貧乏な人の行動は、ただお金を払って終わり、時間を費やして終わりとなってしまいます。お金持ち体質は、「どうすればお金をもらいながらできるか」をいつも考えています。その一例を紹介します

お金をもらいながら気分転換する方法を考えた

かつて社員を雇っていたときは、会議にミーティング、商談や面会など、打ち合わせをする時間が1日の大半を占めていました。

一人会社となり、外部パートナーとのジョイントビジネスに変えたら、そういう時間がぐっと減りました。今は、新しいビジネス案の調査検討、ネットや書籍での情報収集、ウェブサイトの更新、プレゼン資料の作成、書籍やメルマガなど文章を書く、といった仕事が中心になっています。

そこで気づいたことは、こういう仕事は非常に集中力を要するため、脳が疲れやすいということです。たとえば原稿など文章を書く仕事は、3~4時間もやると、もう集中力が途切れてヘトヘトになります(身体は元気ですが、脳が疲れる)。休憩しても、なかなか集中力が戻ってこず、それ以上は仕事にならない、ということがほとんどです。

そこで、以前はこの状況に備え、集中力が切れてもできる雑務を用意していました。名刺や領収書の整理とか郵便物の発送とか……。しかし最近はそういう雑務もほとんどなく、どうやって気分転換をはかり、集中力を取り戻すかが悩みのタネでした。

また、パソコン業務が中心になると、どうしても運動不足になり、太り気味になります。ほぼ1日座ってますから、かなり筋力も衰える。これも課題でした。

最初はジョギングをしようとかスポーツクラブに行こうかと思ったのですが、挫折しやすいし、何よりその時間は収益を生まない。ただ走ったりしているだけでは、お金を生まない無の時間です。スポーツクラブに行って、わざわざお金を払って重いものを持ち上げる、というのもなんとなく腑に落ちなかったのです。

そこで、お金をもらいながら運動する方法はないものかと思案していました。

ありました。宅配便とポスティングのバイト。これらは両方ともフルタイムの勤務ではなく、1日1時間~4時間程度でOKなのです。しかもチラシのポスティングは、自分の都合の良い時間で配ればいい。雨の日は休めばいいし。

しかし、ポスティングは見送りました。実は以前やったことがあるのですが、マンションの集合ポストで入れているとき、そこの住人と鉢合わせになったときに、どうも気まずいのです。管理人がいるところも気まずい。気にしない人は良いのでしょうが、自分は気になる。なんでわざわざ気を使わなきゃならんのか、と思い、これは却下。

そこで宅配便のバイトです。バイト検索サイトを見ると、ちょうど宅配便会社で短時間の配達員を募集していました。

トラックなどではなく、いわゆるカートを押しながら配達する仕事です。車を運転しないので、事故のリスクは低い。重いものは運ばなくていいし、1日1時間からでもOKとのこと。たぶんメール便のような荷物がメインなのでしょう。そういえば女性の配達員を見かけることもあるので、きっとそれほどしんどい仕事ではないはず。カートを走りながら押せば、いい運動になる。

時給1200円なので、1日3時間やって3600円。30日で10万円ちょっとになります。しかも、自宅から歩いて5分の営業所があったので、そこならほぼ通勤時間ゼロ。さくっと行ってさくっと配ってさくっと帰ることができる。制服も貸してもらえる。自宅周辺なので土地勘もあるから、配達コースを工夫すれば、かなり効率よく配れるはず。

これはいい!と思って、早速応募することにしました。履歴書を書くなんて、10年以上ぶりでしょうか。しかし、そこでハタと我にかえります。外資コンサルとか会社経営者という経歴を書いて、不審がられないだろうか。妻に相談すると、「内偵とか何か調べに来たんじゃないかと怪しまれるかもよ」と言う。そこで、フリーのライターを名乗ることにしました。

そして、面接にGOです! 面接で聞くと、たとえばデザイナーさんで副業としてやっている人もいるそうです。その人もやはり1日パソコンに向かう仕事らしく、自宅にこもりっきりになるので、気分転換のため1日数時間バイトしているとのこと。ふむふむ、同じことを考える人はいるものです。あと、残業がなくなり時間を持て余したOLさんが、やはり運動を兼ねて働いているそうです。

面接終了後、書類をすぐ本部に送るから、連絡を待ってくれとのこと。これで運動とお金儲けが同時にできる!とワクワクしていました。

その後、待つこと1週間。自宅にハガキが届きました。なんと残念ながら、「不採用」のお知らせがきました。

妻が言うとおり、元コンサルの経歴を知って「何か調査目的で入ろうとしている」と思われたのか……。あるいは面接の受け答えがまずかったのか? そういえば、「対人恐怖症みたいなのはお持ちですか? 最近、ウツっぽい人が増えていて」と面接時に聞かれたので、メンタルが弱そうな不審人物に思われた可能性もあります。

妻は腹を抱えてゲラゲラ笑いながら、「どうせ上から目線でナメた態度だったんでしょ」「アナタ目つき悪いからね」とおっしゃる。上から目線とは思わないけど、確かにナメてたかもしれない、それが態度に出たのか、もっと笑顔があったほうがよかったのか、と思いましたが、いずれにせよ、こうしてダイエットしながらお金を稼ぐという夢は終わりました。

長々と書いてしまいましたが、私が言いたいことは、ただお金を払って終わり、時間を費やして終わりではなく、「どうすればお金をもらいながら●●をできるか」を考えましょうということです。

仮にジョギングをするなら、英会話の音声を聞きながら走るとか、同時並行で何かを得られるようにする。学びたいなら学校に行くのではなく、その仕事に応募する。ウェブ制作を学びたいなら、その仕事にアシスタントとして応募するというのもいいでしょう。まあ、バイト面接すら落ちた私が言うのも説得力ないのですが(苦笑)。

そういえば思い出した、昔聞いたサラリーマン川柳。「このオレを 雇わないとは 目が高い」

おあとがよろしいようで……。
(文:午堂 登紀雄(マネーガイド))