日本は職場変革に向けたデジタル人材が不足
 「生産性向上」と「長時間労働の是正」に向けて、国を挙げて「働き方改革」が騒がれるようになってから1年以上が経過している。企業が取り組まなければならない課題との見方が出ているものの、なかなか進めることができないのが実情といえよう。
 このほど、IDC Japanが日本およびアジア太平洋地域で実施した「働き方の未来(Future of Work)」に関する調査では、職場の変革が進まない理由の一つに最新IT活用への意識が薄いとの結果が出た。こり調査は、従業員規模が100人以上で売上高が10億円以上の企業の経営者や、最新テクノロジーの導入に関わる役職者などを対象とした。

 職場を変えるために最新ITを活用する意識が薄い理由の一つに、デジタル人材の不足が挙げられるという。解決策として市川和子PC・携帯端末&クライアントソリューショングループマネージャーは、「ITに慣れ親しんだミレニアル世代(30代中盤以下の世代)を積極的に活用して仕事の仕方や場所、時間を変革することが求められる」としている。

 また、パーソルホールディングス(パーソル)とランサーズは、共同出資で「シェアフル株式会社」を2019年1月に設立すると発表。個人が時間単位で登録したスケジュール情報を企業が確認して迅速に採用できるという、新しい労働のマッチングサービスを提供する。学生や主婦などが自由に働ける環境を整えるのが主な目的だが、企業の正社員が「副業・兼業」として利用することにも期待しているという。

 シェアフルの社長に就任するパーソルの大友潤執行役員は、「サービス開始当初は副業や兼業での利用者が多いとはいえないだろう。ただ、雇用する企業も採用する企業も環境が整えば、当社サービスの必要性を意識する可能性を秘めている」としている。

 「社内で長時間にわたって仕事する」という習慣が依然として根付いているのが、働き方改革の進まない理由の一つであるといえる。人事制度の改善など多くの課題があるとはいえるが、まずは、ミレニアル世代の考え方を取り入れる風土、新しいサービスの有効活用などは、働き方改革を実現する策になるかもしれない。(BCN・佐相彰彦)