不要なものを捨てた結果、さいたま市内に購入した約60㎡の自宅にはテレビすらない
 人生100年時代の到来とともに飛び交う「老後資金は3000万円説」。その数字を耳にするたび「絶対無理!」と頭を抱える人も少なくないはず。だが、投資で大儲けしたわけでもなく、親が富裕層なわけでもなく、普通の年収ですでに3000万円を貯蓄した猛者たちがいる。彼らはどのようにして老後の安心を手に入れたのか!?

◆浪費癖が失業を経て激変。交際費なしで月30万円貯金

「収入があるんだから、使わなければ増えていくだけ」と語るのは、防災関連の営業スタッフとして働く鈴木義之さん(仮名・50歳)。節約を中心に40歳から約10年で3000万円を貯めたツワモノだが、30代後半までは浪費家だったそう。

「車が趣味で、10台くらい乗り換えました。ブランドものも好きで、カードローンで買ってボーナスで返済するような生活でしたね。30歳くらいから5~6年間パチンコにもハマってしまい、貯金なんてまったくありませんでしたよ」

 浪費家から一転、ミニマル生活を送るようになったきっかけは38歳での失業だ。その期間は2年に及び、最初は生活苦のためにやむなく節約をスタート。40歳で再就職後もミニマル生活は継続し、現在は月35万円ほどの手取りから30万円を貯金している。

「食費はふるさと納税の返礼品を利用して、たまにスーパーの閉店セールで買うのみ。職場の飲み会も年に1、2度参加するだけで、仲間内での飲み会は基本的に断ります。家賃も1000万円弱のマンションを再就職後すぐに購入して、40代前半で完済しました」

 水道光熱費、消耗品なども「使わない」「買わない」という暮らしぶりを徹底している。

「光熱費はすべて合わせて月4000円。冬は暖房は一切使わずに着込むことで寒さをしのいでいます。消耗品もボディソープで頭を洗うなど工夫していますよ。営業職なのでワイシャツやスーツを買うこともありますが、私服はほぼ買いません。ワイシャツは1000円以下、スーツは1万円弱のものと決めています」

 ミニマル生活をいつまで続けるのか、鈴木さんは老後に向けて明確なビジョンを持っているそう。

「おじいさんになってから警備員やマンションの管理人などをどうしてもやりたくない。僕の目標は60歳までに1億円貯めること。そこからはノマドライフをして、平均寿命の80歳くらいまで生きられたら十分です」

 節約のため保険に一切入っていない鈴木さんが、ライフプランをまっとうできることを祈りたい。

◆<鈴木さんの家計簿>
月収(手取り・賞与なし) 35万円
家賃 0万円
食費 2万円
水道光熱費 4000円
通信費(株主優待) 0円
交際費 0円
雑費 1000円

貯金 30万円
投資 2万5000円

取材・文/週刊SPA!編集部
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