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お金の力を正しく知って、思い通りの人生を手に入れよう。
変化の時代のサバイバルツールとして世界中で読まれ続けるベスト&ロングセラー、待望の改訂版。
□最初に読むべき「お金」の基本図書
毎年多くの「お金」に関する本が出版され,書店に並び、そして消えていきます。
そんな状況の中で、「金持ち父さんシリーズ」は刊行から13年経った今でも変わらず多くの支持を得ています。
その第1作目である『金持ち父さん 貧乏父さん』は、時代が変わっても古びない原理原則を示す「お金」の基本図書。
「目からウロコの連続でした! 」という声が絶えず寄せられ、これまで数多の人々の「お金観」を変えてきました。
現在は日本やアメリカのみならず51ヶ国語に翻訳され、109ヶ国で読まれています。
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【原田】中国の大都市部では路上のタバコ屋でも端末が導入されているから、露店に普及させるのも不可能ではないと思うんだけどね。
あと、浴衣を着ているシーンだと、できるだけ財布は軽くしたいんじゃないの? そうなるとスマホだけでいいキャッシュレス決済がありがたかったりするんじゃない?
【里村】衛生面でもキャッシュレス決済のほうがいいですよ。私、デパートのケーキ屋でバイトしてるんですけど、一人のお客さんに対して必ず一人の店員がケーキを箱に入れて、会計もする決まりなんです。
ただ、会計を必ず最後にするなら現金決済でも良いんですけど、時々先にお金を渡してくる人がいるんですよ。そうなると、お金を触った手って汚いから、いちいち手をきれいにしてから箱詰めしなきゃいけなくなる。余計に時間がかかるんですよ。
これがスマホのキャッシュレス決済なら、衛生的だし時間も短縮できます。お祭りの露店もたいてい一人の人が全部やっているから、キャッシュレス決済化で喜ぶ女性は多いんじゃないでしょうか。
【小川】たしかに、現金は汚い。寝る前にもお金は触りたくないですね。
【原田】スマホの画面も相当汚いけどね(笑)。若者の間で恐らく増えているであろう潔癖症的な感覚を、キャッシュレス決済普及に役立てるという新しいストラテジーが必要だね(笑)。
【里村】コンビニのおじさん店員にお釣りを渡される時、お釣りを釣り銭トレーに入れて返すのではなく、手渡しの人がいるじゃないですか。ああいうのも嫌で……。
【原田】女子に特にそうしたニーズは多いかもね。おじさんとしては大変悲しいことだけど、日本中のレジをおじさんだらけにしたら、若年女子を中心に、日本のキャッシュレス化は進んでいくかもしれないね(笑)。
あとはさっき浅見さんから出た、「③お金の使い方が慎重」な人にとって、特に高額の買い物をする時は現金決済のほうが向いているのかもしれないね。この人たちは保守的な人だから、電子マネーで物理的に大量のお金が知らず知らずの間に動くことに抵抗がある。本当は慎重派であればこそ、お金の出入りが明確に管理しやすい電子マネーのほうが向いてるんだけどねえ……。
■どこでも絶対に使える現金の安心感は、どうしても捨てがたい
【千葉】本当はそう思います。チャージ式のキャッシュレス決済なら、月のはじめに「これだけしか使わない」と決めてその金額だけチャージできますから。
【原田】決まった額の現金を月初に財布に入れても同じことなんだけど、それだと財布が重くなる。キャッシュレス決済の方が、節約と利便性を兼ねると思う。
【里村】私は現金派なんですけど、どこでも絶対に使える現金の安心感は、どうしても捨てがたいです。具体的に言うと、旅なんですけど。
【原田】旅先で?
【里村】先日三重県の志摩スペイン村に友達と旅行に行ったんですが、泊まった旅館が現金決済だけで焦りました。私以外の友達はクレジットカード決済ができると思っていたから手持ちの現金が少なかったんですけど、私はたまたま現金で5万円くらい持っていたので、なんとか全員分の支払いができたんです。まだ地方では現金しか使えないところも多いなと痛感しましたね。
【原田】僕も先日、三重の伊勢で伊勢エビの懐石を何人かで食べに行ったんだ。飲み物入れて一人1万円ちょっとのコースだったんだけど、カードが一切使えなくて超びびりました。この単価設定のお店でもカードが使えないんだ、って。接待とかでこのお店を使う人は、常に数万円を持ち歩いていないとこのお店に来られない、ということですもんね。防犯上も実はかなり危ない。
いずれにせよ、三重はキャッシュレス決済を普及させたい業者にとっては鬼門のエリアだね(笑)。
ちなみに、先日、ニューヨークの大学生たちに話を聞いたら、キャッシュレス化の進んだニューヨークでもごく一部、現金しか使えない店がいまだに存在するらしい。昔からやっている老舗のバーとか。だから、クレジットカードやデビットカードを基本の支払い手段としながらも、プラスして何かの時のために一応20ドルくらいの現金を持っている大学生が多かったです。
日本がずっと5万円を持ち歩かないといけない社会のままでないことを願う(笑)。
■20%還元よりスタバ1杯
【原田】じゃあ、キャッシュレス決済、なかでもQRコード決済をやっていない若者にキャッシュレス決済を利用してもらうには、どうすればいいと思う?
【牧之段】「PayPay」を使い始めた友達は、行きつけのタバコ屋店員に直接勧められて登録したそうですよ。目の前でスマホ画面を指さしで「そこをタップして」とか指示されて。登録が面倒という話が出ましたけど(※前回参照)、よく知っている人や友達に手取り足取り教えられたら、結構背中を押されるなと思いました。仲間うちに一人詳しいやつがいたら教え合うようになるんじゃないかな。
【千葉】私も、この調査をするにあたって友達に無理やり「LINE Pay」を登録させたんですよ(笑)。彼女、やる前は「信用できない!」とか言ってたのに、後で聞いてみたら「めっちゃ便利!」だって(笑)。
【原田】キャッシュバックキャンペーンより、身近な人の勧めのほうがインセンティブ効果が大きいのかもしれないね。やっぱり、お金という信頼性が関わるサービスだから、信頼性が高い身近な人からのススメが効くのかもしれないね。ネズミ講みたいだけど、友達に登録させたらキャッシュバック、みたいなキャンペーンもやったらいいかもね。
【赤峰】私としては「20%還元」って言われるより、直接モノがもらえるとか、わかりやすく「500円くれる」のほうが惹かれます。高校生は暇なので、サーティーワンのシングルコーンを無料で手に入れるために1時間とか並んじゃいますから(笑)。
【原田】ソフトバンクの「SUPER FRIDAY」ね。吉野家やミスドでもやってて、毎回長蛇の列ができてたやつだ。そうか、QR決済を体験させるためにQR決済でキャッシュバックするキャンペーンばかりだっただけど、案外、現物や現金でキャッシュバックした方が若者たちには響く、ということもあるかもしれないね。
【赤峰】たとえば「PayPay」がスタバと組んで、「スタバのドリンク1杯無料キャンペーン」とかやったら、いいんじゃないですか。
【里村】「PayPay」の20%還元はたしかに魅力的だと思いますけど、Amazonも割引期間中だったので、「欲しいものがAmazonのほうが安かったからやらなかった」という人がいました。
また、「500円もらえる」だと、むしろ小さい額だからこそ逆に安心できたりします。Pay Payに登録して使うだけなのに20%など大きな利益があると、裏側には情報漏洩などのデメリットもあるのではないかと心配になってしまいます。でも、500円程度だったら「登録者数を増やしたいからちょっとだけサービスしてるだけなんだろうなぁ」と気軽に考えられて登録に踏み込みやすいです。
【原田】そうか! 還元し過ぎても逆に不信感が募ることもあるんだ。登録動機になり得るちょうどバランスの良い金額設定が大切なんだ。今の若者たちは本当に現実的になってきているね。
■現状の日本は、業者だけが盛り上がっている
【千葉】さっきも出ましたけど、QRコード決済に関しては使えない店が多いとか、どの店が使えるかわからないという声が多いんですよね。
【浅見】だから使える店の拡大は絶対必要ですし、どこで使えるかの情報拡散も絶対必要。
【牧之段】好きな古着屋さんがインスタのストーリー(24時間で消える画像・動画機能)で店までの道順を動画で教えてくれてるんですけど、そんな感じで動画で支払い方法を紹介してくれるといいと思います。
【原田】キャッシュレス決済サービス側も、若者に人気のインスタのストーリーを使って積極的にアピールしていくべきだよね。若者にとってはテレビ広告をがんがんやられるより、もっと普段から使っていてなじみのあるストーリーズでの施策の方がありがたいと思うのかもしれないね。
ところで、キャッシュレス決済業者は多額のお金を投資して躍起になっているのは分かるんだけど、実際のお店側はどこまで必死になっているんだろうね。キャッシュレス決済業者は、消費者へのキャッシュバックキャンペーンや啓蒙活動のみならず、お店側へのキャッシュバックや啓蒙をしていかないといけないかもしれないね。
「業者、お店、消費者」が「三位一体」となって盛り上げて始めてキャッシュレス化は成功するもので、どうも現状の日本は、業者だけが盛り上がっている状況に見えてしまうね。逆に言えば、業者が「お店」と「消費者」のインサイトをきちんと把握しておらず、うまく彼らを巻き込めていない、ということもできるかもしれない。
■私たちが行く店で導入してほしい
【赤峰】私たちが日常的に行く店でQRコード決済を導入してくれると、使う動機になりますね。学校の購買とか食堂とか。自販機で使えるだけでも使うきっかけになります。最近はプリクラでも、クレカやICのプリペイドカードが使えますし。
【小川】韓国系のファッション通販のような、マニアックだけどファンがいるようなオンライン通販で使えるようになると利用者が増えると思います。私が調査した大学生の「電子マネーを使わない理由」として、利用したいオンライン通販が対応していないから、という回答が多かったので。
【原田】なるほどね。若者の「消費の動線」をキャッシュレス決済業者はしっかり理解し、そこでサービスを導入していかないといけないね。ただ無作為にキャッシュバックキャンペーンをやり続けても効果が薄いということだね。先ほどのディズニーでのキャッシュレス化のアイデアはまさにこれと同じ話だよね。
欲しいものがない店でどれだけキャッシュバックされたところで、若者にとっては大した魅力にはならないと。
あと、店でどのキャッシュレス決済が使えるかどうかをわかりやすく表示するというのも必要だったね。レジまでどれが使えるか分からないのは嫌だ、ということだったよね。
【牧之段】はい。店に行って、探しても探してもどれが使えるかの表示がないから、結局ネットで調べるなんて手間が出てきてしまう。これじゃあ絶対に使わない。
【小川】QRコード決済が普及しない一番の理由は、「登録がめんどくさい、めんどくさそう」に尽きると思います。めんどくさいから、やらない。やらないから仕組みも良さもわからない。わからないからなんとなく怖い。さらに周囲でもやってないから、余計にやる理由がない。
(全員、うなずく)
【原田】QRコード決済は使ってみれば結構便利なのに、かなり入り口のところで普及が阻まれてしまっているね。かといってキャッシュバックでも一回やって終わってしまうケースも多い。たった一回ではなく、もっと利便性を感じるまで使わせるキャンペーンが必要かもしれないね。
【牧之段】「わからない」で言うなら、決済手段が多すぎてよくわからない、という人もいました。
【浅見】そうですね。電子マネーと呼ばれるものだけでも、プリペイドのICカードやスマホのQRコード決済など、種類が多すぎます。
■日本のキャッシュレス化の未来
【原田】そこが「Alipay(アリペイ)」と「WeChat Pay(ウィーチャットペイ)」の2つのサービスに集約されている中国の現状とは違うところだね。中国も初期は乱立していたようだけど、日本も早く今の中国のようにいくつかに集約されるべきだね。これだけ乱立していると、若者としては「たくさんあるし、よくわかんないから別にいいや」となってしまう。
ただ、「荷物を軽くしたい」とか「会計の煩わしさから脱したい」とか「割り勘を気軽にしたい」といった若者たちの志向とキャッシュレス決済の親和性は本来高いはずなので、若者たちにはキャッシュバック以外のインセンティブで「とりあえずある期間以上体験させる」機会を作ることが、キャッシュレス決済業者には求められていることなんだろうね。
今日の高校生、大学生の皆の意見には、日本のキャッシュレス化を進めたいと思っている日本政府やキャッシュレス決済業者にとって大変多くのヒントが含まれていたと思うけど、彼らがどこまで本気で若者を見て、彼らがどれだけ本気でこの文章を読解できるかに日本のキャッシュレス化の未来はかかっていると思いますね。
やっぱり、多くの変化は、変化を受容しやすい若者世代から起こることが多いので、日本全体が高齢化する中、政府も業者もちゃんと若者と向き合えるといいですよね。
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原田曜平(はらだ・ようへい)
サイバーエージェント次世代生活研究所 所長
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年12月よりサイバーエージェント次世代生活研究所・所長。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『さとり世代』『ヤンキー経済』『これからの中国の話をしよう』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」レギュラーとして出演中。
サイバーエージェント次世代生活研究所 所長
1977年生まれ。慶應義塾大学商学部卒業後、博報堂に入社。ストラテジックプランニング局、博報堂生活総合研究所、研究開発局を経て、博報堂ブランドデザイン若者研究所リーダー。2018年12月よりサイバーエージェント次世代生活研究所・所長。2003年、JAAA広告賞・新人部門賞を受賞。著書に『さとり世代』『ヤンキー経済』『これからの中国の話をしよう』などがある。2019年1月より渡辺プロダクションに所属し、現在、TBS「ひるおび」、フジテレビ「新週刊フジテレビ批評」、日本テレビ「バンキシャ」レギュラーとして出演中。
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(サイバーエージェント次世代生活研究所 所長 原田 曜平 構成=稲田豊史、撮影=プレジデントオンライン編集部)
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