telling,の人気連載「“親指レディ”OLサム子」の作者の真船佳奈さん。「29歳になって仕事や結婚やら色々死ぬほど自由が利かなくなってきたので、NYで自由の女神目指します」という宣言とともに送られてきたこの企画。エピソード1〈前編〉では「今回の旅行はなんとしてでも、ビジネスクラス」とこだわるその理由を、マンガにしてくれました。
●#1 「ビジネスクラス」というドーピング剤を使う〈前編〉
長々と漫画を描いてしまったけれど、私が言いたいことはたったひとつ。「ビジネスクラスかっこいい~、めちゃくちゃのってみたい~CAに優しくされたい~」。(ひとつじゃねえ)
つまり今回のぼっち旅の目的は「ビジネスクラスに乗る」ことだけ。だから行き先はどこでもよかったし、なんならビジネスクラスに乗る旅費を原稿料として稼ぐためにこの企画を出した。(編集者さんごめんなさい)貯金もないくせに、「CAに優しくされるためだけに飛行機にのってその後長々と原稿を書く」というどMの変態みたいなことをしたので、その方法をつらつらと書いていきたい。

ビジネスクラスに乗る方法 まふね的3選

ビジネスクラスに乗る方法は、3つある。
①会社にお金を出してもらう
一部の人にとっては現実的な話かもしれない。でもこの不景気のご時世、私と同世代の人間がビジネスクラスに乗って出張なんてあんまり聞いたことがない。海外ロケに行くディレクターはいつも死にそうに狭い3人がけ椅子に座りながら尻の痛みに耐えつつ編集作業をしている。不景気が終わって自分が偉くなるのを待っている間に、飛行機に乗って旅に出ようという年齢ではなくなるかもしれないので、なし。
②マイルをためて乗る
私用の旅行であれば、今やこれがス一番スタンダードなパターンかもしれない。実際私もビジネスクラスに乗ってみたい一心で、「マイルカードバカ」になりかけていた。
飲み会の店も常にマイルがたまりやすい店を指定。
しれっとカードで全員分を支払い、マイルを貯める。さらにポイントサイトで微細なマイルをいただくために、謎の投資説明会に何度も足を運ぶ。最終的に「マイル妖怪」と呼ばれているほど必死にマイルをためていたが、こんなマイル妖怪が全国にごまんといるため、純粋にマイルだけで乗る特典航空券の競争倍率はかなり高い。そんなわけで、今回はこちらのパターンもなし。
③自分で金を出す
ニューヨーク行き直行便のビジネスクラスは、エコノミークラスの約3倍程度。エコノミーが20万前後であるのに対し、ビジネスクラスは60万円前後する。高い。高すぎる。しかし、乗り継ぎ便にして日系航空会社を避けることにより、値段は格段に下がる。私の利用したビジネスクラスは、韓国系のエアライン。なんと料金は、サーチャージ込みで30万円!
日系直行便に比べ、半額。エコノミークラスの1.5倍で乗れるのだ!
ちなみにこの30万円という値段は、日系直航便の「プレミアムエコノミー」と同じ金額。ちょっとくらい乗り継ぎがあっても、なかなか乗れないビジネスに乗れるのなら待ってやろうじゃないの。
借金してでも、やってやろうじゃないの。というわけで、乗り継ぎ時間とかもあまり確認せぬまま、タンターンとエンターボタンを押してネット決済。
金のことは後で考えよう。

ビジネスラウンジ、酒池肉林とはこのことか

ここからは、普段からビジネスクラスを利用している人には新鮮な内容は何一つないことだけお断りしておく。ビジネスクラスを利用すると、提携航空会社のラウンジが使用できる。今回はANAさんのビジネスラウンジを使用できることになった。
中に入ると、酒と食べ物が死ぬほどある。酒池肉林とはこのことか。
この後機内食を食べる人とは思えない量の飯をかっ込む。
ANA自慢のチキンカレーは、食堂のおばちゃんみたいな人に頼んで作ってもらうシステムだ。
ビールとカレーと寿司という「ダイエット中はNG」と言われる禁断の食べ合わせを全て行う。
しっかりと休んだ後は、いよいよ機内へ。
こちらがビジネスクラスの座席。もう、「どんな体重でも受け止めてやるから俺に抱かれろ」と言っているくらいの頼り甲斐を感じる。最高か。
もちろんフルフラット。エコノミーでは「バイオテロ」と呼ばれるほど足が臭い為隣の人に気を使って伸ばせなかった足も、ゆったりと。
よかったね、私の足とバクテリア。
イヤホンも安物のヘッドギアみたいなカッスカスの耳が痛くなるものではなく、なんかどっしりとしたやつ。ロクシタンのアメニティも完備。
スリッパも生春巻きの皮みたいなやつじゃないよ!
お席について早速ウェルカムドリンクのサービス。
「割っても良いんだよ」と言わんばかりのガラスのコップに入った、果実入りのオレンジジュース。最高かよ。
自撮りばっかしてても一人席なので誰も何も気づかない。
離陸したらその後、夕食のサーブが始まります。機内食ってアルミの容器に入ったレトルト食品で「生きるために食う」というイメージだったけれど、ビジネスクラスは違う!!!
韓国系の航空会社だったのでビビンバにしました。
はい、最高でーーーーーーーす!
綺麗なCAにお酒を注いでもらい、お腹いっぱい本場の韓国料理を堪能しているうちに、あっという間に空港は経由地の仁川へ。
天国はすぐ、一瞬で終わりを告げた。
え、何が起きたの? というわけで#1
「ビジネスクラス」というドーピング剤を使う
〈後編〉に続きます。