中古マイカーを平日貸し出し"月10万円"-
余っているところから、欲している人へ。世の中の需要と供給をオンラインでマッチングする、新しいシェアリングサービスが増えている。あなたにもお金になる資産がきっとある。
■大儲けでなくとも、ハマる人が増加中
個人間でモノやサービスを融通し合う「シェアリング」が、じわじわと広がりを見せている。
先駆けは5年前に日本進出したAirbnbだったが、2018年6月の住宅宿泊事業法(民泊新法)施行で個人が気軽に部屋を貸すのは難しくなってしまった。だが、その間にもシェアリングは、我々の生活に着々と浸透し根付きつつあるようだ。
PwCコンサルティングの調査によると、日本におけるシェアリングサービスの認知度は42.4%(2018年)で1年で10%以上増加。30代の57.4%、40代の49.1%が(利用者として)利用してみたいと肯定的に感じているという。
今やクルマ、ガレージ、空き部屋、知識や経験……等々、さまざまなジャンルで「持っている人」と「必要としている人」を引き合わせるサービスが誕生している。本特集ではシェアリングで手持ちの資産を貸して、利益をあげている人たちに話を聞いた。
当然、対価によって副収入が得られるが「ガンガン儲けよう」というよりは「少しでも得できれば嬉しい」「貸し借りを通じたやり取りが楽しい」という人が多かった。そこにはお金だけではない、何かがあるようだ。
あなたにも誰かに貸せる資産はないだろうか? それを貸せばお小遣いが得られ、さらに新しい世界が開けるかもしれない。
▼マイカー
愛車をシェアし維持費を捻出、人脈も広がった
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中原健佑さん
33歳●不動産投資会社勤務●平均受取額7万円/月
33歳●不動産投資会社勤務●平均受取額7万円/月
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■クルマ好き同士で、話が盛り上がる
中原健佑さんは数年前にポルシェ・カイエンを購入した。
「最初はマツダCX-5を検討していたんですが、中古でこのカイエンがわりと手の届く価格で売りに出ていたんです。憧れのポルシェだし、欲しいなあと思って……」
ただ、年式の経ったポルシェは故障が増えて“金食い虫”になるとも聞いていた。そこで背中を押したのが、個人間カーシェアの利用だった。
「少なくとも会社に行っている間は乗らないわけで、誰かとシェアすれば維持費を捻出できるかもしれない。そう考えて、決断したんです。Anyca(エニカ)に登録してみると、やはりカイエンに乗ってみたい人は多いようで、たくさんの問い合わせがありました」
中原さんが設定した料金は平日5999円、休日6999円(24時間)。サービス運営会社の決まりで維持費(※)以上には設定できない。ドライバーはクルマ好きで「カイエンに乗ってみたかった」という人たちがほとんどだ。
「旅先のお土産をもらうこともよくあります。いいクルマですねって言ってもらえると、やっぱり嬉しいですね。以前カイエンに乗っていたという人は、メンテナンスに関して詳細なアドバイスをくれました。意気投合して飲み友達になった人もいます」
気持ちよく乗ってもらうため、整備にも気を使う。シェアで得られる7万~10万円/月は駐車場代や部品交換、それに3カ月ごとの定期点検に充てている。
「それだけまめにメンテナンスをしていたら、やっぱり長持ちするんですね。ポルシェの代理店は走行距離が10万キロを超えると買い替えを勧めるらしいのですが、私のクルマは手入れが行き届いて状態がいいので“30万キロまで頑張りましょう!”って応援してもらっています」
見ず知らずの人にシェアすることで、トラブルや嫌な思いをしたことは?
「擦られたりはたまにありますが、ドライバーは保険加入が必須ですし、ちゃんと直してもらえます。400回以上シェアしましたが、嫌な思いをしたのは“傷つけたのは自分じゃない”と逆ギレされた1件だけ。率にしたら0.25%ですし、それが些細に感じられるくらい、いいことのほうが多いです」
※クルマの購入金額、購入時走行距離、年間維持費からオーナーが設定できる共同使用料の上限が決められている。
▼駐車場
ガレージを時間貸し、収入増の工夫も楽しい
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峯山健治さん
32歳●メーカー製作所勤務●収益1.1万円/月
32歳●メーカー製作所勤務●収益1.1万円/月
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■ほったらかしでも、月数千円にはなる
JR五反田駅にほど近い閑静な住宅街に、峯山健治さんの自宅はある。近隣はガレージを備えた戸建て住宅が多く、それぞれにクルマが停まっているが、峯山さん宅のガレージは空いている。
「この家には5年前から住んでいますが、クルマを持ったことはありません。会社には自転車で通勤していますし、交通の便が非常にいい場所なので、必要がないんです。でもガレージにクルマが停まっていないというのは、なんだか家としての“収まり”が悪いんですよねぇ」
月極で貸すことを考えたこともあったが、不動産屋に出向いたり契約したりが億劫でそのままにしていたという。そんなある日、ポストに「シェアリング駐車場募集」のチラシが入っていた。
「こんなサービスもあるのかとスマホで簡単に登録してみると、たまたま近所にいた担当者から“説明に行ってもいいですか”と連絡がきました。料金、貸出日や時間、受け入れ車種など細かく設定できるのですが、ウチはずっと空いてるんで“大きさ的に停められる車ならどなたでもどうぞ”という感じにしたら、すぐに予約が入ったんです」
最初の“お客さん”は16日間の午前・午後に一括予約を入れてくれ、3万2000円の売り上げになった。
「近くに大きな病院があるので、そこに入院されている方のご家族かもしれません。借りる方とは直接やり取りしないので、実際にはどんな人が何の目的で利用するのかはわかりません。ただ、こちらとしては何もしてないのにお金が振り込まれて、ありがたいというだけで」
初月こそ順調な滑り出しだったが、翌月以降は一括予約の特需がなくなり5000~8000円にとどまった。
「価値を生まないスペースだったので、月数千円でも満足です。でも、少し工夫すればもっと借りてもらえるんじゃないかとも思うんです。たとえばここに、小さな看板を出してみるとか」
近くのコインパーキングには、県外から来たファミリーカーがよく停まっている。この辺りのお宅を訪ねてきた人だとすれば、ご近所さんに「ここは時間で借りられるんだ」と知っておいてもらうことには価値がある。
「予約ができるのも、利用者には便利なはずです。周辺のコインパーキングは満車がちで、停める場所を探してウロウロしているクルマも見かけます。料金設定も休日と平日で変えてみたらとか、あれこれ考えるようになりました」
▼物置
将来の子ども部屋を物置に提供して副収入
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かおるさん(仮名)
46歳●会社員●収益2万~3万円/月
46歳●会社員●収益2万~3万円/月
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■シェア上級者が、空間貸しに夢中
かおるさん(仮名)は3年前、長男の誕生を機に東京・恵比寿に3LDK(60平米)のマンションを購入した。
「5畳の洋室は将来子ども部屋にする予定ですが、まだ小さいので今のところ使っていません。もったいないなと思っていたときに、荷物を預かって対価をもらう『モノオク』というサービスを知って“これだ!”と思いました」
じつはかおるさん、以前からシェアリングには並々ならぬ興味があり、数年前には民泊でもかなりの利益をあげたという。宿泊客がトイレを詰まらせるトラブルで心が折れてからは遠のいていたが、部屋を荷物置きに貸すのであればそうした心配は無用だ。
「料金は需要を見ながら変えていますが、現在は1畳あたり8000円/月にしています。半畳とか1/4畳とか、期間が短くてもOK。できる限り臨機応変に対応しますが、腐るものや生き物はNGです」
これまでに利用したユーザーは、転勤が決まって仮住まい中の会社員や、撮影用の雑貨を集めるスタイリストさんなどさまざま。平均すると月2万~3万円の収入になっている。取材日は搬出があったばかりで荷物は少なめだったが、数日前まで本や雑貨がぎっしり詰まったダンボールが積まれていたという。
「荷物は宅配業者が運んでくることもありますが、事前に部屋を見てもらうなど、1度は本人と会うようにしています。実際の広さは写真や数字ではわかりづらいし、お互いの安心のためもあります。最初は不安もありましたが会ってみるといい人ばかりで、逆に驚いているくらいです」
空きスペースを見つけると「ここも貸せるんじゃないか!?」と考えるようになったかおるさんは、その後クローゼット(棚一段あたり3000円/月)やベランダ(専有で3000円/月)も貸し出すことに。さらに密かに専用物件を借りての物置投資も考えているという。
「都心部でも築50年近い木造アパートが、家賃3万円台であったりするんです。そういう格安物件を借りて、モノオクで回せば副業にできるんじゃないかと。トランクルームより手軽で使い勝手がいいので、ひょっとするとイケるかもしれません」
▼スキル
知識や経験も、利益を生み出す立派な資産
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大底春菜さん
ITサービス会社勤務●収益7万円/月
ITサービス会社勤務●収益7万円/月
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■個人レッスンで「得意」を教える
大底春菜さんは個人の時間を30分単位で売買するシェアリングサービス「タイムチケット」の運営メンバーで、自身も“副業”として出勤前と退社後にスキルを販売、月7万円ほどの収益をあげている。
「いちばん好評なのは『あなたの得意なことチケットにします』というカウンセリングです。自分にはお金になるような才能はないと思っている人が多いのですが、絶対にそんなことありません。仕事でも趣味の分野でも、他人が見たら“教えてほしい”と羨むスキルがきっとある。私はそれを見つけるお手伝いをしています」
大底さんの前職は、ジャパネットたかたのAD。もともと人に何かを勧めるのは好きだったが「商品のいいところを見つけ、アピールの仕方を考える」才能に長けた人たちの中で、自然と鍛えられたのかもしれない。
「周りの人たちがすごすぎて自分は“ダメなほう”だと思っていたのですが、転職したら“すごいね”と言われたんです。所属するコミュニティを変えると、スキルが高い価値を持つ好例ですね」
収納がうまい、早起きできる、営業のアポ取りが得意、いつも資料作成を頼まれる、ネーミングのセンスがある、美味しい店をたくさん知っている、最近転職に成功した、等々。
未経験者やそれが苦手な人からすれば、どれも垂涎のスキルや情報だ。
「また、私は地図を見るのが大好きで、街歩きで迷ったことがありません。ところが世の中には“駅まで迎えにきてもらわないと、どこにも辿り着けない”人もいるんですね。そこで『道に迷わない地図の読み方、教えます』というチケットを30分3000円で売り出したところ、これまでに8名が購入してくれました」
ちなみに、高評価をつけた1人は、60分2万円のチケットが飛ぶように売れる人気のカラーセラピストだった。誰にでも得手不得手があり、教える側にも教えられる側にもなれるところが面白い。
「自分が提供できるスキルを明示し、それを見た人が申し込んできます。その時点でお互いのゴールは明らかなので、初対面でもすぐに本題に入れます。誰かに感謝されるのは喜びだし、それがお金になればなお嬉しい。逆に自分にない知識を教えてもらい、向上するのもまた楽しい。人脈も広がりますよ」
まずは自分にどんなスキルがあるか、資産の棚卸しをしてみてはどうだろう。
(渡辺 一朗 撮影=山本祐之、加藤昌人 写真=iStock.com)
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