住宅ローンを組む時に、頭金はいくら位にしよう?返済期間は?どんな住宅設備にしようか?といろいろと悩むものです。多くの住宅ローン借入前と借入れ後のケースを見てきましたが、最初にどのように選択するかで「その後」ずいぶんと家計に差が出るようです。その一部をお伝えしましょう。

住宅ローンを組んでも「貯まる人」と「貯まらない人」の違い

住宅ローンを組んだとしても貯蓄ができるように家計を健全に保つのは、家族を守るためにもとても大切なことです。しっかり考えているつもりでもその後、「貯まる人」と「貯まらない人」に分かれるのはなぜでしょう。

住宅ローン借入前とその後の家計を多く見てきましたが、頭金や返済期間の仕方でその後、家計がどう変化するのか?が、ずいぶん違うなぁと感じています。

今回は住宅ローン借入時の選択の仕方によって、その後、貯まる家計になるのか、貯まらない家計になるのか、その考え方ひとつで違ってくるケースをお伝えします。

頭金をできるだけ入れる?入れない?

「手元のお金が減るのは不安だから、フルローンで住宅ローンを組んで貯蓄は手元に置いて、そのうち繰上げ返済をしよう!」というケースの方の「その後」をずいぶん見てきましたが、多くの家庭が繰上げ返済どころか、手元の貯蓄がだんだんと目減りする傾向にあります。

その理由は、家計の支出は子どもの成長と共に年々増えることや、20~50代はとても消費意欲が高く年齢が上がるにつれ交際費は増加し身に着けるものも高額になってくるからです。しかし、年齢に比例して収入が伸びる時代ではありませんので、よっぽど意思が強く金銭感覚の良い人以外は収入と支出のバランスがくずれ、繰上げ返済どころか、貯蓄すらできない状態になってしまいます。

しかし、頭金をできるだけ多く入れる人というのは、一旦貯蓄が激しく目減りするため、「これ以上貯蓄を減らしてはいけない! むしろしっかり貯蓄を増やしていかなければ!」としっかり家計と向き合い、先取り貯蓄をしたうえで、やりくりするようになるので、結果的にしっかりお金も貯まり、そもそも借入れ額が少ないので返済の負担も軽くなり貯蓄もしやすくなります。

住宅ローンの返済期間、できるだけ短く組む?長く組む?

返済期間も「35年」が当たり前と思っている人が多いですね。巷でも「住宅ローンが完済するのは70代……」なんてセリフを良く耳にしますが、定年退職後に住宅ローンがまだ残っている人の老後はとても辛そうです。再雇用で頑張ったとしても、現役の時の給料ではありません。またいつまで働けるかもわかりません。

そんな不安定な収入に対して、毎月きっちりと返済期日はやってきます。退職金が数千万出る方なら良いですが、そうでない場合は、できるだけ定年までに完済できるような資金計画にしましょう。

また、返済期間を35年にして毎月の返済額を先に抑えて、生活に「ゆとり」を持たせすぎても問題です。人は生活のレベルを上げるのは簡単ですが、落とすのは容易ではありません。従って返済期間を長くして毎月の返済を軽くし、貯蓄をしようとしてもなかなか思ったようにいかないのが多くの人の「その後」です。

返済期間は基本的に定年まで設定しましょう。返済期間を短くして毎月の返済が少々きつくなっても、人は慣れます。限られたお金でなんとかやりくりしようと、色んな知恵がつき、キチンと返済していくものです。想像してみてください。

もし会社から給料が1割減ると言われたら転職しますか?多くの方が減った1割をなんとかやりくりして過ごしていくことでしょう。返済期間を短くして、最悪、返済が難しくなった場合は金融機関に相談して伸ばすことは可能ですから、少し肩の荷が重い位にしておく方が後々困りません。

省エネ性の高い住宅設備や家電を取り入れる?古い家電を使い続ける?

住宅ローンの返済をしながら生活を始めると、当然ながらもう少し家計が楽にならないかしら?と考えるようになります。水道光熱費といった毎月のコストが多いことで良いことは何にもありません。当然少ないほうがいいに決まっています。

どんなに素敵なアンティークな照明や家電を買ったとしても、持つこと・使うことで、毎月の生活費が高額になり返済が脅かされるようでは趣味の範囲を超えてしまっています。

もったいないからと、以前の家で使っていた古いエアコンや10年超の冷蔵庫は逆に毎月の水道光熱費の上昇につながりますので、家のサイズに合った省エネ性の高いものに替えていきましょう。毎年住宅設備や家電の精度は上がっています。買う時は少々高くても、毎月の水道光熱費が安くなるような省エネ製品は毎月の家計を軽くしてくれます。このような設備投資は大いに歓迎すべきです。

今回は3つの選択を取り上げてみましたが、借入総額をできるだけ少なくすることがまずは大切です。ほとんどの方が予算オーバーになり、素敵なマイホームを目前に「これ位大丈夫」と考え、肩の荷の重い金額を借入れしていきます。

しかし、数年後、「この設備は要らなかった……」「ここに見栄を張る位なら、1万円でも2万円でも毎月のローンが少ないほうが良かった……」ということを言われます。

家は3回建てないと満足するものにはならないといいますが、金額に関しても同じだと思います。
(文:二宮 清子(マネーガイド))