イギリスのシェアハウス物件情報サイト<SpareRoom>を通じて、西ロンドンにあるフラットで出会ったエラとソフィー。ある日、ブランチを取りながらキッチンで雑談していたとき、トースターで焼くだけで作れるヘルシーなインスタントのパンケーキ「グリドル」のアイデアが浮かんだことをきっかけに、2人は一緒にビジネスを立ち上げることに。そんな彼女たちの起業ストーリーを、コスモポリタン イギリス版からお届けします。
着想から2年。現在、エラとソフィーはフルタイムで自分たちのビジネスに専念し、20万ポンド(約2920万円)の資金提供を受ける見通しが立つところまでこぎつけました。しかし、順風満帆に見える2人にも、起業を決意したときに知っておくべきだったと思うことがいくつもあるそう。彼女たちが自らの経験に基づく、「起業時に心得ておくべき11のこと」を教えてくれました。
1.起業に多額の資金は必要ない
当初、起業するには巨額の資金を投入する必要があると考えていたエラとソフィー。しかし、実際にビジネスをはじめてみたところ、それほど多額の資金を用意しなくても、初期事業への取り組みが可能であることに気づいたそう。「無理をしてありったけの資金を投入しなくても、いろいろなことができるの」と言います。
「最初に心配したのは、起業には潤沢な資金が必要なのではないかということ。でも、コストのかからないやり方があることに気づいたの、自分でやればいいんだって。ロゴの作成はマーケティング業者に依頼せずに、フォトショップとユーチューブのチュートリアルを活用して自分で作ったわ。プロの作品と見劣りしないものが作れる、とまでは言えないけれど、ある人から『商品の改善点に気づくのは、たいてい手遅れになったころだ』って言われたことを覚えていたから、自分でやることにしようかなって。あとでやっぱり気に入らないと思ったら、自分で手直しして、パーフェクトなものに仕上げられるでしょ」
2.何事も思ったより時間がかかる
「2、3カ月もあれば、『グリドル』の製造を引き受けてくれる業者が見つかると思っていたんだけど、それは見込み違いだった」と語る2人。商品の生産をスタートするまでには、さまざまな苦労があったそう。
「事業の進行については、思っているよりも時間がかかると覚悟しておいたほうがいいわ。商品の着想から2年たった今でも、やるべきことがたくさんあるんだもの。これまでを振り返って、もっとスピードアップできたかと考えてみても、それもないと思うし。文字通りゼロから事業をはじめるとなると、すごく時間がかかるものなのよ」
3.他人の意見に耳を傾けること。でも、自分のアイデアには自信を持つ
誰でも、自分の行いが正しいか間違っているかは、自分自身で判断できるはず。他人のアドバイスに耳を傾けることは大切だけど、すべてを受け入れる必要はない、というのが2人の考え方。
「好意的な評価をもらうこともあれば、批判的な意見もあります。そのすべてに反応する必要はないけれど、耳を貸すことは大事。人はそれぞれ、いろいろな意見を持っているもの。自分の信念を通すことと、他人の指摘も受け入れる状態でいること。この微妙なバランスを取ることが、なにより重要だと思うわ」
4.助けてくれる人は大勢いる。誠意を持ってお願いさえすれば
友人、家族、知り合い、さらには業界の専門家など、誠意を持ってきちんとお願いすれば、力を貸してくれる人は大勢いるということを学んだ2人。
「当初はあれこれどうやったらいいのか迷ってばかりでしたが、だんだんと周囲にいる人たちに、技術を教えてもらうとか、手助けしてもらえるようお願いする方法を身につけていきました。人助けをしたいと思っている人っているものなんだなって、本当にありがたく思ったわ。同じ業界で豊富な経験を積んだ人からアドバイスをもらったり、解決策を助言してもらえる人を紹介してもらったりしたこともありました。それまでまったく知らない仲だったにも関わらずね!」
5.目標へのプロセスを明確にすること。でもそれに固執しない
『グリドル』はビジネスであり、趣味ではない。だから、具体的なマイルストーンを設定し、それに沿って事業を実現できるようにしなければならないと考えているそう。
「ビジネスの節目ごとに、事業の進捗状況と企業としての業績を真剣に見極めています。次のポイントとなるのが、『グリドル』を投資の対象にすること。今のところ障害となるものはないけれど、仮に資金調達がうまくいかなければ、腰を落ち着けて次にすべきことを考えねばならないでしょうね。でも、目標に対して柔軟であることも必要だと思うんです。事業が常に順調ならばいいけれど、途中で生じる問題によっては、目指している目標を微調整する必要も出てくる。問題が起こったからといって事業全体をたたんでしまうのではなく、どこで間違いが起ったのかを明確にして、その解決策を見つけ出していけばいいんです」
6.自分たちが真剣に取り組まなければ、誰も話を真剣に聞いてくれない
自分の持てる時間の100%をビジネスに費やせなくても、自分のすべてを掛けて、それに取り組むという姿勢が必要とのこと。
「私たちがメーカーを訪問しはじめてすぐ、自分たちが本気で取り組んでいるところ見せないと、メーカーの人々も自分たちの話を真剣に聞いてくれないということを痛感しました。彼らだって自分の貴重な時間を無駄にしたくないの。自分たちが思いつきでふらっとやってきた20代の女性ではないということと、『グリドル』という商品に真剣に取り組んでいることをメーカーに納得してもらうのに苦労しました。まず、きちんとした事業計画、資金のよりどころ、それまでの自分たちのビジネスの経験などを提示することが大切だったんです」
7.市場調査や経営研究の努力を惜しまない
投資家から最初の1万ポンド(約146万円)を獲るまでには、『グリドル』というブランドについて具体的な計画をまとめたり、事業を展開する市場についての調査をしたりと大変な努力があったそう。「市場価格はどのようになるか、また、製品自体とその製造元として望ましいメーカーについての調査にはすごく努力しました。また、事業の経営面をさらに深く研究しました。自分たちが参入しようとしている市場がどのようなものか、市場規模に応じて自分たちの事業規模はどうなるか、販売のターゲット層となるのはどのような消費者かということを、ひとつひとつを明確にしていったんです」
8.フルタイムで専念するのは、100%の確信が持てるようになってから
ソフィーとエラは『グリドル』に打ち込みつつも、ビジネスを立ち上げてしばらくの間はフリーランスの仕事も続けていたそう。その仕事があったからこそ、毎月の支払いをやりくりするプレッシャーが軽減されたという。
「私たちが『グリドル』の事業にフルタイムで専念できるようになったのは、つい最近のことです。パートタイムの仕事を続けていても、仕事の後や空いた時間にできることはあります。そうしたやり方でビジネスをはじめれば、生活への不安が軽減できるはず。自分を信じることも重要ですが、当てになる収入源があるというのは心強いものです」
9.できる限り多くの人々に自分のアイデアを聞いてもらう
“マーケットリサーチ”という言葉があちこちで使われるのには理由がある、と力説する2人。
「どのような人々が興味を持ってくれるのか。また、自分のアイデアと実際の認識にギャップがないかどうかを、こうした調査から知ることができるんです。自分の家族や友人だけでなく、より広い世界で多くの人々と話してみるべき。そうすれば、自分のアイデアに注目すべき何かがあるかどうかを知ることができます。もし人々の反応がぱっとしないものだったら、そうではないことがわかるというわけ。残念だけれど、それはそれでいいんです。つまり、新しいアイデアで再びチャレンジするべきだとわかるから」
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