ふるさと納税、あなたの寄付上限額は? 計算式で確認
2019/6/1
ふるさと納税制度をよく利用する人は、税金控除のメリットを最大限生かせる寄付額の上限を知りたいでしょう。自己負担額が2000円で済む寄付の上限額について、実は簡易に計算できる方法があります。
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ふるさと納税は自治体を指定して寄付する制度です。寄付金控除の対象となり、2000円の自己負担分を除いて住民税と所得税から差し引かれ、税額が安くなります。
ただし無制限で税金を減額できるわけではありません。年間の寄付が一定額を超えると、その分は控除の対象外となり、追加で自己負担が生じます。では年間いくらまでであれば自己負担を増やさずに済むのでしょうか。
その上限額は収入や家族構成などにより異なり、税制上の計算法は複雑です。所得税と住民税それぞれで計算が細分化され、求めるのに何段階ものステップがあって自力で計算するのは困難です。
ふるさと納税の仲介サイトなどでは年収や配偶者、扶養親族の有無などを入力すると目安額を試算できる機能があります。それでも細かな条件を一般化している例が多く必ずしも自分の条件に合うとは限りません。
図は自分の条件により即して上限額を求めるための計算式です。税制上の計算法を基に、途中のステップを省いて速算できるよう加工したものです。
利点は自分の「課税所得」さえ把握すれば計算できることです。課税所得とは給与年収から配偶者控除や社会保険料控除といった各種の所得控除を差し引いた金額です。
5~6月に勤め先の会社を通じて配布される住民税額の決定通知書を見れば、前年分の課税所得が載っています。その金額を計算式の分子にある「課税所得」にあてはめてかけ算したり、分母にあたる「割戻係数」を下表から選んで割り算したりします。
課税所得が例えば400万円なら割戻係数は0.6958で、計算していくと結果は11万6975円になります。これがふるさと納税制度を最大限生かせる寄付額です。実質的に2000円の自己負担だけで自治体から特産品などの返礼品を受け取れます。
今年ふるさと納税する分については本来なら今年分の課税所得をあてはめる必要がありますが正確な額は、年半ばの現時点ではわかりません。税理士の柴原一さんは「給与が大幅に増減しそうな場合を除き、前年分の課税所得を代替すれば目安がわかる」と話します。人によっては今年中に扶養親族の数が変わるなどして課税所得が前年から大きく増減する可能性があるので注意してください。
[日本経済新聞朝刊2019年5月25日付]
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