東京には、様々なライフスタイルを持つ者がいる。
中でも、最近特に注目されているのが「デュアルライフ(2拠点生活)」だ。
ビジネスや子供の教育のために、このスタイルを選ぶ人も多い。
通信機器の発達により、東京と地方、東京と海外などでデュアルライフのための環境が整ってきたことも大きく影響しているのだろう。
では、その実際の暮らしぶりとは、どのようなものだろうか?
この連載では、都心に住む限られたアッパー層のデュアルライフに至った事情と、その実態を覗いてみる。これまで、45歳で港区を卒業し
「沖縄おじさん」となった男、一緒に週末を過ごすのは月1回だけという夫婦の実態、NYと東京で、欲しいものは何でも手に入れてきた女、田舎暮らしに耐えられず、別居婚を選んだ女を紹介してきた。今回のデュアラーは…?

#File05 東大卒のバツイチCEO。鎌倉と恵比寿のデュアルライフの実態とは?
名前:本山圭介 37歳(仮名)
住まい:恵比寿/平日、鎌倉/週末
職業:IT系企業のCEO、クリエーター、講師
家族:バツ1 独身
様々な理由でデュアルライフを送る者がいるが、これまでの取材によると、デュアラーは社長、取締役、フリーランスなど比較的自由な立場の職業の人が多い傾向にある。
今回もやはり、IT系企業のCEOをしているという圭介と、恵比寿ガーデンプレイスの『メゾン・イチ 東京都写真美術館店』で待ち合わせをしていた。
待ち合わせ場所に現れた彼は、身長180㎝以上、無精髭が色気を醸し出す、甘いマスクの男だった。しかもなんとミニセグウェイを抱えて現れた。
これは、ツッコミどころなのか?と迷いながら、ミニセグウェイについて尋ねると、よくぞ聞いてくれたと言わんばかりに、圭介は意気揚々と話し始めた。
「最新の電子機器や遊び道具などを実際に試すことは、仕事の一つなんですよ。このミニセグウェイも最近買ってお試し中なんだけど、結構気に入っちゃって。今日は人が多いから乗るのはやめておきましたが(笑)」
常に情報に敏感で遊び心を失わないことが、仕事に良い影響を与えてくれるのだろう。本題に入る前に、その話題で盛り上がり、すっかり打ち解けることができた。
圭介は、東京大学在学中に開発したアプリが認められ企業とコラボして起業し、今はIT系会社のCEO兼クリエーター、時々講師と様々な顔を持つ。
そして、鎌倉と恵比寿のデュアルライフを送っている。その実態について詳しく尋ねてみた。
デュアルライフを始めた、2つの理由とは?
サーフィンのためなら通勤時間1時間半でも快適だった
「デュアルライフっていうのかわかりませんが、言われてみると確かに、鎌倉と恵比寿に部屋がありますね。自然な流れだったし、移動も簡単なので今話題のデュアラーだなんて意識もしていなかったですが。この生活スタイルになったのは、サーフィンのためです」
圭介がサーフィンに出会ったのは大学時代。それまで、中高一貫の男子校で勉強ばかりだった彼を、大学の先輩がサーフィンに誘ってくれた。初めて波に乗った時の、海と一体となった不思議な感覚に衝撃を受け、それ以降サーフィンの虜になった。
大学を卒業し、仕事が多忙になってもサーフィンは圭介の生活の一部だった。そこで、サーフィンライフを思う存分楽しむために、鎌倉のマンションに引っ越した。

「鎌倉は、都内よりも断然広い部屋が持てますし、夏の夜に広いテラスでぼーっと音楽を聴きながらビールを飲むのは最高ですよ。
そして、朝5時に起きて、由比ヶ浜でサーフィンをしてから出勤するなんていう贅沢なことをしていました。鎌倉から渋谷の職場までは、駅までの道のりを含めて1時間半ほどでしたが、平日も海に入りたい僕にとっては快適な暮らしでした」
サーフィンをするための鎌倉生活だったが、デュアルライフを送るきっかけになった理由がもう一つあるとのこと。
「もう一つの理由は、音楽です。音楽好きの父親の影響で、幼い頃から家にあった父のレコードを聴きまくっていました。
高校時代は、お小遣いを貯めて自分でDJセットを買って遊んでいました。J-popから、ハウスやテクノ、ジャズまでなんでも聞きましたよ」
大学に入ると、純粋に音楽が聴きたくてクラブ通いを始めた。自然と音楽仲間が増え、その縁でDJをすることもあったため、ほぼ毎週どこかのクラブに顔を出していた。
あくまで、音楽空間が好きだから、出会い目的ではなく真面目に通っていたことを強調する圭介。
社会人になってからも、クラブ通いは続いた。20代の頃は、六本木や青山のクラブで遊んだ後、シャワーと着替えのため鎌倉に朝帰りして寝ずに出勤ということもあった。しかし、30代になり、会社も少しずつ大きくなるにつれて流石に体もきつくなってきた。
そこで、仕事場に近くクラブ通いもしやすい恵比寿にも部屋を借りた。そうして、自然と平日は恵比寿、週末は鎌倉生活となった。
音楽とサーフィンとデュアルライフ。最高の組み合わせのように聞こえる。趣味も仕事も全力で打ち込める理想的とも思える生活。
しかし、そんなデュアルライフにも、良い面がある一方で、思わぬ誤算もあるという。
デュアルライフの思わぬ誤算とは?
「この生活のメリットは、恵比寿と鎌倉は近いですけれども全く違う雰囲気なので、場所を移動するだけで、不思議とクリエイティブに物事が考えられるところですね。
鎌倉は、海も山もあるところに魅力を感じます。サーフィンをするので海はもちろんですけれども、たまに山を散歩したりしますよ。特に歴史を感じながら切通し巡りをするのが好きです」
また、素敵なカフェやバーも多く、地元ならではの交流もあり、鎌倉出身ではなくても自分の居場所を見つけることができるところが鎌倉の魅力だという。
「でも、こんなに最高の生活にも意外と落とし穴があるんですよ」と圭介は話し始めた。
「結婚できない」デュアルライフの思わぬ誤算
「デメリットは、僕の問題かもしれないですが、なかなか結婚できないことです(笑)。今の生活が快適過ぎて…」
結婚できないと言いつつ、このルックスと社長という肩書きがあり、さぞかしモテるように見えるが、中高一貫の男子校だった圭介は、自分は大学デビュー組だと謙遜する。
「高校までは勉強が楽しかったし、真面目に生活していました。でも大学に入り、出会いが増えてモテ期が到来しましたね。正確には、モテたというよりは、モテ遊ばれていました」
一度目の結婚は、大学を卒業して間もない頃に当時付き合っていた年上の彼女の強い押しで結婚したが、1年程で離婚した。振り返れば、結婚していたという自覚もなかったそう。

「僕の人生、自然な流れで手にしているものが多いんです。起業もデュアルライフも気づいたらという感じでした。でも、再婚だけは、自然な流れではできないですね。“結婚は勢い”なんて言うけれど、勢いでした一度目の結婚は失敗しているからな…」
急にこじらせ男のような発言をする圭介。付き合い始めの時は、女性も自分の趣味や仕事に共感してくれるが、そのうち “結局自分が一番大切なんでしょ!”と言われて振られることが多いとのこと。
「本当は、自分にとって大事なものは“家族、サーフィン、音楽”と言いたいところなんですけどね。そろそろ子供も欲しいですし、鎌倉に家を買って自分たちでリノベーションして住むのが夢です。
相手にも僕と同じように大切にしたい仕事や趣味があって、お互い尊敬し合える関係が理想かなと思っています」
このままいけば、仕事と趣味にハマりすぎてずっと独り身が続きそうだから早く脱却したいとは思う一方、今の生活は快適だからこのまま続けたいという。
好きなことを追求した結果の、自然な流れのデュアルライフ。
完璧な満足はなくとも、今の暮らしを語る彼の表情は幸せそのものであった。
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「日本の女子が嫌い」アメリカ育ちの日本人が登場。LAと東京のデュアルライフ
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