金銭教育というと、お金の使い方と思いがちです。しかし、お金持ちになる家庭では、しっかりとお金のもらい方を教えています。お金の使い方しか教えない貧乏思考、お金のもらい方を教える金持ち思考。さて、お宅はどちらですか?

金銭教育のコアはお金の稼ぎ方、もらい方、増やし方

子どもに対する金銭教育の必要性がさかんに叫ばれています。

目的は、多重債務者にならないため? 大人になって税金をきちんと納めさせるため? 株式市場にまともな投資家を取り込むため?と目的はさまざまです。

概して、お金の使い方、それからお金を失わない注意点、お金を借りることの怖さなどなどが主題となっているようです。

しかし、現代のような経済の転換期にあって、特に若年層の雇用が心配されている時代において、もっとも大事なことは、どうやってお金を稼ぐかということではないでしょうか?

その意味では、金銭教育のコアはお金の稼ぎ方、もらい方、増やし方であるべきです。

どうして、人はお金をもらえるのか?

人がお金を得る力の源泉はなにか? この幼稚にして、簡単過ぎる質問に対する答えは、真剣に考えると、実は奥行き深く、深淵なものがあります。

1. 身体を使うからお金がもらえる(労働の対価)
→額に汗して働くことを奨励する考え方です。

2. 時間をかけるからお金がもらえる(時間の対価)
→自分の時間を犠牲にして他人に与えるから報酬をもらえると考えます。

 3. 成績が良いからお金がもらえる(優秀さへのご褒美)
→能力や成果に対する報酬で、実力主義、成果主義といわれます。

4. 生きていくためにお金がもらえる(社会主義的な生活保障)
→生活を維持する最低限のお金は国から与えられるという受け身の考え方です。

 5. 感謝されるからお金がもらえる(貢献に対するお礼)
→お金とは感謝の媒体だから、人の役に立つとお金は自然にもらえると教えます。「働く」とは「傍を楽にすること」だという名言も同じ意味です。

これら5つの「お金のもらい方」には、どんな特徴があるでしょうか? 私は、生産性、確実性、自主性という3点から比較してみました。

生産性の高いお金のもらい方とは

労働の対価や時間の対価という考え方を取ると、人の得るお金は限定的になります。なぜなら、人が働ける量や投入できる時間には制限があるからです。この2つの考え方では、人の生産性が低いといえます。

ましてや、生活保障に至っては生産性はゼロです。他人のお金が税金を介して再配分されるだけです。生産性という観点では、優秀さへのご褒美や貢献に対するお礼は、ほぼ無限の世界です。大金持ちになることが可能な思考です。

確実性の高いお金のもらい方とは

確実にお金を得られるという意味で並び替えると、生活保障>時間の対価>労働の対価>優秀さへのご褒美>貢献に対するお礼、という順番でしょうか。

生活保障は、資格があれば必ずもらえる確実なお金ですが、優秀さや貢献に対する報酬としてのお金は、払う人の主観的な判断によるので、確実ではありません(相手を選ぶ必要があります)。

そして、確実性が薄くなるほど(不確実性が高まるほど)、生産性が高くなる関係にあるように見えます。

確実は良いことかもしれませんが、程度が過ぎると「つまらない」「平凡」という感情につながります。働く意欲が、盛り上がりません。

自主性の高いお金のもらい方とは

自分でコントロールできる順番に並べると、時間の対価>労働の対価>優秀さへのご褒美>貢献に対するお礼>生活保障、という順番になるでしょうか。

自分の行動だけで結果が出せるお金儲けから、それに他人の評価が必要となるレベル、さらに感謝されることが求められる高レベルまでありますが、生活保障は自主性ゼロ依存度100%の苦しいお金のもらい方です。

お金の使い方しか教えない貧乏思考

子どもの金銭教育に関した「金持ち思考と貧乏思考」についてお伝えしました。

さて、皆さんのご家庭では、人はなぜお金を得ることができるのか、お子さんに教えていますか? その金銭教育の結果が子どもの人生で間違いなく表現されるのです。

子どもを「貧乏思考」にしないためには、「使い方」を教えるだけでなく、どういう働き方をすることがよりよい報酬につながるのか、つまり稼ぎ方を教える教育をしたいものです。
(文:北川 邦弘(マネーガイド))