あなたも当てはまる?住民税が免除される人とは?
税金を負担する力が乏しいという方には住民税の負担が免除される
個人にかかる都道府県民税と市区町村民税をあわせて一般的に「個人住民税」といいます。住民に身近な行政サービスを受けてもらうのに必要な経費を、住民個々人にあてはめ、税金を負担する力(担税力といいます)に応じて住民税額が算定されます。逆に、税金を負担する力が乏しい(あるいはない)という方には住民税の負担が免除されることもありえます。では、住民税の負担が免除されるケースとはどのような状況なのでしょうか。個人住民税の種類と税金のかかり方をみていきましょう。
個人住民税は大きく分けて2種類
一般的に個人住民税というのは、■前年の所得金額に応じて支払う……所得割
■一定額で課税される……均等割
の2種類ということになるでしょう(預貯金の利息等にかかる利子割、株の配当や譲渡をした場合にかかる配当割や譲渡割も、個人にかかる住民税ですが、ここでは割愛します)。
つまり、個人住民税が免除される方という場合、所得割・均等割とも非課税なケースと、所得割のみ非課税なケースとがあるのですが、両方のケースをみていきます。
所得割・均等割ともに非課税の3ケース
まず、上記の所得割・均等割ともに非課税であるケースとは、1.生活保護法による生活扶助を受けている方
2.障害者・未成年者・寡婦又は寡夫で、前年中の合計所得金額が125万円以下(給与所得者の場合であれば年収204万4000円未満の場合これに該当します)
3.前年中の合計所得金額が市区町村の条例で定める額以下の方
の3ケースです。
なお、東京都の条例では、
■控除対象配偶者または扶養親族がいる場合
合計所得金額が、35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+21万円以下
■控除対象配偶者または扶養親族がいない場合
合計所得金額が、35万円以下
とされています。
よく給与所得者の場合、「年収103万円まで所得税がかからない、100万円以下なら所得税も個人住民税もかからない」などといわれることがあります。ここでいう「100万円」がどのように算定されたのかというと、年収100万円-65万円(年収161万9000円未満なら差し引ける、給与所得控除額の最低額)が、控除対象配偶者または扶養親族に該当する人がいない場合でも合計所得金額35万円以下になることから、所得割・均等割とも課税される根拠がなくなるという仕組みがあるのです。
所得割が非課税なケースとは
所得割が非課税なケースとは、上記の条例では、■控除対象配偶者または扶養親族がいる場合
総所得金額等が、35万円×(本人・控除対象配偶者・扶養親族の合計人数)+32万円以下
■控除対象配偶者または扶養親族がいない場合
総所得金額等が、35万円以下
となっており、おさえておくといいでしょう。ただし、生活保護法により生活扶助を受けている方に退職所得があって、退職所得に個人住民税の所得割が課される場合は、この規定の対象にはなりません。
条例の適用を受ける以外で個人住民税をおさえる方法
もちろん、上記のケース以外で、所得割については結果として「個人住民税がかからなかった」という方も数多くいます。所得税の税金の計算も、住民税の税金の計算も概ね同じなので、要は「収入-必要経費」で算定された所得が、住民税法上の所得控除を差し引いて0円になればいいのです。住民税においても、医療費控除や社会保険料控除、小規模企業共済掛金控除、生命保険料控除等は受けることができますので、
・収入-必要経費で算定された所得<住民税法上の所得控除
となれば、所得割にかかる個人住民税はかからないこととなります。
さらには、税額が算定されたとしても、いわゆる「ふるさと納税」をした場合の税額控除等も、住民税の減額に寄与します。
個人住民税は信用力の証明である
だからといって、個人住民税の所得割・均等割が非課税になるように、あるいは所得割だけでも非課税になるように諸条件を整えることを推奨しているわけではありません。所得税においても住民税においても、「税金を納めている」ということと「信用力」は無縁ではないのです。住民に身近な行政サービスを受けてもらうのに必要な経費を、住民個々人にあてはめ、算定された税金として個人住民税が算定されているのですから、条例に該当する人は相当程度、生活が困窮している状態にあると考えるべきでしょう。
(※上記のケースは東京都が発表している資料に基づいて記載しています。個人住民税が課される地方自治体によっては取扱いが異なる場合もあるのでご留意ください)
(文:田中 卓也(マネーガイド))
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