老後貧乏につながる?現役世代の5つの思考パターン
老後破産につながる危ない5つの思考パターン
老後のお金に関する不安は、多くの人が抱えている問題だと思います。ただし実際には、今の会社が守ってくれる、親にはそれなりに資産があるから大丈夫だろう、とのんきに構えている現役世代も少なからずいるものです。そんな人が老後に思わぬ事態に遭遇してしまうことで、貧困に陥ったり老後破産したりするケースも否めません。どんなパターンが危ないのでしょうか。5つの事例で確認してみましょう。
その1:今の会社にいれば老後は安泰だと思っている
日本で終身雇用制度が崩壊しつつあることは、以前から話題になっています。そのことは十分理解しているはずですが、実際には「今の会社にいる限り会社が老後の面倒も見てくれる」と無意識に根付いている人がまだまだいるようです。そのような人は、「公的年金と会社の企業年金があるから安心」とばかり、老後資金を増やそうと努力しないケースもあるとも聞きます。
生命保険文化センター(2016年度)の調査によると、ゆとりある老後を過ごすための平均額は月に約35万円と出ています。一方、総務省の家計調査報告(2017年)における高齢無職世帯での実収入の平均額は約19万円。また、厚生労働省が発表している夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な年金額は、約22万円という報告もあります。
いずれの金額も、年金だけでは生活ができないという現実を突きつけており、自分で老後資金を準備する必要性を示しています。つまり「会社がどうにかしてくれる」という思考は拭い去り、老後に向けた資金計画を一刻も早く立てることが重要なのです。
その2:親の遺産を当てにしている
「自分の親にはそれなりの資産があるから、焦って老後資金を貯める必要がない」と、声高に言わないまでも、密かに思っている人もいるでしょう。ところがいざ相続が発生した時に、中には相続対策をしていなかったばかりに、多額の相続税が発生し、自分の手元に残るお金が少なくなったケースや、身内で揉めに揉めて遺産分割協議が成立するまでに10年以上かかったというケースも少なからずあるのです。
「親が相続対策をしっかりしてくれているから大丈夫」という人以外は、基本的には親の遺産を当てにせず、自分で働いたお金で老後資金を貯めることが最悪の事態を防ぐ策でしょう。
その3:夫婦でお金の話をしない
「夫の収入を把握していない」「妻が普段何にお金を使っているか知らない」これはよくある夫婦の姿。ところが、実はこのケースが老後貧乏を招く大きな要因になるのではないかと筆者は思います。例えば、妻は財布の紐が固いのに夫には浪費癖がある、あるいは夫が真面目に働いたお金を、妻はいつも高価な買い物で使ってしまうというようなケースも現実にはあるのです。
これは極端なケースかもしれませんが、つまりは夫婦でお金について話し合い、互いの目標を作ることで、最悪のケースは防げることもあると考えます。来る定年後に向けて、夫婦でお金の話を積極的にすることは何より大事です。
その4:収入に合わせて生活費をダウンサイジングできない
一般的に、生活費などの家計支出は収入の多寡と比例していて、毎月の収入の多い人は生活費の支出も多く、反対に収入の少ない人は支出も少ない傾向にあります。自分の収入に見合った金銭感覚が身に付いていくのは、ごく自然のことだからでしょう。しかし、収入が安定的に入ってくる間はよかったとしても、年金生活に入った後も同じような金銭感覚で過ごしてしまうと、思わぬ落とし穴が待ち受けていることもあります。収入が減っているにもかかわらず、生活レベルが落とせない。その結果、家計が回らなくなり、子どもからの仕送りや借金に頼らざるを得なくなるパターンもあるのです。
そうならないために、50歳くらいから老後の具体的なライフプランを作り、少なくても55歳を過ぎたら実際の年金生活を想定して、家計のダウンサイジングを実行しましょう。
その5:定年後は物価の安い地方に移住するから大丈夫
定年後は夫婦で物価の安い地方へ移住して、年金だけで気ままに暮らす……。理想的な老後だとは思いますが、現実はそう甘くないとも聞きます。なぜなら、地方は基本的に交通の便がよくない場所が多く、車での移動が当たり前。中には、夫婦1台ずつ車を所有せざるを得ないケースや、スーパーや病院までの距離が遠いため、ガソリン代がかさむケースもあるからです。
また、都会のマンションとは異なり、地方の一軒家では、光熱費も高額になることが多々あります。他にも、中古物件などを購入すると、場所によっては家が傷んでいくスピードが速く、メンテナンス代の出費が予想外にかかる場合もあります。すべて自給自足でまかなえる自信のある人以外は、基本的には老後資金を十分に備えてから実現した方がよさそうです。
以上5つの事例をご紹介しました。安心して老後を迎えるためには、何はともあれ準備が大切です。凝り固まった思考を変えて、豊かな老後を目指してください。
(文:小澤 美奈子(マネーガイド))
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