大型連休につきものの高速道路の大渋滞。渋滞状況を正確に予測するのは難しいようです(写真:TOSHI.K/PIXTA)
史上初めての連続10日間の連休が終わり、世の中も令和の奉祝ムードから次第に日常に戻りつつある。サービス業を中心にほとんど休みが取れなかった方もいらっしゃるだろうが、陽気のいい季節にしかも世の中が新天皇即位という明るいムードの中での連休だったこともあってか、いつもの大型連休以上に多くの人出となった観光施設も多かったようだ。

渋滞「分散型」予想もあったがかなり外れた事例も

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それに伴ってか、高速道路の利用者もいつもの大型連休を上回る状況で、分散型でそれほど距離の長い渋滞にはならないのではないかという予想もかなり外れたことが、インターネットのニュースだけでなく地上波テレビのワイドショーなどでも取り上げられており、いつも以上に高速道路の渋滞に関心が集まった連休になったと言えそうだ。
「渋滞学」の権威である東京大学先端科学技術研究センターの西成活裕教授の顔をテレビ画面で拝見する機会も例年以上に多かった。
また、ヘリコプターに乗ったリポーターが渋滞の先頭がどうなっているか、なぜそこから渋滞しているのかといったことをわかりやすく伝えたり、アナウンサーが渋滞の車列の中からリアルタイムで中継するリポートなど、地上波テレビの渋滞をめぐる情報の発信は例年以上に手厚く組まれているように感じた。
『羽鳥慎一モーニングショー』や『ひるおび』といった東京キー局発の全国ネットのニュースバラエティショーでは、5月4日の朝から昼にかけて、関東地方で事前の渋滞予想よりも、連休前半の渋滞の列が伸びた理由の分析にかなり長い時間を割いていたのが目立っていた。
例えば5月1日の東名高速の下りは予測では大和トンネル付近で最大15km程度と発表されていたが、午後0時過ぎに秦野中井IC付近でおよそ41kmの渋滞が発生しているし、翌日もやはり大和トンネル付近で10km程度と普段の休日よりも短い予想だったものが、実際には午前10時ごろに44kmもの渋滞が発生し、事前の予想よりもはるかに長い渋滞となっていた。
予想が外れた理由の一つとして示されたのは、2019年3月に開通した新東名高速の厚木南IC―伊勢原ジャンクションが東名厚木付近の迂回路となって交通量が分散され、以前ほど混まないのではないかという事前の予測である。
しかし実際には新ルートがまだ十分周知されていなかったり、カーナビに反映されておらず新ルートを通るような指示が出ないことから、従来どおり東名を走行した車が多くて、その予測が外れたのでないかなどの分析がなされていた。

渋滞予測は不確定要素が多く読みづらい

その一方、5月4日、5日の上りの渋滞に関しては、関越道は予想どおりあるいは一時は予想以上に車列が伸びたこともあったが、それ以外の高速道路は予想ほど渋滞が発生しておらず、これまた渋滞の予測は当たったとはいいがたい状況であった。
5日の上りに関しては、東名、中央道、東北道の最長渋滞の予測がそれぞれ30km、30km、40kmだったのが実際には19km、19km、17kmと予測の4~6割程度だったことを見ても、史上初めての10連休の渋滞予想はかなり難しかったことがうかがえる。
渋滞の予測はこれまでのデータの蓄積から曜日の並びなどを考慮してはじき出される。天気、渋滞を招くような不測の事故、そして今回のような「ムード」などそのときになってみないとわからない要素も多く、今回の10連休では、前半と後半の2つのピークを見込んでいたところ、出足は少し遅くなり、谷間だと思われていた5月1日、2日が令和の奉祝ムードや各地の観光施設などで新元号を迎えるさまざまなイベントや記念グッズの配布などが行われ、それがメディアやSNSなどで発信されたことで、1日、2日に関東では天候が悪かったにもかかわらず、大勢の高速道路利用者を生み出したのではないかと考えられる。
もちろん、事前の渋滞情報で比較的空いていて「ねらい目」と考えられていたため、逆にその時期を狙って利用者が増えたという面もあろう。
高速道路に限らず、他の交通機関や観光施設の人出も予想とは異なることも散見され、例えば東京ディズニーリゾートでは、連休初日の4月27日(土)はかなり空いていたことが報告されているし、観光客で混雑する江ノ島電鉄では鎌倉駅からの乗車で市民が優先される社会実験が5月3~5日に行われたが、いちばん混雑しそうな4日はほとんど改札制限をせずに入場できたことに見られるように、10日間の長い休みの人々の行動状況はなかなか読みづらいものがあったようだ。
今年の高速道路の利用状況については、速報版はすでにNEXCO各社から発表されているが、より詳細な分析を待ちたいところである。そのうえで、事前に発表される渋滞情報をどのようにそしゃくして自分の行動予定に反映させるかは、ドライバー一人ひとりの経験則などによって変わってくるし、渋滞情報をどう読むかも一層問われる時代になっている。
また、別の課題として、高速道路の渋滞予想は原則として高速道路の路線ごとに出されるため、高速道路をまたがって利用する場合はその両方を勘案してスケジュールを立てる必要がある。

路線ごとに勘案しないと実態から離れがちに

関越道の予想を見ると高坂SA付近を先頭に35km程度の渋滞が最長と発表されたが、軽井沢方面から上信越道を利用し、関越道に合流しようとする利用者は、まず藤岡ジャンクションを先頭にした上信越道の15km程度の渋滞をクリアし、関越道に合流しても花園IC付近を先頭にした20km程度の渋滞が続き、ほんの数キロスムーズに走ったかと思うと、今度こそ高坂SAを先頭にした渋滞につながる。
5月3日の夕方、この3区間の渋滞を足し合わせると、ほぼ70km近くにわたって渋滞していたが、個別路線の渋滞情報だけでは実態に近いこの数字は出てこない。
同様に、新東名の上り線は東名と合流する御殿場ジャンクションの前の渋滞が東名にかけてつながって、発表される数字以上に渋滞が長くなっているし、また近年「ネモフィラ渋滞」と呼ばれる、国営ひたち海浜公園(ちょうど大型連休の頃、一面に色鮮やかなブルーのネモフィラが咲き、インスタ映え時代に一気に有名になった)から東水戸道路、北関東道、常磐道へと続く休日午後の上りの渋滞は、これも道路ごとに別々に渋滞情報が発表されるため、一つひとつは長くないように見えるが、実際には今回の大型連休でも連続して30kmを超す渋滞に見舞われていた。
来年からは、今回のような10連休にはならないし、2020年度には新東名の未開通区間である伊勢原から御殿場までのルートも開通する予定であるため、今年の状況は来年、あるいは再来年には当てはまらない。
今後も渋滞予想をある程度参考にしながら、自分の判断で渋滞をかわしていく必要があることを痛感させられた今年の大型連休であった。