持ち家の新常識 「マンションを10年毎に買い替える」が一番得する

私は自宅の買い替えで「1億円以上」の利益を得てきた

私は自宅を10年おきに買い替えて、これまでに1億円以上の利益を上げている。今回はなぜ自宅の買い替えで儲けが出るのかを紹介したい。
「自宅は10年おきに買い替えるべきだ」というのが私の主張だ。
こう言うと不可思議に思う人も多いかもしれない。ひとたび自宅を買えばその家を「終の棲家にしよう」と考える人がほとんどだからだ。
しかし、最初に購入した家に一生涯住み続ける人は実はそれほど多くはないということをご存知だろうか。首都圏のマンションでは、10年で2割以上が住み替えており、都心部では3割を超えている。自宅の購入は実に高い買い物で、ローンを組めば35年と長期にわたることから「一生に一度の高い買い物」と言われるが、一つのマンションに住み続けるというのは実は選択肢の一つにすぎない。
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特に東京都心に住む人なら、こうした現実を頭に入れて自宅マンションを買い替えながら住み替えていくこと、しかも、その過程で儲けを得ていくということを本気で考えるべきだろう。私はこうした住処の選び方を、いま流行りの不動産投資になぞらえて「自宅マンション投資」と呼んでいる。私の周りでも、気づいた人たちから始めていて、ライフサイクルに合った住環境の充実と決して少なくない額の利益を手にしている。
そもそもライフイベントの変化で人は様々な住み替えニーズを抱えながら、長い人生を過ごしている。結婚、就職、出産、子どもの進学で家を買う人は多い。しかし、離婚、転勤、子どもの独立、親の介護などで家を住み替える人もまた多い。
最近では、職住近接の考え方が広がり、職場へのアクセスが重視される。さらに会社員には、転勤、転職、職場の移転、単身赴任、給与の増減、出産による休職、リストラ、早期退職などがある。生活利便性、鉄道の快適性、災害回避などを考えれば、住み替える動機はきりがないほどいくらでもある。

「自宅マンション投資」が儲かる理由

さらに、子どもがいれば住む場所を機動的に変える必要性は一層高まる。「6・ 3・3・4年制」の日本の教育制度で、子どもは小中なら9年は一定の地域で過ごすが、その後は希望の高校、大学といま住んでいる家がベストな立地とは限らない。
中学受験をして、中高大一貫ならその期間は10年。また子どもが社会に出てから結婚するまでの期間も約10年と仮定すれば、おおむね10年ごとに、世帯構成やライフスタイルが変わるのである。つまり一つの家に住む合理的な理由は、10年ごとに変化していくのである。
子どもが生まれれば、世帯人数が増え、子どもが独立すれば減る。それなのに、なぜ70㎡の3LDKに一生住み続ける理由があるのだろうか。世帯人数ごとに必要面積は違うはずだから、ヤドカリのように世帯のニーズに応じて住み替えるほうが合理的なのだ。
それでも多くの人は、「何度も何度も高い家を買うことはできない」と考えるだろう。しかし、幸いなことに「自宅マンション投資」は一般の不動産投資と比べて儲かるようにできていることをご存じだろうか。
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まず一般の不動産投資と比較して、住宅ローンの金利が極端に低く設定されている。一般のマンション投資では銀行から融資を受ける際の金利は2%以上だが、住宅ローンは0.5%程度に過ぎない。
さらに住宅ローン減税をはじめ様々な優遇税制が用意されている。家賃などの利益に重税が貸せられる一般の不動産投資と違い、自宅は住宅ローンの所得控除で数百万円の還付金を受けられるほか、さらに売却時に利益が出ても、キャピタルゲインにほとんど課税されない。
一般の不動産投資は空室のリスクにさらされるが、その心配もない。自宅マンション投資は、通常のマンション投資とは段違いで有利なのである。

含み益が平均2200万円

自宅に対してこうした優遇制度があるのは、国策として持ち家取得を促進していることの表れでもある。住宅取得は、家電・インテリア・カーテン・車などの同時購入で波及する消費効果が大きいからだ。この国策に乗らない手はないだろう。
ただし自宅マンション投資には、問題が1つだけ存在している。それは、優遇金利や優遇税制が受けられる自宅は原則1つしか所有できないということだ。そのため儲からないマンションを購入してしまうと痛手が大きい。儲からないマンションとは利便性が低く立地に恵まれず、資産価値が大きく目減りする可能性の高いマンションのことである。
ただし、そこは安心してほしい。私が主催する「住まいサーフィン」(※)という無料会員制サイトは会員数が24万人をすでに超えているのだが、その中にある自宅査定という機能の過去12万件以上の結果を見ると、99%の人が含み益を出しており、その平均額は2200万円に及んでいることがわかる。
2200万円といえば、生涯獲得収入の1割程度を占める大金である。これは老後資金に匹敵する利益を多くの人たちが自宅マンション投資で上げている。これが現実なのである。
(※)「住まいサーフィン」のウェブサイトはこちら↓

自宅を「10年で住み替える」べき6つの理由

では具体的にマンションを10年で買い替える根拠をまとめておこう。おおむね次の6つに大別できる。
①自宅マンションは含み益が出やすい
②住宅ローン控除の期間が10年で切れる
③変動金利や10年固定金利は長期固定金利よりも低い
④中古マンションを買いたい人は築10年以内を望んでいる
⑤大規模修繕を回避できる
⑥瑕疵担保責任は10年で切れる
一つずつ見て行こう。
① 自宅マンションは含み益が出やすい
自宅は儲けやすい。頭金を1割入れて物件を購入した人の住宅ローンの元本の減り方は、毎年物件価格の2.3%である(物件価格の9割を、金利0.65%、借入期間35年、元利均等返済で借り入れする場合)。対して物件の年間値下がり率がこれ以下であれば、売却時に手元に資金が残る計算になる。
例えば年間値下がり率が1%ならば、10年後に10%物件価格は下落することになる。対して元本は10年間に23%減るので、差し引き13%は売却時に現金として手元に残る計算になる。これは例えば5000万円のマンションならざっと650万円になる。さらに10年間の住宅ローン減税による還付金をもらえる。これを次の頭金としてマンションを購入すれば、さらに条件のいいマンションを買うことができる。わらしべ長者の理屈で、自宅マンションは住み替えれば住み替えるほど、利益が出ていくのである。

住宅ローンがおトクに使える!

②住宅ローン控除の期間が10年で切れる
住宅ローン控除の制度は、住宅ローン年末残高の1%にあたる所得税が還付されるもので、現時点の取得物件については上限40万円となっている。この期間は10年で終了するので、最大400万円の還付になる。
10年後に住み替えたら、またその時点の制度に従い、控除が受けられる。住み続けるより、10年ごとに住みかえて控除を受け続けると、有利になる可能性が高い。
③変動金利や10年固定金利は長期固定金利よりも低い
10年で住み替えることを前提にすると、住宅ローン金利を安くすることができる。期限を10年と決めるので変動金利や10年固定金利のローンを選べばよいからだ。35年の長期固定金利よりも、変動金利や10年固定金利は通常低いから、よりお得に融資が受けられる。
④中古マンションを買いたい人は築10年以内を望んでいる
10年で住みかえれば、売却時も有利になる。不動産の売買で最も大事なことは、相手の都合に合わせられるようにすること。買い手の都合に合わせれば合わせるほど、高く売ることができるからだ。中古物件を買いたい人のニーズは第一にエリア、次に築年が重要な要素になる。住まいサーフィンのアンケートで中古物件を購入するとしたら、築何年まで許容できるかを聞いてみたところ、答えは10年以内が63%を占めダントツ1位。15年までを含めると、81%に及んだ。
⑤大規模修繕を回避できる
新築から10年で住み替えると、大規模修繕の時期を回避することができる。修繕積立金の支払いは段階的に増額されるので最初の10年は比較的安く、追加コストである一時金が発生するのは修繕の直前が多い。また、修繕中は長期間に渡って居住性が落ちるので、使用価値も落ちる。
⑥瑕疵担保責任は10年で切れる
現在、すべての新築住宅は引渡の日から10年間その瑕疵を修補するなどの義務を売主が負うことになっている。瑕疵とは、構造上や居住上の大きな問題(例:雨水の浸入等)を指す。「万が一」の無償保証期間が切れるので、不安を覚える方もいることだろう。
リスクとコストパフォーマンスを加味すると、自宅マンションは10年で売却し、住み替えることが有利なのだ。これを前提とするとしないとでは、あなたの人生は大きく違ってくるのである。