案外忘れがちなのが「国民年金保険料控除証明ハガキ」です。会社員でも国民年金保険料の控除が可能なのです。

年末調整の時期ですが……

もうすぐ師走。会社員の皆さんの元に年末の恒例行事である「年末調整」関係書類が届いている頃ではないかと思います。既に添付書類を揃え、会社に提出した人もいらっしゃるかもしれません。税金の還付を楽しみにしている人も少なくないと思います。

さて、年末調整の際に添付する書類として真っ先に浮かぶのが、生命保険の控除証明ハガキではないでしょうか?

日本人世帯の約9割は何らかの生命保険に加入しているといわれており、多くの人が生命保険の控除証明書(ハガキ)を添付していることと思います。生命保険料控除は「一般」「年金」「介護医療」を合わせて最高12万円の所得控除を受けることが可能です(平成23年12月31日以前に締結した保険契約については「一般」と「年金」と合わせて最高10万円)。

この生命保険料控除は定番中の定番なので、これを忘れる人は少ないと思いますが、案外忘れがちなのが「国民年金保険料」の控除です。

会社員でも国民年金保険料控除は可能

会社員は厚生年金に加入しているため、基本的に国民年金の保険料を支払うことはありません。

しかし、

・今年中に学生、無職、自営業の時期を経て新たに就職した人(就職する前に国民年金保険料を納付すべき立場にあり、保険料の納付をしている場合)

・子どもや配偶者の国民年金保険料を代わりに支払った人(配偶者や親族の国民年金保険料を代わりに納付した場合も控除が受けられる)

・過去の滞納期間や免除期間について保険料を納付した人(今年支払った保険料が控除の対象となる)

こういった人は、会社員であっても年末調整で控除が可能です。

払った額は全額所得控除となる

国民年金の保険料は「社会保険料控除」の対象となり、支払った額「全額」が所得控除となります。

基本的に所得控除が多ければ多いほど所得が減り、その結果納める税金が減り、還付が増えることになります。

上限が10万円(「一般」「年金」それぞれ最高5万円が上限(平成24年1月1日以降の保険契約は「一般」「介護医療」「年金」それぞれ最高4万円))である生命保険料控除よりも有利な取り扱いですので、忘れずに控除を受けたいですね。

上限が12万円(「一般」「年金」「介護医療」それぞれ最高4万円が上限(平成23年12月31日以降の保険契約は「一般」「年金」それぞれ最高5万円))である生命保険料控除よりも有利な取り扱いですので、忘れずに控除を受けたいですね。

今年、国民年金や国民年金基金を支払った人については、11月中に控除証明ハガキ「社会保険料(国民年金保険料)控除証明書」が届くと思います。年末調整の控除にはこの証明書が必要となります。

仮に紛失してしまった場合も再発行が可能です。


今から保険料を納付しても控除対象に

「社会保険料控除」の対象となるのは、今年中に支払った保険料ですから、これから年末までに支払う保険料も控除対象となります。

過去の滞納や免除期間がある人は、年末までに支払うことで所得控除を受けることが可能です。会社が設定している提出期限に間に合わなかった場合は、確定申告することで還付を受けられる可能性があります。

10月以降に支払った保険料の証明書は、翌年1月末に発送されます。

ただし、注意点もあります。 保険料を払ったからといって、必ず還付を受けられるとは限りません。ご自身の所得金額以上に控除されることはありません。したがって、所得や他の控除額によっては、追加で支払っても還付額が変わらないこともあり得ます。

詳しくは税務署や税理士、会社の年末調整担当者に確認してみてください
(文:和田 雅彦(マネーガイド))