リストに入った商品の数々

がんリスク増大判明! 食べてはいけない「超加工食品」実名リスト(2/2)

 前回ご紹介したのは、フランスのパリ第13大学の研究者らが発表した「超加工食品」摂取によってがんリスクが上昇するという論文である(定義などについては掲載表参照)。その要因のひとつとして、〈成分は健康被害が起きないように当局が管理をしているが、それらの蓄積による影響や混合による影響の多くは分かっていない〉と論文にはある。「超加工パン」に続き、今回は避けたい「冷凍食品」について取り上げる。(以下は「週刊新潮」2019年1月31日号掲載時点の情報です)
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 掲載の超加工冷凍食品のリストを見ていただきたい。いずれも本誌(「週刊新潮」)が一般的なスーパーの売り場で確認した商品で、「超加工用添加物」の多い順に並べたワーストランキングである。1位になったのはトップバリュの「大盛り和風たらこ」で、亜硝酸ナトリウムのほか、着色料として、紅麹、カラメル、カロテノイド。さらに、石油由来のタール系合成着色料の赤色102号と赤色3号まで使われている。
リストに入った商品の数々
 これらの冷凍食品の会社に、添加物の蓄積や混合による影響についての見解を聞くと、例えば、イートアンド社は、
「厚労省に認可された添加物を適切な量使用しているため、問題はないと考えています。まだ正式な発表は出来ませんが、着色料、香料を使用しない冷凍餃子の開発を進めております」
 との回答を寄せた。
「超加工食品」とは
「着色料のカラメル色素にはIからIVまであるのですが、IIIとIVには発がん性の疑いがあります」
 そう話すのは、厚生労働省第8版食品添加物公定書検討会構成員で元鈴鹿医療科学大学薬学部客員教授の中村幹雄氏である。
「ヨーロッパでは、IからIVまでをきちんと表示する義務がありますが、日本では、どれが入っていても、カラメル色素と表示すれば良いことになっている。そのため、表示を見ても、カラメルIIIとIVを避けることができないのです」

香料、加工でんぷんにも注意を

 リストに掲載したパンや冷凍食品には、「超加工用添加物」の一つである香料が入っている商品も多い。その字面からは危険なイメージは伝わってこないが、
「香料にも発がん性の疑いがあるものがたくさんあります」
避けたい「超加工冷凍食品」ワースト66
 と、中村氏は指摘する。
「例えば、アメリカのFDAはベンゾフェノンやエチルアクリレートなどの合成香料を食品添加物リストから削除しました。これは連邦食品医薬品化粧品法のデラニー条項に基づく措置。デラニー条項とは、ほんのわずかでも発がん性があればリストから削除して使用を止めよう、という趣旨の条項です。これらの香料は日本では未だに使用可能ですが、いずれも香料としか表示されないので入っていても分かりません」
 やはり商品によく入っている加工でんぷんも、実際には10種類以上あるが、表示は全て加工でんぷんだ。
「10種類以上のうち、ヒドロキシプロピルデンプンとヒドロキシプロピル化リン酸架橋デンプンは、EUでは、安全性情報が不十分との理由で、乳幼児向け食品への使用が禁止されています」(家庭栄養研究会常任顧問の蓮尾隆子氏)
 複数の専門家の見解を重ね合わせていくと、やはり「超加工用添加物」が多く含まれた食品を日常的に摂取するのはなるべく避けたほうが良さそうなのだ。
 件の論文では、導き出した研究結果について、〈必ずしも一般化できないかもしれない〉としているが、注目すべきはその理由だ。今回のコホート研究への参加者は〈フランスの一般人口の比率に比べて女性が多く、健康に気を遣っており、社会的地位が高く、教育レベルも高い〉人が多かったため、〈これらの点の影響で関連性を低く見積もっている可能性がある〉としているのだ。つまり、社会的地位が高い人などの割合が一般人口の比率に近かった場合、もっと高いリスクを示す結果が出ていたかもしれない、と指摘しているわけだ。
「加工度によって食品を分類するのは、健康への影響を考えると、大変に有意義なことだと思います」
 そう語るのは、ハーバード大学などで研究を重ねてきた医師の大西睦子氏だ。
「この論文については多くのアメリカの報道でも取り上げられています。超加工食品の、加工度の高さや添加物の多さに鑑みれば、習慣的に食べすぎると、がんのリスクが高まる可能性はあるでしょう」
 最も大事なのは「知る」ことだ。知った上で、それを避けるかどうかは各自の判断に委ねられよう。
「週刊新潮」2019年1月31日号初出/2019年4月28日 掲載