月15万円使っても100歳まで安心な「資産の取り崩し方」 死ぬまでリスクを取り続けよう
毎月たった3万円で、老後までに3000万円の「プライベート年金」をつくる。はたしてそんなことが可能なのだろうか? 資産運用会社「GCIアセット・マネジメント」エグゼクティブ・マネージャーで、著書『毎月3万円で3000万円の「プライベート年金」をつくる米国つみたて投資』もある太田創氏は、「どう取り崩すか」まで計画することを勧める。ポイントは「運用しながら取り崩すこと」。人生100年時代でも安心な「出口戦略」について教えてもらった。
積立はいつまで続けるべきか?
積立投資をいつまで続ければ良いのか? 恐らく、多くの人はそれを考えるはずです。
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入口、つまり積立投資を始める「ベストなタイミング」は、ありません。それこそ、思い立ったが吉日ではありませんが、積立投資を始めてみようと思ったら、とにかくすぐ始めることが肝心です。
でも出口、つまりどのタイミングで積立を止めるかについては、少し計画性を持たせた方が良いでしょう。
まず考えるべきは、いつまで積立投資を続けるかということです。本記事のスタンスとしては「30年で3000万円」という目標を掲げているわけですが、当然3000万円以上の資産を築いても良いですし、健康維持、あるいは特定の施設を終の棲家にすることなどを考慮すれば、お金は少しでもたくさん持っているに越したことはありません。
その意味では、できるだけ長期間、積立投資を続けた方が良いという結論になります。
しかし現実的には、できるだけ長期間、積立投資を続けながらも、どこかの時点でそれを取り崩しながら生活していくわけで、そのタイミングはどこに設定すれば良いのかという点を、第一の出口戦略として考える必要があります。
ひとつは定年退職を積立投資のゴールにすること。それまでに3000万円の資産をつくっておき、公的年金が受け取れるようになったら、年金に3000万円の資産を徐々に取り崩して加え、月々の生活資金をより豊かなものにしていきます。
ここで考えなければならないのは、ゴールに達した時点で、積み立ててきた投資信託を全額換金するべきかどうかです。どうしますか?
全額解約はお勧めできません。大事なことは、運用しながら取り崩していくことです。なぜなら、それによって「お金の持ち」が違ってくるからです。
老後に旅行やレジャーなど、ゆとりある生活をするのに必要なお金は月35万円といわれています。このうち受け取れる年金の額が20万円だとしたら、差額の15万円を、3000万円から取り崩すことになります。
運用しながら取り崩すこと
果たして積み立てた3000万円はどの程度持つでしょうか。簡単な割り算です。
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月15万円だから、年間で180万円を取り崩す形になります。3000万円を180万円で割ると、「16.66……」という数字が出てきます。つまり16年と7カ月くらいは持つということですが、65歳からの16年後は81歳。「100年人生」などと言われる昨今、81歳で手持ちの資産が尽きるのは、いささか不安でしょう。
だからこそ、少しでも長く3000万円を先まで取り崩し続けられるように、運用しながら取り崩すことがポイントになるのです。
仮に、3000万円の原資から毎月15万円ずつ引き出しながら、残額を年平均5%で運用し続けたとしたら、いつまで持つでしょうか。答えは34年7カ月です。ということは、65歳からの34年7カ月ですから、99歳と7カ月くらいまでは、3000万円が底を尽かずに済みます。
もちろん、100歳以上生きてしまったら、新しい金策を考えなければなりませんが、100歳直前までのお金があれば、そうそう老後を心配する必要はないでしょう。ちなみに日本人の平均寿命は、男性が81.09歳、女性が87.26歳と言われています。
いつまで積立投資を続けるのかについて、もうひとつのゴールは、「健康寿命まで」というものです。
健康寿命は、男性が72.14歳、女性が74.79歳です。つまり男性なら72歳まで働いて、健康寿命に達したら、運用しながら毎月15万円ずつ取り崩していきますが、この方法ならば、運用するにしても、年平均5%のリターンを目指す場合に比べて、幾分かリスクを抑えた運用でも、お金は十分に持ちます。
死ぬまでリスクを取り続ける
男性を例にして考えると、健康寿命は72歳ですから、35歳から積立投資を始めた場合、積立期間は37年です。年平均5%で37年間、毎月3万円ずつ積み立てた場合、3858万円という、かなり高額な資産を築くことができます。
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3858万円もあれば、毎月15万円ずつ取り崩しても、21年4カ月持つわけですから、72歳から取り崩したとして、その資金が底を尽くのが93歳です。男性であれば、平均寿命をすでに大きく超えています。運用利回りが1%でしたら、約9年ほどで底を尽く計算になります。
さて、第二の出口戦略は、積立投資が終わった時点で、運用リスクを下げるかどうかですが、基本的には下げる必要はないと考えます。
このように言うと語弊があるかも知れませんが、年平均5%で運用できていれば、月々の積立額なんて3万円弱程度です。すで
に30年以上の積立金額は3000万円以上になっていますし、ここまで長年にわたって投資口数を増やしてきましたので、株価暴落等によるリスク耐性は十分にあります。
積立を終了した後でも、今まで通り淡々と運用しながら使っていくことがベストな方法ではないでしょうか。
もし、積み立てた額が3000万円に達した時、これが半分になったらどうしようなどと余計な不安が持ち上がり、3000万円のうち1500万円を「ローリスク・ローリターン」である債券に振り分けたくなる気持ちになるのも、分からないことではないのですが、それは非常にもったいない話です。
それをやってしまったら、恐らく再びリスクを取りに行くことはできなくなるでしょう。それによって取り損なうリターンも出てくると思います。
「毎月3万円の投資は大した金額ではない」と考えて、常にリスクを取り続ける姿勢が、資産をより大きくし、かつ長持ちさせるポイントになるのです。
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