教育資金はどう貯める?目安とタイプ別の積立の方法
性格やタイプによって教育資金の準備法も違う!
子どもが誕生したらすぐにスタートし、細く長く、先手必勝で準備するのが教育資金のセオリー。あなたの家ではどんな金融商品で貯めていますか? 実は、性格やタイプによって教育資金の準備法も違ってきます。教育資金の目標額と貯める時期
教育資金の準備は、公立中心の進路の場合、最も負担が重くなる「高校卒業後の大学時代の学費」をどう補うかで考えます。大学時代の学費も全額準備できれば、それにこしたことはありませんが、そうでなくても、奨学金やその時の家計から補うことでなんとか回るくらいの貯蓄はしておきたいものです。貯蓄目標額や、あるいは理想的な貯め終える時期は、進路等によっても異なります。ここでは大まかな目安を整理しておきましょう。
高校までは公立で大学まで通わせたいと希望しているケースや、小中は公立で高校は私立、大学まで行かせたいケース、中学から私立という、3つのケースに大きく分けました。
それぞれの目安額と貯める時期の目安は次のように考え、さらに個別の例で調整して考えるといいでしょう。
▼高校まで公立で、大学まで行かせたい目安額:子ども1人につき、300万~500万円
*大学が理系・医療系の場合や下宿になる可能性がある場合は500万円以上の準備を。
*大学院や留学も考えているなら、さらに多めの貯蓄を。
貯める時期:中学卒業までにメドを付ける
▼中学まで公立で、大学まで行かせたい目安額:子ども1人につき、500万~700万円
*大学が理系・医療系の場合や下宿になる可能性がある場合は700万円以上準備を。
*大学院や留学も考えているならさらに多めの貯蓄を。
貯める時期:中学卒業までにメドを付ける
▼中学から私立で、大学まで行かせたい(1)子ども1人につき、年150万円の教育資金をフローから出し続ける余力アリ
目安額:収入が今後10年超安定しているなら、0円でも可
(できれば万一に備え、多少でも貯蓄を)
*大学が理系・医療系の場合や下宿になる可能性がある場合は500万円以上準備を。
*大学院や留学も考えているならさらに多めの貯蓄を。
貯める時期:小学校4年まで
(2)子ども1人につき、年150万円必要となる教育資金のうち「半分程度」をフローから出し続けられる
目安額:子ども1人につき、750万円(以上)
*大学が理系・医療系の場合や下宿になる可能性がある場合は750万円以上の準備を。
*大学院や留学も考えているならさらに多めの貯蓄を。
貯める時期:小学校4年まで
▼貯める時期については……貯める時期については、中学まで公立の場合は中学までは貯められる可能性もあり、児童手当をもらっている人の場合はそれを貯めることができるため、大まかに中学卒業までとしています。
中学から私立を希望する場合は、中学受験対策のための塾に通うことになりますが、その費用が小学校5・6年では年間約100万円程度かかるため、貯める時期は小学校4年生を目安としました。
教育資金は、いつから貯め始める?
「教育資金を貯め始める時期は、いつごろがいいでしょうか?」そんな質問を受けることがあります。教育資金準備のスタートは、早ければ早い方が「ラク」です。「細く長く」の原則通り、子どもが産まれたらすぐに始めるといいでしょう。もし、収入が多くて、私立や大学の時期でも痛くもかゆくもないという方はいいですが、そうではないのにこれまで教育資金の準備を何もしてこなかった、という人は、気づいた時点で始めることです。児童手当をもらっているなら、その分は最低でも貯めて、できればプラスして貯めるようにしましょう。
性格タイプに合った積立を
さて、本題でもある教育資金の貯め方ということですが、何度か繰り返しているように、教育資金は、産まれたらすぐに貯め始め、細く長くコツコツと貯めることが最もラクな方法、つまり「王道」です。さらに、「サボらない」「使い込まない」も重要なポイントとなります。コツコツ貯めるには「積立」が一番ですが、教育資金の積立法や金融商品は、何よりママやパパの性格に合わせて選ぶべきものです。「誰かに勧められたから」ではなく、「自分が貯めやすいと感じたから」で選ぶべきです。誰かにとっていいと感じる方法が、そのまま別の人にぴったり当てはまるというものではありません。
性格タイプとそれに合った積立法を整理してみますので、ぜひ、あなたに合った方法を見つけてくださいね!
あなたはどのタイプ?
まずは、次のどのタイプに「最も」当てはまるか、チェックしてみてください。「確実に貯められる」ことと共に、「使い込まない」ことも大事です。ママだけでなくパパもやってみてくださいね。□1.給料から天引きされるタイプなら貯められる
□2.口座振替なら確実に貯められる
□3.「保険料」という形であれば頑張って貯められる
□4.子ども名義の口座に移せば貯められて使い込まない
□5.自分で有利なものを見つけて移し替えながら貯めたい
□6.一部はリスクを取って運用したい(インフレリスクに備えたい)
▼1.給料から天引きされるタイプなら貯められる●このタイプのあなたに向く商品⇒一般財形・住宅財形(職場)
職場に制度があれば利用できます。給与からの天引きで貯められるので、確実に貯められます。申込や解約の時期も限られ、使い込みにくい点でも◎。一般財形には特にメリットがなく、オススメは実は、住宅財形です。
住宅財形は、住宅関連でお金を引き出すと利息にかかる税金が非課税になりますが、それ以外の目的だと、原則、課税されます。ただし、積立から5年経過した分は住宅以外の目的で引き出しても非課税になるのです。住宅財形を上手に使う手もあります。ただし、住宅用の積立と混同しそうなら、一般財形を使いましょう。
▼2.口座振替なら確実に貯められる●このタイプのあなたに向く商品⇒自動積立定期
毎月一定の日に、一定額を定期預金・定額貯金に振替えることで積立を行います。給与が振込まれる口座からの振替を設定し、しかも、給与振込日の翌日などに振替日を設定すれば、確実に貯められます。職場に財形制度がない人や、自営業者などに向きます。総合口座になっていると、生活費が不足した時に赤残にできるため、強い意志で回避できるかどうかじっくり考えてみましょう。
▼3.「保険料」という形であれば頑張って貯められる●このタイプのあなたに向く商品⇒こども保険(学資保険)、低解約返戻金型終身保険
「保険料」という形で、毎月一定の日に口座から引き落とされる形で、実質的に教育資金の積立を行うもの。教育資金を明確な目的として契約するため、解約などは考えずに「頑張って支払わなくては」という意識が働きます。
教育資金として利用できる商品としては、こども保険(学資保険)のほか、低解約返戻金型の終身保険もあります。
ただし、2017年4月より貯蓄型商品が全体的に値上げされましたので、商品によっては元本割れもあったり、あるいは、市中金利が上がれば、長期固定金利の保険は最終的に有利といえないことが起きてくることも。契約の前に内容をチェックして、納得した上で利用しましょう。
いずれにしても、保険は途中解約は不利になるだけでなく、流動性があまりないので、保険オンリーで貯めるのではなく、積立と2本立てにするのが無難でしょう。
▼4.子ども名義の口座に移せば貯められて使い込まない ●このタイプのあなたに向く商品⇒定期預金、定期積金(信用金庫)、積立貯金(JAバンクやゆうちょ銀行)
子ども名義の口座を作って、毎月、積立分を移し替えるのも1つの方法です。口座名義を子どもの名前にすることで、心理的に使い込みをしにくくなります。お金の管理に自信がある人に向く方法と言えます。
児童手当にプラスして積立をしたり、あるいは親戚からいただいたお祝いやお年玉なども不定期に入金することもできます。金融商品としては、定期預金が主な候補になります。忙しくてうっかり毎月の口座の移し替えを忘れてしまったり、それをきっかけに継続ができなくなる可能性がある人は、自動振替等の方法がいいでしょう。
定期預金のほかには、自分で期日にATMで入金したり、中には集金をしてもらうことができる定期積金や積立貯金で貯める方法も。特に信用金庫などで集金をしてくれるものは、子どもが小さいなどで自宅にいることが多い人に向きます。
▼5.自分で有利なものを見つけて移し替えながら貯めたい ●このタイプのあなたに向く商品⇒ネット定期、個人向け国債、宝くじ付き定期
自分で有利な商品を見つけて預けたいと考えるママ・パパの場合、とりあえずまとまった資金をより有利なものに預け替えることができます。日ごろから金融商品や金利情報などにアンテナを張っている人には、財形貯蓄や自動振替定期では物足りないかもあるかもしれません。
ボーナスシーズンなど金利キャンペーンが行われる時期に、より有利な定期預金に預けるのであれば、ネット定期などが主な候補となります。個人向け国債なども候補にしながら、より有利な商品を選択するといいでしょう。
金利だけでなく宝くじが付くなどお楽しみがあったほうがいいという場合は「宝くじ付き定期」なども候補になります。100万円以上などでないと該当しなかったり、宝くじが付く分金利が下がりますが、「もしも宝くじが当たったら」というわくわく感があります。
▼6.一部はリスクを取って運用したい(インフレリスクに備えたい)●このタイプのあなたに向く商品⇒つみたてNISA、外貨建て学資保険
教育資金の運用期間は十数年と長いため、インフレリスクを回避する目的で、一部に株式型投資信託など投資性の商品を組み込むのも1つの方法です。
ただし、運用によって目減りするリスクがあることも踏まえ、投資性の商品の割合は基本は1~3割程度に抑えましょう。
投資信託は、インデックスファンドなど値動きがわかりやすい商品や、国際バランス型などで長期保有できるような商品(できれば保有する間にかかる信託報酬などもあまり高くないもの)が候補となります。毎月決まった日に積立投資をすれば、投資タイミングの分散を図ることにもなります。
教育資金を作るためには、とにかく「サボらない」「使い込まない」
教育資金の積立は、繰り返しますが、「細く長くコツコツと」
「サボらない」
「使い込まない」
……がとにかく大事です。
子どもが生まれてすぐの時には貯められても、幼稚園や小学校で習い事や塾などに行き始めて家計が厳しくなると、継続が難しくなってストップしてしまう人もいます。どの方法なら長く続けられるか。自分自身とよく話し合ってくださいね。
住宅取得などの際にも、教育資金を流用せず、キープすることも大事なポイントです。繰上返済に回すのもNG! 子どもに「教育」という無形の財産を残すためにも、頑張って準備をしたいものですね。
(文:豊田 眞弓(マネーガイド))
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