パート年収170万円の妻は夫の扶養に入れる?
配偶者の年収が170万円や180万円の場合の配偶者特別控除額は?
2018年からは配偶者特別控除額の上限が上がっています。控除を受けられる配偶者の年収上限が上がっているのです。時給が高い専門職などでパートとして働いている奥さんなど、月収として15万円ぐらい稼いでいる人も、2018年からは夫に配偶者特別控除が適用されることになります。図のように、昨年と比較して、170万円の場合には21万円、180万円の場合には16万円の所得控除が増えたことになります。
夫の年収が500万円の場合の効果額は?
夫の年収が500万円の場合には、どのくらいの税額が減少するのでしょうか? 前提として、所得控除は、配偶者特別控除と基礎控除、社会保険料(年収の15%とみなす)のみを考慮(住民税の調整控除も考慮外)して計算してみます。配偶者特別控除を加味する前の課税所得金額は……
夫の給与所得: 346万円(年収500万円-給与所得控除154万円)
社会保険料控除:△75万円(住民税も同額)
基礎控除:△38万円(住民税は33万円)
課税所得金額:
233万円 ⇒ この場合の所得税等率 10.21%
(住民税)238万円 ⇒ この場合の住民税率 10%
※所得税等は所得税及び復興特別所得税とします(以下同様)
合計税率が20.21%となりますので、
・170万円の場合は、約4万2400円
・180万円の場合は、約3万2300円
が配偶者特別控除の効果額となります。
年収170万円の人が、年収150万円まで下げた場合には?
では、年収170万円の人が、年収150万円まで下げた場合にはどのようになるでしょうか? 所得税等及び住民税の影響額(基礎控除及び社会保険料控除(年収の14%)のみ考慮)について考えてみます。▼年収170万円の人の税負担額年収170万円の人の税負担額は以下になります。
配偶者の給与所得: 102万円(年収170万円-給与所得控除68万円)
社会保険料控除:△23万8000円(住民税も同額)
基礎控除:△38万円(住民税は33万円)
課税所得金額:
40万2000円 ⇒ この場合の所得税等率 5.105%……2万500円
(住民税)45万2000円 ⇒ この場合の住民税率 10%……4万5200円
計 6万5700円
▼年収150万円の人の税負担額年収150万円の人の税負担額は以下のとおりです。
配偶者の給与所得 85万円(年収150万円-給与所得控除65万円)
社会保険料控除 △21万円(住民税も同額)
基礎控除 △38万円(住民税は33万円)
課税所得金額:
26万円 ⇒ この場合の所得税等率 5.105%……1万3200円
(住民税)31万円 ⇒ この場合の住民税率 10%……3万1000円
計 4万4200円
つまり、年収を170万円から150万円まで下げた場合には、本人の税負担が約2万2000円の減額、社会保険料が2万8000円減額しますが、収入が20万円減額しますので、差引約15万円の家計影響となります。
また、配偶者特別控除額17万円(38万円-21万円)の影響を加味できたとすると、税率20.21%で約3万4300円減額されますので、差引約11万6000円の家計影響となります。
年収を129万円まで下げた場合は?
年収を129万円まで下げた場合はどうでしょうか? 年収129万円の人の税負担額は以下になります。配偶者の給与所得:64万円(年収129万円-給与所得控除65万円)
社会保険料控除:0万円(住民税も同額)
基礎控除:△38万円(住民税は33万円)
課税所得金額:
26万円 ⇒ この場合の所得税等率 5.105%……1万3200円
(住民税)31万円 ⇒ この場合の住民税率 10%……3万1000円
計 4万4200円
年収を170万円から129万円まで下げた場合には、本人の税負担が約2万2000円の減額、社会保険料が21万円減額しますが、収入が41万円減額しますので、差引約17万8000円の家計影響となります。
また、配偶者特別控除額17万円(38万円-21万円)の影響を加味できたとすると、税率20.21%で約3万4300円減額されますので、前述の計算から再度の差引をして約14万4000円の家計影響となります。
残念ながら、年収170万円や180万円の人は、所得税や住民税、そして社会保険の扶養に入ることはできませんが、家計へのトータルの影響を考えた場合、パート年収を下げずに、多くしたほうがよいということになるのではないでしょうか。
(文:坂口 猛(マネーガイド))
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