こんにちは、内野彩華(うちのあやか)です。新宿・歌舞伎町にキャバクラを4店舗経営する歌舞伎町の女社長。そんなわたしが野心の大切さを説く、この連載。第45回は「信頼している人に裏切られたとき」がテーマです。
一般的に、なにかを習得するのにかかる時間は「1万時間」と言われています。うちの店でも入店したばかりのキャバ嬢が「わたし、水商売向いてない」とため息をついては、1万時間どころか、100時間にも満たないうちに辞めてしまうことがあります。
ただ、私が紹介したいのは「1万時間の法則」ではなく「1000時間の法則」です。今回はこちらについて私なりの実体験をもとに、お話をしたいと思います。
◆なにかを習得するには意外と時間がかかる
1000時間というのは、結構日数を要する時間です。1日3時間、5時間、8時間かけたとして、それぞれ何日かかるか計算してみました。
【1日3時間×333日】
働きながらだと、資格や免許をとるための勉強なら、1日3時間確保するのがやっとだと思います。そうすると軌道に乗るまでに約1年かかる計算になります。
【1日5時間×200日】
わたしたち水商売の業界では、1日における働く時間は約5時間程度です。月に100時間とすると、約10ヶ月かかる計算になります。
【1日8時間×125日】
一日中、習得したいものに時間が費やせる場合にはもっと日数は短縮されますが、それでも4か月かかる計算になります。
こうしてみると、なにかを習得するには、意外とたくさんの時間と労力を費やさないとダメなんだなと改めて思います。
わたしが水商売をはじめたときは、単にお金がないという理由だったので、真剣に水商売の技術を習得したいとは思っていませんでした。わたし自身も若かったこともあり、適度にチヤホヤされていたので、この仕事で一生やっていくつもりはありませんでした。仕事をなるべく早く終わらせて、アフターを断る口実も考え、とても省エネ体質の働き方でした。
◆歯を食いしばって辞めなかった結果…
でも、大学時代に、銀座の高級クラブで働きはじめたとき、指名が全く取れず、すごくくやしい思いをしてからは、初めて強烈に「売れたい」と思いました。
とはいえ、一生懸命働いても、なかなか成果がでないので、「どうせ向いてない」と後ろ向きな気持ちになってしまい、やる気がなくなったり、自暴自棄になったりするばかりで、とても何かを習得するようなマインドにはなれませんでした。
それでも、歯を食いしばってお店を辞めなかった(正確にはお金が必要だったので「辞められなかった」が正しい言い方だと思います)のは、水商売の技術を習得する上で、わたしにとってすごくプラスなことでした。
お店にいると、凄腕のホステスさんの接客を間近で見ることができます。それから、お客様が、席についてる間に、ほかのホステスさんについて話をすることも多かったので、お客様が褒めていることは真似して、文句を言っていることは反面教師にしていたのです。とはいえ、見よう見まねで真似しも、しっくりこなかったり、恥ずかしくて絶対できないと思ったりと、うまくいかないことのほうが多かったと思います。
◆人生全てを水商売に捧げてみえたものとは?
それから、大学を卒業して、日本オラクルに就職します。昼間の仕事を経験してわかったのは、「これはわたしに向かない」ということでした。それを悟ったとき、わたしは「是が非でも水商売で売れないと、もう未来がないのだ」と、お尻に火がついた感じがしました。
とはいえ、わたしは何事にも保険をかけるタイプなので、すぐに昼間の仕事を辞めませんでした。寝る間も惜しんで、一日中水商売のことばかり考えて、水商売に関わる本は全部読んで、人生すべてを水商売につぎ込んだ結果、3か月目にようやく、その店でナンバーワンになりました。
振り返ってみると、なんと、その時一番役に立ったのが、その前の7年間で水商売という業界で、のんべんだらりと働きながら、見聞きしていたことだったのです。わたしの場合、やる気がなかったのでクビになったり、自ら辞めたりを繰り返していたので、7年間で見聞きしたものの数は、膨大な量でした(安スナックから高級クラブまで星の数ほどの店で働き、注意深くみていればもっと気づくことがあったのでしょうが)。
勉強なら本があり、わからなければ先生が教えてくれますが、仕事はそういうわけではありません。もっとわたしの性格が素直でかわいかったら、いいメンターさんがついて手取り足取り教えてくれたのかもしれませんが、わたしにはそんな人はいませんでした。
そうなってくると、結局、自分が実際に目で見たものと、耳で聞いたことがすべてになってきます。それらを実践して、うまくいかなかったものは捨て、うまくいったものを取り入れていくという作業を繰り返していくしかありません。
◆どんなキャバ嬢でも半年出勤すれば指名がつく
そうなってくると、1000時間というのが純粋に【一日の労働時間×日数】というわけではないということがわかります。わたしは、恥ずかしながら、水商売の技術を習得する1000時間までになんと、約7年も費やしてしまったのです。
自分のお店を開業してから本当によく思います。どんなにかわいくなくて、口数も少なくて、サービス精神もなくて、絶対に水商売に向いてないだろうと思われるキャバ嬢でも、半年間、休まずに毎日出勤していれば、徐々に指名がつくようになっていきます。
でも、キャバ嬢に向いてないだろうと思われる子のほとんどは、心が折れてすぐに辞めてしまうので、売れないのに半年間も休まずに毎日出勤することができません。キャバ嬢のエースは、きれいで才能やセンスがある人ではなくて、そういう滅多にできないことを地道に続けられる人なのです。
みなさんも、物事を習得しようと思ってなかなか成果がでないときは、はじめは質より量だと思います。量がある一定以上に到達すると、自然と質がいいとか悪いが、わかるようになってくるような気がします。そして、習得するまでには時間がかかるんだということを、1000時間の法則を思い出してみてくださいね。
<TEXT/内野彩華>
【内野彩華】
新宿歌舞伎町キャバクラ「アップスグループ」オーナー。株式会社アップス代表取締役社長。津田塾大学卒業。25歳のとき、当時勤めていた外資系IT企業をやめて、歌舞伎町にキャバクラを開業。現在、歌舞伎町にキャバクラを4店舗、銀座にクラブを2店舗展開するまでに。キャバ嬢の育成やキャバクラの立ち上げ、経営改善のコンサルティングなども行い、グループ年商は10億円にもおよぶ
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