「俺の旅」5月号を持ち歌舞伎町にたたずむ生駒氏
“元気な男たち”にとっては、深刻な問題だ。この夏、エロ本がコンビニから消えてしまう。大手コンビニがこぞって成人向け雑誌の販売を取りやめると表明して約3か月。8月末をメドにコンビニからエロ本がなくなる。これも世の中の流れ、と言ってしまえばそれまでだが…。本紙にもたびたび登場した風俗情報誌「俺の旅」(大洋図書)も4月発売で休刊。エロ本を手軽に買えなくなった「エロ本難民たち」の漂流の行く末は?
 コンビニの雑誌コーナーは多くの人が利用したことがあるだろう。その奥に成人向け雑誌が隔離されるように置かれているのだが、ついに複数の大手コンビニから8月末をメドになくなる。
 ミニストップが2017年末から順次、販売を中止。今年1月、セブン-イレブン・ジャパンとローソン、ファミリーマートが成人向け雑誌の販売を8月末までに原則、中止するとした。国内の9割超のコンビニで取り扱いがなくなることになる。女性や子供、外国人観光客への配慮だという。
「俺の旅」も影響は避けられず、4月発売の5月号をもって休刊となった。
 編集長の生駒明氏は「コンビニで9割を売っていたので休刊はやむを得ませんでした。正直、潮時です。コンビニの判断は当然でしょう」とさっぱりした表情で話した。15年9か月続いた「俺の旅」は最高で8万部を超える売れ行きだったが、 最近は下がっていたという。
 ほかの成人向け雑誌も同様に決断を迫られている。将来の展望を描けず廃刊するものや、過激なエロをやめてソフト化路線を推し進め、一般雑誌の棚を目指すものなどに分かれている。
 そんな中、「俺の旅」はウェブに活路を見いだそうとしている。生駒氏は「独立することにしました。出版社と話し合い、『俺の旅』の商標を使っていいことになったので“ウェブ版俺の旅”として続けていくつもりです」と宣言した。
「俺の旅」の購読者層は40代から70代。コンビニに置かれるほかの成人向け雑誌も同様で、デジタル化の波に乗り切れていなかったシニア世代が買っていたわけだ。近年はデジタル写真集の売り上げが良くなっており、エロ本などのエロコンテンツもどんどんデジタル化が進んでいくと予測される。
「エロ本がなくなることで、エロ本を購読していたシニア世代は嫌でもデジタル化されていくでしょう。エロ本がコンビニからなくなっても彼らの性欲はなくなりませんから、性欲にかき立てられるように、ITの勉強を始めることになります」(生駒氏)
 まさに、AV見たさにVHSビデオデッキの普及が進んだ、みたいな話だ。日本社会はデジタル化が遅れていると指摘されることが多いが、シニア世代がデジタル化に慣れ親しめば、さまざまなことが変化する。
「アナログにこだわっていたシニア世代が減ることで、ペーパーレス化やキャッシュレス化もより進む。ファクスもなくなるでしょう」(前同)
 それでも紙媒体を望む人のために、部数を絞った通信販売限定のエロ本や、注文を受けて作るオンデマンド印刷のエロ本などもあり得るが、エロ本の在り方は以前と違ってくる。
 やはり世の中を変えるのはエロなのだ。