なぜ今、投資が必要なのか? 「預貯金派」が専門家に疑問をぶつけてみた
欧米と比べると、金融資産に占める預貯金の割合が極端に高いと言われる日本。しかし、欧米に比べて投資環境が整っていないかといえば、決してそんなことはありません。ネット証券を使えば手軽に投資ができるし、NISA(少額投資非課税制度)やiDeCo(個人型確定拠出年金)といった、税金が優遇される制度もあります。
とはいえ、実際に投資を始めようとすると「損するかも……」というネガティブな感情がわき上がるのも事実。それに、いくら手軽に投資ができるとはいえ、株価を気にしながら売買をする暇はないという人も多いでしょう。結局、安心で手間もかからない預貯金に行き着いてしまう気持ちも分かります。
そこで今回は、預貯金派のライフハッカー[日本版]編集部員が投資に関する疑問や不安を専門家に直撃。今、投資をする意義とメリットを教えてもらいました。
投資が普及しなかった理由は、バブル崩壊後の失われた20年とデフレ経済
投資に関する疑問を聞くなら、株式や投資信託など幅広い商品を取り扱っている証券会社。ということで、やってきたのは、カブドットコム証券。質問に答えてくれるのは、ファンドアナリストの川上雅人さんです。
早速、なぜ日本は欧米と比べて預貯金の割合が多いのかを聞いてみました。
「まず、実際にどれくらい預貯金の割合が多いのかをみてみましょう。日本銀行調査統計局が発表した家計の金融資産構成で現金・預金の割合をみると、アメリカの13.1%、EUの33%に対して、日本は52.5%に達しています」と川上さん。なんと、日本では半分以上は預貯金なんですね。
「大きな理由は2つあります。ひとつは、バブル崩壊以降、日本の株式市場が長らく低迷していたこと。そして、長い間、デフレが続いていたことです」
確かに、アベノミクス以前は、長い間、日経平均株価が上がらなかった印象があります。そういった状況だと、投資には二の足を踏みますよね。それにデフレが続くと……、どうなるんでしたっけ?
「デフレとは、モノの値段が上がらなかったり、下がったりする状況。モノの値段が下がれば、同じ金額でも沢山のモノが買えます。相対的に現金の価値は上がりますよね。そういった意味で、デフレ下では預貯金は、ある意味で賢明な選択だったかもしれません。しかし、状況は変わりつつあります。アベノミクス以降、株価は上がっていますし、物価上昇も定着しつつあります。加えて、少子高齢化による年金不安などもあり、今は預貯金に頼るのではなく、投資運用を検討すべき状況といえます」
確かに、年金は不安です。でも、株式はもっと不安です。不祥事があって急落、なんてニュースをよく見るじゃないですか。
「投資と言えば、株式が頭に浮かぶかもしれませんが、それだけではありません。初心者や忙しいビジネスパーソンには、投資信託がオススメです。投資信託とは、多数の人から資金を集め、それを投資の専門家である運用会社が株式や債券などに投資し、得られた収益を出資した資金に応じて分配・還元するもの。現在、数千本の商品があります」
なるほど、でも、どうして投資信託が初心者や忙しいビジネスパーソンにオススメなのでしょうか。
「大きな理由は3つあります。ひとつは、少ない資金で始められること。カブドットコム証券では、積立ならば一口100円から購入できます。次に、リスクが分散できること。株式のみに投資する投資信託でも数多くの株式を組み合わせているので、どれかの価格が大きく下がっても、全体では大きな損になりにくい。3つめは、株式のように頻繁に売買をしないので、値動きをあまり気にする必要がありません。投資信託を購入するなら、『つみたてNISA(積立NISA)』の活用がオススメですよ」
投資初心者や忙しいビジネスパーソンにオススメなのが「つみたてNISA」
『つみたてNISA』、言葉だけは聞いたことがあります。でも、NISAってなにさ、って感じです。
「『NISA』は少額投資非課税制度のことで、『つみたてNISA』と『一般NISA』が存在します。先に始まったのは、2014年1月スタートの一般NISA。国が旗を振る、貯蓄から投資へ、を促進する制度のひとつとして開始されました。具体的には、NISA口座を開設すると、毎年120万円の非課税枠が最大5年間、合計600万円まで設定。その口座で売買した株式・投資信託などの配当・分配金や売却益にかかる約20%の税金が非課税となります」
売却益が10万円出たとすると約2万円か。結構、大きいですね。それで、『つみたてNISA』とはどういった制度なのでしょうか。
「こちらは2018年1月のスタートで、少額からの長期・積立・分散投資を支援するための非課税制度。一般NISAと違い、上限は毎年40万円。ただし期間が長く、投資を始めた年から数えて最長20年間が非課税期間となります。商品と毎月の購入額を決めてスタートすれば、自動的に積み立てしてくれるというのがメリットです」
『一般NISA』と『つみたてNISA』は、年間に投資できる額と非課税期間が異なるのですね。
「もうひとつ、大きな違いがあります。それは、購入できる対象商品。『一般NISA』は株式も投資信託も購入できますが、『つみたてNISA』は投資信託のみ。しかも、金融庁が定めた長期運用にふさわしい投資信託に限定されています」
そういえば、カブドットコム証券には、投資信託商品を選ぶヒントになる『FUND DRESS』というサービスがありますね。ちょっとやってみて良いですか。
なるほど。色彩心理を活用して、好みのドレスを選ぶだけで自分にぴったりの『つみたてNISA』対応商品を見つけることができるんですね。
「少額から積み立てられて、分散投資の長期運用ができる。『つみたてNISA』は、初心者が預貯金の代わりに始めやすいと思います。ただし、注意も必要。まず『一般NISA』と『つみたてNISA』は併用できません。また、途中で売却すると、その後の期間は非課税のメリットを受けられなくなります。つみたてNISAは、長期間運用すればするほどメリットを享受できることを覚えておきましょう」
日経平均株価の最高値から積み立てても、しっかりと利益が出ている
個人的には、株価がガーンと下がったときに、一気に購入したほうが、値上がり益を期待できそうな気がします。そっちのほうが儲かりそうですよね」。
「もちろん、結果だけをみると一括投資が有利なケースもあります。しかし、金融知識がある人でも、底値を見極めるのは難しい。なにより、一括投資は、下がったらどうしようといった不安感があります。一方、毎月一定額を投資する積立運用の場合、価格が高いときには口数が少なく、価格が低いときには口数が多く買えます。これにより、長期的に平均買付単価を低く抑えることができ、その後、価格が上昇したら、運用成果も大きくなります。論より証拠。もし、日経平均株価が最高値をつけたときに日経平均株価に毎月1万円の積立投資を始めたら、どうなっていると思いますか」
確か、日経平均株価終値の最高値は1989年末の3万8,916円。普通に考えたら、どえらい損をしている気がします。
「単純計算で、2018年末で349万円を積み立てているのですが、137万円の利益がでて、総額は486万円(プラス39%)まで増えているんです。これは、日経平均株価が安いときに、多くの口数を購入でき、その後の上昇局面でリターンに跳ね返ったから。一方、一括投資の場合、最高値で349万円投資を行うことになりますから、170万円の損失がでて、総額は179万円(マイナス49%)まで減っています。つまり、積立投資の場合、右肩下がりの資産に投資しない限り、長期間続けることで元本割れしにくくなる傾向があります」
でも、失われた20年を見てきているし、右肩下がりになる不安が拭えないんです。
「そのための分散投資です。新興国や先進国の株式や債券を組み合わせた投資信託は、右肩下がりのリスクは低い。よく言われるのは、人口が増え続ける限り経済は成長するという理論。日本は人口減少が始まっていますが、世界でみればまだまだ人口は増えます。新興国の躍進もあり、世界規模でみれば、経済は成長を続けると予想されています」
そう聞くと、なんだかやってみようという気がしてきました。
「『つみたてNISA』には2つの楽しみがあります。ひとつは、積み立てていく楽しみ。もうひとつは、非課税で運用するから目標金額に到達する期間が短くなる楽しみ。預貯金だけだと将来が不安という人は、活用してみてはいかがでしょうか」
さまざまなメリットがあり、忙しいビジネスマンや投資初心者にもぴったりな『つみたてNISA』。カブドットコム証券は、オンラインで口座開設ができて、100円から積み立て可能なので、手軽に始めることができます。「つみたてNISA(積立NISA)かんたんシミュレーション」を使えば、運用益や非課税となる金額が簡単に計算できるので、気になる人は一度、試算してみてはどうでしょうか。
Screenshot: ライフハッカー[日本版] via FUND DRESS , カブドットコム証券
Image: FatCamera/gettyimages , 三井住友アセットマネジメント
Reference: 日本銀行調査統計局
Source: FUND DRESS , カブドットコム証券 , つみたてNISA(積立NISA)かんたんシミュレーション
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