「お金がなかなか貯まらない、貯められない」。いつもそうつぶやく人には、ひとつ大きな理由となる性格があります。あなた、面倒くさがり屋じゃないですか?
「お金がなかなか貯まらない、貯められない」。いつもそうつぶやく人には、ひとつ大きな理由となる性格があります。あなた、面倒くさがり屋じゃないですか? 筆者自身も、実は大の面倒くさがり屋です。だからこそ、貯蓄できない人の行動パターンが、わかります。もしも心あたりがある人は、参考にしてみてください。

面倒くさいからこそ、やるべきことは先にやる

いかにお金を貯められるようになるか、という話をする前に、筆者自身が面倒くさがり屋で、いつも失敗している例をいくつか紹介しましょう。

▼直近で使うことが分かっているのに、先延ばしをして後悔するよくあるのが、ガソリン。車に乗る人なら、どこのガソリンスタンドが安いか、ということに敏感で地元ならココ!というスタンドを知っているはずです。通勤で毎日車を使う人なら、1円でも2円でも安く入れられたら、それに越したことはありません。

筆者も近所に相場よりも安いスタンドがあり、日常的に使っていますが、ガソリンが、ほぼなくなってから入れればいいや、と先延ばしにしがち。うっかり遠出をした際に、ガソリンメーターがゼロに……。仕方なく出先でガソリンを入れるわけですが、どうせ使うことが決まっているのだから、ゼロになる前に安いところで入れていれば済むこと。

カンタンな話なのに、面倒くさがり屋は、「後でいいや」と思って、悔しい思いをするのです。

▼使わなくなったカードの処分を後回しにして、年会費をとられた貯蓄ガイドにあるまじきことだと反省し、恥を忍んで紹介します。よくクレジットカードで初年度会費無料とか、1度使用すれば、その後1年は年会費無料といったものがあります。筆者が持っていたカードの1枚は後者のタイプ。交通系のカードだったので、年会費の更新を意識することがないぐらい日常的に使っていたものです。毎日使っていましたから、年会費はずっと無料だったのです。

しかし、引っ越しをして、そのカードはまったく使わなくなりました。使わない以上、慌てて手続きすることもないと、後回しにしていたところ……。年会費の支払い通知がきました。最初はなんのことやらと。そう、これまでは年会費無料だったのが、1年以上使わなかったので、年会費が発生したのです。こうして、面倒くさがって手続きをしなかった代償を支払うことになったのです。

▼面倒くさがり屋は、早めの予約割引、前売り特典を受けられないホテルや飛行機などの早期予約割引は、当然みなさん利用していることでしょう。筆者も同じです。金額が金額だけに、同じ旅程なら、少しでも安く済ませたいものです。こうした長期の計画に関わることは、いくら面倒くさがり屋でも、日にちが確定したら、すぐに行動するでしょう。

問題は、思い立ったら吉日とばかりに、無計画で行動するケースです。身近なところでは映画鑑賞。毎月1日、水曜日のレディースデイ、レイトショーなど、映画鑑賞の割引はいろいろあります。しかし、面倒くさがり屋は前もって予約するということが苦手です。そうなると当日行って、正規料金で鑑賞するということに。せめて前売り券を買っておくとか、もっと賢い人は映画会社の株主になって株主優待券で鑑賞します。

たった数百円、されど数百円、なのです。旅行先でもさまざまな特典があるものです。予約や事前のチェックがお得とわかっていてもできないのが、面倒くさがり屋。でもソンをしていることに気づくべきなのです。

貯蓄も同じ。面倒くさいから「先取り」「計画」「即行動」がキモ

面倒くさがり屋の貯蓄行動は、日常生活の行動パターンと似ています。「後でいいや」「1カ月先の予定はわからない(決めたくない)」「今は特に困っていない」。そんな面倒くさがり屋特有の考え方が、貯蓄行動にもつながっているのです。

貯蓄の基本は、給料から先に貯蓄分を差し引いて、残りのお金で生活するという「先取り貯蓄」です。一度決めてしまえば、自動的に天引きしてくれたり、振替をしてくれるので、本当は面倒くさがり屋こそが、活用すべき貯蓄法のはずです。しかし、面倒くさがり屋は、その手続きが面倒なのです。「今やらなくても、後でいいや、いくら貯蓄すればいいのかわからないし」、と行動を先延ばしにしてしまうのです。

毎月いくら貯蓄するか、ボーナスからいくら貯蓄するか。面倒くさがり屋は、こうした計画も苦手です。「残ったら貯蓄ってことで」とか、「先に貯蓄すると使うときに足りなくなったら困るから」と、お金の使い道の計画を立てません。

ボーナス時期など、数は少なくなりましたが、各金融機関では金利優遇のキャンペーンをしています。貯蓄上手な人は、あらかじめこうした情報をチェックしておき、その銀行の口座を持っていなければ新規に開設して、準備をしておきます。しかし、面倒くさがり屋は、「大した金利の違いじゃないから、今までどおりでいい、口座開設、面倒くさい」となるのです。確かに、金利に大差はないかもしれませんが、金利に敏感であることは、お金を貯めるためには必須の資質です。

面倒くさがり屋は、こうしてお金を貯めるチャンスを自ら後回しにして、逃してしまっているのです。

本当は自覚している。自分を認めることが大事

しかし、お金を貯められない面倒くさがり屋は、こうした行動を自覚しているものです。自覚したうえで、貯蓄ができない自分を責めたりします。お金を貯めなくてはいけない、と思っているだけに、さらに自分を追い込んでしまうことも。人によっては、お金が貯められないのは、「○○のせい」と言い訳をするのです。

でも、いいのです。面倒くさがり屋で。ただ、それをお金が貯まらない、貯められない理由にはしないこと。お金が貯まらないのは収入が少ないからではありません。いろいろな理由をつけて、自分を正当化して、現在の自分から脱しようとしていないことが問題なのです。

面倒くさがり屋だから、手続きだけは頑張って「今」やる。計画はカンペキじゃなくてもいいから「今」作る。これさえできれば、自動的にお金は貯まります。これは貯蓄にとどまらず、投資や保険の見直しも同じです。「今」やるべきことを後回しにして、いいことはひとつもありません。

夏休みの宿題を先延ばしして、最終日に泣いた日々を思い出したあなた。「今」やらないと、人生の夏休み最終日に泣いても、こればかりは解決しませんよ。
(文:伊藤 加奈子(マネーガイド))