「現金払い主義」のメリットとデメリット
カードを使わない、現金主義の成功パターンとは?
現金主義の方は、「貯蓄」が上手です。アリとキリギリスでいえば、アリさんですね。家計をしっかり管理し、貯蓄の計画を立てて、毎年しっかりと貯蓄残高を増やしていきます。貯蓄残高がある程度増えてくると、「減らしたくない」という感情が湧きますので、支出に関しても厳しい目で判断できるようになり、さらに貯蓄が増えるという、良いスパイラルに入っていきます。現金主義でもマイホームだけは、住宅ローンを組むケースが多くなります。しかし、貯蓄がしっかり貯まっているので自己資金を多く入れることができ、健全性の高い資金計画で住宅ローンを組むことができます。更に繰上げ返済をするためにせっせと貯蓄しますので、早期での完済を実現させます。
現金主義の場合、家計が窮地に陥るというケースは稀で、やはりクレジットカードやローンといった借金癖がある人のほうが、はるかに家計が窮地に陥る可能性は高くなります。しかし、現金主義で家計を正常に管理されている方でも、住宅ローンや教育費、車代といった大きな支出が重なると不安が生じ、これまでの家計の管理の仕方で良かったのか?といった相談に来られるケースがあります。
現金主義の失敗パターンとは?
現金主義の失敗パターンは、手元に残しておくべきお金まで使ってしまうことです。ローンや借金が嫌いなので、「マイホーム」以外は現金で買い、住宅ローンも繰上げ返済で早期完済しますが、それが故に手元の現金が大幅に目減りしてしまい、不安を抱えてしまうタイプです。他にも、400万円の貯蓄があったとして、2年後に子どもの大学進学が控えているのに、300万円の車を現金買いしてしまったケース。本来、大学進学を数年後に控えているのなら、教育費として現金はとっておいたほうがベターです。初年度だけでも、学校に納入する金額は入学金と前・後期の授業料で130万円にもなり、(私立大学の場合)4年間でトータルすると430万円にもなりますので、大学進学に備えて貯蓄をできるだけ確保しておく必要があります。
生活費半年分程度の緊急予備資金や、数年以内に使うことが決まっているお金は使うことなく、手元にお金を残し、ローンを上手に活用することが求められます。
借金は1つだけなら、なんとかなる
家計管理がしっかりされている場合に限りますが、個人的には世帯に1つだけなら「ローン」はあってもいいと思っています。例えば賃貸派なら、車はローンで買ってもよいですが、住宅ローンを借りるならば、それ以後は計画的に貯蓄をして、車は絶対に現金で買うようにしてください、とお伝えします。何でもローンに頼ってしまうと、住宅ローン、車のローン、教育ローンとすぐに多重債務になってしまいます。こうなると結果的に老後資金の準備はできず、貧しい老後を送ることになります。
このように、現金だけにこだわりすぎずに、家計状況と将来のライフプランを考慮しながら、バランスよくお金やローンと付き合っていくことも、1つの金融リテラシーといえます。
(文:二宮 清子(マネーガイド))
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