花やプラカードを手に、性犯罪や性暴力の無罪判決に抗議する参加者たち=2019年5月11日午後、大阪市北区、遠藤真梨撮影
 なくならない性暴力と、性犯罪に対する司法判断に抗議するデモが11日、大阪市北区であった。
 女性を中心に約250人が集まり、女性の意思に反した性交にもかかわらず相次ぐ無罪判決の不当性を訴えた。
 被害者に寄り添う心情を花で表現する「フラワーデモ」。花柄の洋服を着たり、生花を手にしたりした参加者が次々とマイクを握り、自身の被害経験や無力感、憤りを語った。呼びかけ人で作家の北原みのりさんは「合意があったと男性が勘違いしたから無罪になる。さっぱりわからない。裁判官のジェンダーの視点を問い直したい」と訴えた。
 花柄のスカートを身につけた大阪府の40代女性は、人生で初めてデモに参加した。7年前まで同居した元恋人が当時中学生の長女に性交を強要し続けていたことを、昨年、長女から明かされた。全く気づかなかった自分を激しく責めつつ、警察に告訴。元恋人は事実を認めて逮捕されたが、当時の日記など物的証拠がなかったため強姦(ごうかん)罪(現・強制性交罪)ではなく児童福祉法違反で起訴されたという。現在、公判中だ。
 長女は「拒否したら行き場がない」「お母さんに言っても困らせるだけ」と口をつぐんできた。しかし結婚・妊娠を機に「罪が正しく裁かれる社会なのか、おなかの子どもに見せたい」と被害を訴え出たという。
 遠方で暮らす長女はデモに参加できない。女性は「自分一人で何かを変えられるわけではないが、何かを変えられるかもしれない。その気持ちでここに来ました」と語った。
 フラワーデモは先月、東京で開催。主催者によると、この日は大阪のほか、東京や福岡でもデモがあった。今後も毎月11日に各地で開催するという。(机美鈴)