実は、お金が貯められるかどうかは、「努力」や「才能」では決まりません。大切なのは、「お金を貯められる環境」をつくることです。

本気でお金を貯めたい人は、まず「貯めやすい環境づくり」から

「がんばってもがんばっても、お金が貯まらない……」という方を、よく見かけます。頭も良い、努力もしている。でも、なぜか、お金が貯まらない。もしかして、あなたにも、身に覚えがあるのでは?

実は、お金が貯められるかどうかは「努力」や「才能」では決まりません。大切なのは、「お金を貯められる環境」をつくることです。

そこで今回は、数ある論文や調査結果をもとに、「お金を貯めやすい環境づくり」のやり方を、ご紹介します。

変えるべきことその1:クレジットカードを使わない

「クレジットカードを使う人ほどお金を貯められない」というのは、多数の団体の調査結果によって実証されています。これらの調査結果によると、「クレジットカードを使って、たくさん買い物をしている人ほど、貯金が無い割合が高かった」のだとか。

たしかに、クレジットカードには、言わずもがなの魅力があります。イチバンの魅力は、「お金を持っていなくても、買い物できる」という点です。

クレジットカードが現れる前は、「お金を貯めたから、買い物をする」というのが当たり前でしたが、今では、そういった習慣が薄れてきてしまっているのです。

また、精神科医のデビッド・クルーガー博士の研究によると、クレジットカードを使うことで、支出が23%増えるのだとか。それに加えて、持っているクレジットカードの枚数が増えるほど無駄遣いが増える可能性が上がります。

武庫川女子大学の研究によると、米国学生ローン大手の調査で、クレジットカードの所有枚数が多いほど、負債額が増えるということが分かっています。

つまり、何を言いたいのかというと、「クレジットカードをたくさん使う人ほどお金を貯められない」「クレジットカードをたくさん持っている人ほど借金が多い」ということです。

こういった点を踏まえても、安易にクレジットカードを使うことは、得策とは言えないでしょう(カードで儲かっているのは、僕らではなく、カード会社や小売業者だけですからね)。

変えるべきことその2:口座を1つにまとめる

社会人は忙しいですから、お金の管理にかけられる時間も限られています。「家計簿をつけたほうがよい」なんてことはみんなが分かっています。それでも「家計簿をつける時間がない」というのが、イチバンの悩みなんですよね。

だから、「お金の管理の手間を少しでも減らす」ということが大切です。Himanshu氏らの研究によると、「お金をたくさんの口座に分けて管理するよりも、1つにまとめてしまったほうが貯金しやすい」ということが分かっています。

「貯金用の口座」だとか、「生活費用の口座」だとか、そういったところに分けてお金を管理すべきだ!みたいな話もありますが、あれはあくまで、時間に余裕があって、お金を管理できることが前提のものです。

忙しい人にとっては、「1つにまとめて管理」したほうがよいという研究結果もあります。だから、むやみに口座を分けるのではなく、「お金を管理しやすい環境をつくる」ってことが大切だと思いますよ。

変えるべきことその3:固定費を見直す

最後が、「余計な出費を減らす」ことです。

とくに、僕らが節約すべきなのは、ちょっとした食費だとか交際費よりも、「電気代」「通信費」「保険料」といった固定費です。こういった支出は、えてしてムダが多い分野でもありますから、まずはこれらの支出に目を向けるのがよいでしょう。

たとえば、ある調査によると、日本の家庭の8割が、生命保険に加入しているのだとか。保険はそもそも、「保険会社が儲かるように設計されているサービス」です。だから、まずは要らないサービスを解約しましょう。

「要らない保険を解約する」「要らない保証サービスには加入しない」といった点を検討し、出費を抑えるだけでも、家計はだいぶラクになると思いますよ。

電力代においては、電力自由化がはじまったにも関わらず、電力契約を切り替えている世帯は16%に留まっています。ようするに、「節約できるはずなのに、面倒だから切り替えていない」ってことですね。なんてもったいない!

それに、「通信費」については、最近は「格安SIM」などのサービスが充実しています。それこそ、MVNO(仮想移動体通信事業者)などのサービスも充実してきました。

しかし、2018年3月時点で、MVNOの利用率は、全体の10.6%にとどまっています。つまり、通信費も、「大半の人がムダにお金を払っている」ということです。

案外、固定費を見直してみると、ちょっと変えるだけで、むっちゃオトクなことがよくあります。よって、本気で貯金をしたい方は、まずは「固定費」を見直すのがよいと思いますよ。

まとめ:貯金の「基本」ばかり

「自分は努力できないから」「自分には才能がないから」と諦めていた、そこのあなた。努力や才能は、重要ではありません。大切なのは、環境づくりです。だから諦めないで下さい。

繰り返しますが、お金を貯められるかどうかは、「努力」や「才能」では決まりません。どうせ節約するなら、「ラクして」節約したいものです。ツライ節約は、長くは続けられません。

大切なのは、「ラクしてお金を貯められる環境づくり」です。クレジットカードや口座管理、固定費の見直しなど、今回お話ししたのは、貯金の「基本」ばかりです。

こういった基本をきちんと見直すことで、ほとんど負担なく、圧倒的な成果につなげることができます。この記事をきっかけに、少しでもたくさん、貯金できるようになってくれたら嬉しく思います。

●参考文献:驚くほど貯金できる「環境づくり」3つ(https://allabout.co.jp/gm/gc/476551/)記事下段に記載
(文:中原 良太(マネーガイド))