有効期限が切れる前に、新たにクレジットカードが送られてきます。そのカードに、ICチップが埋め込まれていることに気が付いていましたか。これは2018年6月1日に改正割賦販売法が施行され、「クレジットカードのIC化が義務付けられた」からです。

ICチップを読み取るレジの設置が義務付け!

 これにより何が変わるかというと、店舗は、クレジットカードの磁気ストライプを読み取るレジ方式から、クレジットカードに格納されたICチップを読み取るレジ方式に変更しなければなりません。
 顧客もレジでクレジットカード決済をするとき、サインではなく「暗証番号入力」をすることになります。

改正の目的は「偽造防止」にある

 この割賦販売改正の目的は「偽造されやすい磁気ストライプカードから偽造防止効果の高いICチップ入りカードに変更すること」にあります。
 そのため、販売店にはICクレジットカードを処理(読み取り等)する端末の設置が義務付けられ、クレジット番号等の情報漏えい対策も求められたわけで、販売店と契約を結ぶクレジットカード会社も、(現在も登録していますが)新たに経済産業省への登録が必要になり、販売店の適切性・安全性を調査し、しっかり管理することが義務付けられています。

「POSシステムを導入している店舗」は注意!

 店舗が新しい端末に入れ替える必要があるか、判断は簡単です。
 今の端末がカードを差し込んで読み取り、暗証番号を入力する方式のレジで、データを外部の情報処理センターに直接伝送している場合は、既に全ての対策が取られているので、入れ替えの必要はありません(カードをスワイプする方式のレジは入れ替えが必要です)。
 注意が必要なのは「POSシステムを導入している店舗」です。POSシステムと端末間で決済を連動している店舗、カード処理機能のあるPOSシステムを導入している店舗のいずれもICクレジットカードに対応していない場合は、端末の変更が必要です。
 対応している場合でもカード情報の保護をしなければなりませんが、店舗によってシステムや情報保護の方式が違うので、POS機器メーカーに相談してください。

端末の交換費用は1台当たり数万から10万円

 スーパーマーケットやコンビニ、ドラッグストア、家電量販店等、日本では磁気ストライプを読み取る方法が主流です。ICクレジット端末と交換する費用は1台当たり数万から10万円ともいわれています。もちろん、店舗数が多ければ割安になるでしょうが、かなりの手間と費用が発生することは間違いないでしょう。

問題は「いつまでに実施しないといけないか」

 問題は、いつまでに実施しなければならないかです。
 法律は2018年6月1日に施行されていますが、完全実施がいつまでなのかは明確になっていません。経済産業省の意向は、2020年3月がめどといわれています。東京オリンピック・パラリンピックに多くの外国人が来日するのに合わせ、「日本は安全・安心な国ですよ」とアピールしたいのです。
 レジ袋の有料化も今年、日本で開かれる「G20の環境問題」に呼応していますが、実施時期は2020年がめど。これも「2020年問題」の1つです。

義務付けを勝ち残るためのチャンスと捉える

 オリンピックをきっかけにいろいろと整備されることは良いことですが、それに対応する側は大きな労力と費用を負担しなければなりません。ただし、これらはどの企業も越えなければならない壁で、乗り越えてこそ未来があります。
 消費税増税からスタートし、食品表示法の完全実施、HACCPの導入義務化、ICクレジットの導入義務化、レジ袋の有料化、食品ロス削減の推進と、食品業界、流通業界にとって、「2020年問題」は生き残りをかけた戦いです。
 法律で義務付けられたことを1つでも実行できなければ淘汰されてしまいます。「法律だから仕方なくやる」のではなく、勝ち残るためのチャンスだと捉えましょう。