2019年7月4日木曜日

ビジネスで「単刀直入」はありかなしか? 相手の興味を左右する会話の組み立て方







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 初対面の人とはなかなか話の口火をきれないと思っている人は多い。話し上手か否かは、その人が持って生まれた性格によるので、今さらどうにもならないと諦めている人もいるだろう。これから何とかしようと思っても、長い年月がかかったり、とてつもない苦労をしなければならないと感じてしまうのだ。

◆いきなり本論に入るのは唐突

 しかし、諦める必要はない。その人と話をすることに至った背景を話せばいいのだ。

「先日お約束させていただきました」

「○○さんからのご紹介で初めてお目にかかります」

 言われてみれば、よく使っているフレーズだ。世間話や冗談を言うよりも、簡単で、どんな場面でも使える。修得にも長い時間はかからない。やろうと思ったら、だれでもできることだ。このフレーズを使ってみると、各段に話の口火が切りやすくなったと実感することだろう。

 これができるようになると、次に「話すことに至った背景のあとは何を話せばよいのだろうか」という疑問がわきあがる。「いきなり本論に入るのは唐突だ」「話がつながりにくい」「聞き手が引いてしまう」と感じてしまうのだ。では、話をすることに至った背景の次は、いったい何を話せばよいのだろうか?

◆出会いの背景から、自己紹介へ

 筆者が20年来、ビジネススキルを向上させるプログラムを実施してきて、演習参加者が最も引き込まれやすいと感じる方法が、背景の次に自己紹介、話の目的、所要時間を話すことだ。

 自己紹介は、所属会社や氏名を伝えたり、今の状況や気持ちを伝えたりすることだ。

「先月お目にかかりました(背景)、○○会社の山口です(自己紹介)」

「たいへんご無沙汰しています(背景)、○○会社の山口です(自己紹介)」

 というようになる。

 演習の参加者のなかには、「相手が自分をよく知っている人でも、自己紹介をするべきだろうか」という質問をしてきた人がいる。自己紹介とは、何も所属会社や氏名を言うということだけではない。今の自分の状況や気持ちを伝えることも立派な自己紹介だ。むしろ、名乗るだけの自己紹介よりも、状況や気持ちを伝えることで、聞き手を引きつける度合は高まる。

「昨日は遅くまでおつき合いいただきありがとうございました(背景)。ちょっと寝不足ですが、張り切っています(自己紹介)」

「先週に引き続いて、定例ミーティングを開始します(背景)。初めての進行役で緊張していますが、よろしくお願いします(自己紹介)」

 こういったフレーズになり、より相手の興味を集めやすくなるのだ。

◆目的と所要時間を伝えて安心させる

 自己紹介のあとは、話の目的と所要時間だ。

「今年度の方針について検討したいと思います(目的)。時間は一時間です(所要時間)」

「新商品のご紹介をさせていただきたいと思います(目的)。30分お時間をいただいていますので、よろしくお願いします(所要時間)」

 あらかじめ会議の案内をしていたり、アポイントメントをとっているのだから、聞き手はわかっているはずなので、あらためて目的や所要時間を言うのは、くどいのではないかと思う人もいるかもしれない。

 しかし、目的や所要時間をあらためて言われることで、聞き手は、「たしかにそうだったな」「そういう目的だったな」「この話し手は所要時間をわきまえてくれているんだな」というように感じて、安心してくれることが多い。安心してくれるので、関心度、集中度を保ったまま、話の続きに入れるということになる。

「話は結論が先」ということを聞いたことのある人も多いに違いない。しかし、いきなり結論から話し始めたら、「どういう背景で話に来たのかな」「いったいどういう人だったかな」「目的は事前に連絡してくれていたけれども何だったかな」「このあと予定が入っているんだが、所要時間はどのくらいなのか、話し手はわきまえているのかな」というように不安に思ったまま話が進んでしまうので、聞き手の関心度、集中度は高まらないのだ。

◆順序立てて会話をつなげていく

質問:背景の次に、何を話したらよいかわからない

 既に会ったことのある人でも、初対面の人でも、会うことになった背景を話せばよいということはわかりましたが、そのあと、どのように話をつなげていったらよいか、わかりません。

 背景を話したら、本論を話せばよいのでしょうか。何だか、唐突な感じがします。

回答:自己紹介、目的、所要時間を話す

 「先週アポイントメントをとらせていただきました、○○会社の山口です」「突然 お伺いいたしましたが、○○会社の山口です」というように、会うことになった背景のあと、自己紹介につなげると、話がスムーズです。

 そして、「本日は、新商品のご説明にお伺いしました。30分、お時間をいただいていますので、ご説明させていただければ幸いです」「ご相談ごとがあってお伺いしました。10分ほどお時間をいただいてよろしいでしょうか」というように、目的と所要時間を伝えます

【山口博[連載コラム・分解スキル・反復演習が人生を変える]第136回】

【山口 博(やまぐち・ひろし)】グローバルトレーニングトレーナー。モチベーションファクター株式会社代表取締役。国内外企業の人材開発・人事部長歴任後、PwC/KPMGコンサルティング各ディレクターを経て、現職。近著に『チームを動かすファシリテーションのドリル』(扶桑社、2016年3月)、『クライアントを惹き付けるモチベーションファクター・トレーニング』(きんざい、2017年8月)がある



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