成員=本人の金銭のやりくりとなる場合が多くなる。今回は金融広報中央委員会の「知るぽると」が2018年12月12日に詳細統計表を発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の最新版となる2018年分などのデータを用い、「単身世帯における、お金の決済手段とその移り変わり」について、状況の確認と精査をしていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。

現金以外にクレカや電子マネーもバリバリ使う単身世帯


商品を買う、あるいはサービスを利用する際に、対価としてお金を支払わねばならないのは、世の中の常識。一方で最近では、直接現金で支払う以外にクレジットカードや「おサイフケータイ」のような電子マネーが使われる機会も多くなった。またクレジットカード決済のような複雑で利用ハードルが高いものでは無く、より簡単に、よりリスクが低い使い捨て型のプリペイドカード(マネーカードやギフトカードと呼ばれるもの。電子マネーの一種)も、昨今では普及しつつある。今回はそのような「単身世帯における、日常的支払の場面での資金決済手段」について尋ねている。

まずは直近2018年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっているので、事実上「何を使っているのか」に等しい結果となっている。


↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答、金額別)(2018年)

単身世帯の場合、小口決済では電子マネーの利用率が約3割となっている。5000円以下でも2割強が使っている。また、クレジットカードの利用率も高く、二人以上世帯では1万円超でようやく「現金利用率をクレジットカード利用率が超えた」のに対し、単身世帯では「5001-1万円以下」の区分で超えている。

これら二人以上世帯との差は、ひとえに冒頭で解説した通り、単身世帯が「世帯全体の家計」=「回答者本人のお財布」であることによるもの。クレジットカードや電子マネーの場合、利用の際に「個人の私財を使う」か「家計全体の出費とする」かによって争いごとが生じる、あるいは区別がつけられずに混乱する場合がある。一方で単身世帯の場合、本人の私財は同時に自らの世帯全体の資金でもあり、(わざわざ別口座で勘案している人を除けば)もめる心配は無い。従って、クレジットカードも電子カードも気軽に使えることになる。

もっともそのような状況下にある単身世帯でも、電子マネーはまだ副次的手段であり、現金が多分に使われていることに違いは無い。そして電子マネー以上にクレジットカードが大いに活用されているのも、二人以上世帯と同じ。

急速に利用が伸びる電子マネー


時代による変遷を見ると、(参照できるデータが2007年以降のものでしか無く、仕方が無い面もあるが、)2007年の時点で電子マネーがすでに比較的多くの人に使われていることが確認できる。

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」回答率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「現金」回答率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率、支払金額別)

↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率、支払金額別)

2007年の時点で2割強の単身世帯者が、小口決済でおサイフケータイをはじめとする電子マネーを多用している。そして主に5000円以下の支払いで漸次利用率は増加し続けている。「小銭代わりの電子マネー」は単身世帯にとって、第二の「小銭」的立ち位置を確かなものとしつつある。ただし5000円以下の区分に限れば、この数年は利用率が頭打ち状態になっているのも事実で、利用状況の上限に達している可能性はある。5000円超では少しずつ利用率は上昇し続けているが。

一方現金は、主に少額決済の面で利用率を減らしている。クレジットカードは増加しており、「現金」から、「電子マネー」や「クレジットカード」への流れを主なものとし、支払い対象などの場面によって、払い方を変えるライフスタイルの変化が見て取れる。

直近年ではすべての金額区分で「現金」の利用率が減り、「クレジットカード」で増加している。特に少額区分での増加率が著しい。クレジットカード対応店舗が増えていることが、利用率を引き上げているのだろう。



余談になるが。「日常生活における買い物」では無く、公共料金などの定期的な支払いでは、口座振替が主流。ただし二人以上世帯と比べると、口座振替の利用者の減り方が大きく、クレジットカード利用者の増え方のペースが速いのが目に留まる。そして2013年にはついに両者の立ち位置が逆転した。

↑ 公共料金などの定期的な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答)
↑ 公共料金などの定期的な資金決済手段(単身世帯、2つまでの複数回答)

2014年以降は口座振替とクレジットカードの利用率がもみ合いを続けたが、2016年に差が広がる形でクレジットカードの利用率が上回った。直近の2018年では両者とも前年比で利用率は減少したものの、それなりの差をつけたままとなっている。

このようにクレジットカードの利用が増え、口座振替を超えるまでに成長しているのは、「個人のクレジットカード口座」と「家計全般の口座」が同じであり、それならば利用する金額が多いほど特典を得られるクレジットカードを使った方がよいとする判断の結果によるもの。

世帯構成員個人の私財を預かる「お財布」と、家族全体の家計をあずかる「お財布」が同じか別物か。ここに、単身世帯と二人以上世帯における、電子マネーやクレジットカードの利用傾向の違いが表れていることになる。

電子マネーにしてもクレジットカードにしても、有効な活用方法を実践できれば、お得な点も多い。いかにメリットを引き出せるか、単身世帯はもちろん二人以上世帯でも、色々と考えてみることをお勧めする。