老後の生活費の柱になる公的年金はいくらもらえるのか、気にしている30代~50代の人は多いのでは? 年金額は毎年、微妙に変わります。今後はさらなる減額の方向に力学が働くと思われます。そのつもりで、老後のマネープランを実行しましょう
老後の生活費の柱になる公的年金はいくらもらえるのか、気にしている30代~50代の人は多いのでは? 年金額は物価と賃金の変動(上下)に応じて改定されるルールです。従って、年金額は、毎年、微妙に変わります。年金改正のルールは社会情勢を見ながら見直され、今後はさらなる減額の方向に力学が働くと思われます。そのつもりで、老後のマネープランを実行しましょう。

国民年金は月6万4941円、厚生年金は夫婦で月22万1277円!

毎年1月末ごろに、前年の物価指数の公表を受け、次の年度の年金額が発表されます。平成30年度の年金額は、国民年金(老齢基礎年金・満額)は6万4941円/月、厚生年金(夫婦2人分の老齢基礎年金を含む標準的な額)は22万1277円/月です。国民年金は1人分なので、本人1人なら6万4941円、夫婦2人なら12万9882円です。国民年金保険料を納めた期間が40年より短ければ、その分、年金額は少なくなります。本人または夫婦の両方もしくはどちらかに会社員だった期間があれば、厚生年金が加算されます。

厚生年金は、夫がボーナスを含む月額換算の平均的収入は42万8000円で40年間働き、妻はその間ずっと専業主婦だったケースの金額です。ですから、平均的収入が低ければ少なく、高ければ多くなります。また、妻が会社員だった期間があれば、その分の厚生年金が加算されます。夫婦ともに40年間、会社員として働いていれば、2人分で30万円くらいになりそうです。

年金額は物価と賃金の変動に応じて見直される

この年金額はずっと同じではありません。年金額は物価や賃金の変動に応じて、毎年、改訂を行うルールだからです。平成30年度の年金額を決める際の参考指数は、物価変動率は+0.5%、名目手取り賃金変動率は▲0.4%です。このように、賃金がマイナス(つまり、給料は下がった)で、物価がプラスの場合は、現在の高齢世代に配慮し、年金額は前年度のまま据え置かれます。年金額は据え置かれても、物価が0.5%上がっているので、年金の価値は0.5%減ったということですね。

今回、据え置かれた分は、景気が回復したときに繰り越されます。これをキャリーオーバーといいます。景気がよくなって賃金も物価も上がったけれど、キャリーオーバー分を調整されて、年金額は増えない……どころか、減ったなんてことになるかもしれませんね。

老後のマネープランは悲観的に考えて実行しよう

少子高齢化で、年金保険料を納めて高齢世帯を支える現役世代は減っていきます。ですから、年金額が毎年増えていくような時代がくることは期待しない方がいいでしょう。ライフプランは「楽観的」より「悲観的」に考えた方が、後で困りにくいもの。今の年金額から20%減になると悲観的に考えて、老後のマネープランを立てて実行しましょう。