国民年金保険料を支払わない(滞納)期間が長いと、デメリットは10年の期間を満たせず将来老齢年金がもらえないだけではありません。

国民年金保険料っていくら?

平成31年度の国民年金保険料は月額1万6410円です。翌月末日までに支払わなければなりません。この13年間で月額約3000円も上がっています。

会社員と公務員は給料からの天引きになるので、実際に月額1万6410円を支払わなくてはならないのは20歳以上60歳未満の自営業者や退職者、所得の高い主婦(夫)、配偶者が会社員・公務員以外の主婦(夫)等です。失業中等支払うのが大変な場合は、国民健康保険や住民税の支払いが優先されがちで、国民年金保険料は後回しになることが多いようです。

国民年金保険料を支払わない期間が長期間あるとどうなる?

国民年金保険料を支払わない(滞納)期間が長いと、デメリットは10年の期間を満たせず将来老齢年金がもらえないだけではありません。障害年金でも保険料納付要件を満たせず、請求もできない事態や家族が遺族年金を受けられない事態もあります。

年金保険料を支払うのが大変に感じるときでも「支払わない」だけではダメなのです。年金保険料免除・猶予、学生特例納付の申請をしましょう。

多種多様な国民年金保険料免除・猶予制度、基準の所得は?

年金保険料申請免除や猶予は所得の基準や失業や被災に対しての考慮もあります。まずは所得による基準を確認してみましょう。市区町村役場の国民年金課で手続きをしてみましょう。

▼1. 法定免除生活保護の生活扶助を受けている場合、障害年金1、2級の受給権者は市区町村役場へ「国民年金保険料免除理由該当届」を届け出ると、「全額免除」扱いになります。

▼2. 申請免除扶養人数や所得、仕事の事情などに応じて、「全額免除」、「3/4免除」、「半額免除」、「1/4免除」があります。申請月から2年1カ月前までの期間について、さかのぼって申請することができます。前年所得の基準の目安を挙げます。

・全額免除が単身で所得57万以下、妻子1人扶養で所得127万以下。
・3/4免除が単身で所得78万円以下、妻子1人扶養で所得143万円以下。
・半額免除が単身で所得118万円以下、妻子1人扶養で所得188万円以下。
・1/4免除が所得158万円以下、妻子1人扶養で所得228万円以下。

3/4、半額、1/4免除は上記の額に前年支払った社会保険料を加えることもできます。

▼3. 若年者猶予50歳未満で経済的な理由(低所得等)や離職、災害などの特別な理由により保険料が納められないとき。所得の基準は全額免除と同じです。

▼4.学生特例納付20歳以上の学生のための制度です。経済的な理由(学生本人の所得が118万円以下)、災害などの特別な理由により保険料が納められないとき。申請免除や若年者猶予よりこちらの手続きが優先です。

「全額免除」「納付猶予」が認められなかった場合も「1/4免除」「半額免除」「3/4免除」ならわからないので、再度申請してみましょう。

国民年金保険料免除や若年者猶予、学生特例納付の申請は原則、毎年行うこと!

住所地の市区町村役場に保険料の免除・猶予の申請を毎年行い、「保険料滞納期間」を無くするようにしましょう。

今年度(7月から来年6月)年金保険料の免除・猶予が認められても、来年度(来年7月以降)はわからないので忘れずに毎年7月に、保険料免除・猶予の申請をしておく必要があるので気を付けましょう。

ただし「全額免除」「納付猶予」は申請書に翌年度も同じ申請をする旨を書くと、「全額免除」「納付猶予」が認められた人に対して、翌年度は申請書の提出を省略することができます。

学生は毎年4月に学校が窓口で手続きを行っているので、20歳になったら誕生月に、その後は必ず毎年4月に学生特例納付の手続きを行いましょう。もちろん市区町村役場でも手続きができます。

厚生労働省が7カ月の年金保険料未納で強制徴収!

厚生労働省と日本年金機構は国民年金保険料を滞納した人に、平成30年度から取り立てを強化しています。財産を差し押さえる強制徴収の対象者を3年連続で拡大しています。

年間所得が300万円以上ある場合、7カ月以上(平成29年度まで13カ月以上)未納だと、財産を差し押さえられることもあります。国のマイナンバーの把握でますます今後も年金保険料の取り立ては厳しくなるのでしょう。

年間所得300万円以上でも失業等いろいろな事情があることもあるでしょう。年金保険料は滞納する前に市区町村役場国民年金課に相談することをお勧めします。
(文:拝野 洋子(マネーガイド))