2019年4月28日日曜日

「サラリーマンはどうなるの?」「転勤」という奇妙な風習が日本でなくならない理由

「転勤」という奇妙な風習が日本でなくならない理由


4/27(土) 14:30配信
webマガジン mi-mollet
 引っ越しを伴う転勤が受け入れられず仕事をやめてしまう、いわゆる転勤離職が増えています。厚生労働省ではこうした離職を防ぐため、ガイドラインを作成し企業に活用を呼びかけていますが、効果は今ひとつのようです。

日本の会社では、辞令が出れば問答無用で引っ越しするのは当たり前のことでした。日本人の働き方は、時に滅私奉公などと揶揄されますが、強制的な転勤もこうしたカルチャーの一つといってよいでしょう。筆者もサラリーマンをしていた頃、マンションを購入した同僚が、その直後に遠距離の転勤を命じられるというケースをたくさん見てきました。

引っ越しにはかなりの手間がかかりますし、単身赴任ということになると、家族の生活もバラバラになってしまいますから、転勤の強制に多くのデメリットがあるのは間違いありません。

では、こうしたデメリットがあるにもかかわらず、なぜ日本では転勤が行われてきたのでしょうか。その理由は終身雇用制度にあります。

大企業を中心に日本は終身雇用が大前提となっていますが、これは企業から見ると、非常に負担が大きい制度です。ひとたび社員を雇ってしまうと、半永久的に雇用しなければならないわけですが、20年、30年という時間が経過すると、ビジネスの中身や拠点は大きく変化します。

ここ20年の間でも、多くのメーカーが工場を閉鎖しましたし、トヨタ・グループの発展に伴い大阪から名古屋に本社を移した企業も少なくありません。 諸外国の企業であれば、ビジネスの中身や拠点が変われば、ガラっと人を入れ換え、新しい拠点で人を採用しますが、日本の場合には、在籍している社員に頼らざるを得ません。

そうなってくると、どうしても転勤という形で引っ越しをさせないと、人の都合がつかなくなってしまいます。さらに言えば、社員の平均在籍期間が長いので、不正などを防止するため、一定期間ごとに人を移動させる必要があるという事情も影響しているでしょう。

会社側も嫌がらせで転勤を命じているわけではなく、終身雇用を前提とした制度の場合には、転勤は避けて通れないという面があるのです。その証拠に若い頃は転勤に反発していた社員も、やがて管理職に昇進すると部下に平気で転勤を命じるようになります。つまり仕組みとして強戦後70年間、同じような制度だったにもかかわらず、近年になって転勤を強く拒否するケースが目立っているのは、本当に終身雇用が維持されるのか疑問視する社員が増えてきた事が原因でしょう。

筆者はこうした動きは日本の企業社会によい影響をもたらすと考えています。

 諸外国では、仕事は家族と豊かな生活を送るための手段であると考える人が多く、転勤を命じられるとあっさり辞めてしまう人も少なくありません。皆がそういった考え方になれば、滅私奉公的な転勤はなくなりますし、当然ですが、働き方の多様化も進むでしょう。転職も活発になり、ビジネスにもプラスの効果をもたらすことになります。

転職が活発にならないことは、いわゆるニワトリとタマゴの関係に似ています。

転職が不利であると皆が考えると、ますます人は転職しなくなり、転職者が少ないと労働市場が小さくなってしまいます。会社を辞めてしまうとどこにも就職できないという状況に陥り、転職がさらに不利になるという負の連鎖です。

終身雇用制度というのは日本の伝統だと勘違いしている人が多いのですが、この制度は、戦争遂行のため国家総動員法の施行と同じタイミングで導入されたものです。集団主義的な戦時体制が、戦後の大量生産にうまくマッチしてしまったことから、戦後も継続したというのが実態です。

それ以前の日本は、米国並みに転職が激しく、元請け、下請けという従属的な契約関係も今ほど強固ではありませんでした。下請けの企業も条件が悪いとすぐに仕事を断り、別の取引先を探すケースが多かったのです。

日本は幸か不幸か、空前の人手不足となっており、とにかく人が足りないという状況が長期にわたって継続する見込みです。仕事でそれなりのキャリアを積んだ人が路頭に迷うというのはあまり考えにくいですから、転職について、もっと前向きになった方がよいのではないでしょうか。

多くの人が、自分自身や家族との生活を基準に仕事を選択す

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