基本は現金・クレカ…二人以上世帯の代金支払い方法の移り変わりをグラフ化してみる(最新)
人が日常生活を過ごしていく中で、欠かせないのが金銭消費行動。要はお金を払って物品やサービスを調達する行為だが、その際の対価支払いには現金だけでなくクレジットカードや電子マネーなど、多彩な手段を用いることができる。そして昨今では使い捨て型のプリペイドカード(マネーカードやギフトカードと呼ばれるもの)の普及にあわせ、「支払い」の概念もさらに多様化しつつある。今回は金融広報中央委員会の「知るぽると」が2018年12月12日に詳細統計表を発表した「家計の金融行動に関する世論調査」の最新版となる2018年分などのデータを基に、「二人以上世帯における、お金の決済手段とその移り変わり」について、状況の確認と精査をしていくことにする(【知るぽると:調査・アンケート公開ページ】)。
少額は現金、多額はクレジットカードも
今回は支払いの決済方法のうち、二人以上世帯にスポットライトを当てることにする。単身世帯との間では大きな違いが生じるため、別個で見ていく方が混乱を招かずに済む(差異が生じる理由は後述)。
まずは直近2018年における、金額別主要決済手段。4つの選択肢のうち「主なもの2つ」を答えてもらっているので、事実上「普段は何を使っているのか」に等しい結果となっている。
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答、金額別)(2018年)
二人以上世帯の場合、小口決済でも電子マネーなどが使われる状況はあまり無い。大体が現金支払いで、金額が大きくなるに連れ、クレジットカードの比率が高くなる。1万円を超えると現金以上の使用率にまで上昇する。
ここで、電子マネーの利用頻度の低さに首をかしげてしまいそうになる。スマートフォンの普及、対応店舗数の拡大に伴い、少額決済が便利な電子マネーはもっと普及しているはずではないか、と。
そこで質問用紙を確認すると、文言には「あなたのご家庭では、日常的支払い-」とある。つまり世帯構成員一人ひとりのプライベートでの支払いではなく「世帯全体の家計として」との認識で回答している可能性が高い。
クレジットカードを家族全体の買い物に使う事はあっても、基本的に個々の持ち物である(スマートフォンなどの携帯電話に組み込んでいる)電子マネーを「家庭全体向けの」買い物に使うことは多くない。電子マネーは「家計全体のお財布」では無く、「世帯構成員一人ひとりのお小遣い・お財布」的な要素が強い(例えば無断に自分のおサイフケータイで、妹の漫画雑誌や家族全員の夕食の材料を買われたら、怒らないはずが無い)。そのように考えれば、二人以上世帯で電子マネーの「日常的支払」比率が低いのも納得できる(必然的に家庭(世帯)の支払い=個人の支払いとなる単身世帯では、電子マネーの利用頻度も高い結果が出ている)。
それでも少しずつ増える電子マネー利用率
二人以上世帯では現金とクレジットカードが主流で、電子マネーなどはあまり使われない。これが基本となるが、時代の流れとともに少しずつ変化も見受けられる。
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「現金」回答率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「クレジットカード」回答率、支払金額別)
↑ 主な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答で「電子マネー・デビットカード」回答率、支払金額別)
データが公開されているのは2007年から2018年の12年分。その12年の間で現金の利用は各金額領域で漸減し(ただしごく少額の支払いにおいては現金回答率はあまり変わらない)、クレジットカードや電子マネーの利用が少しずつ増加しているのが分かる。特に電子マネーは2010年以降急増しており、「おサイフケータイ」普及が大きなトリガーとなったことは容易に想像できる。また、その時期においてもクレジットカードの少額決済での利用頻度は落ちておらず(むしろ増加中)、現金の比率が1000円超の金額では減少していることから、「おサイフケータイなどの電子マネーが現金の代わりに(少しずつながらも)使われ始めた」と考えれば道理は通る。
また電子マネーの動向を詳しく見ると、5000円以下ではますます利用率が高まるのに対し、それを超えると利用率の上昇度合いは半ば足踏み状態。少額決済の便利ツールとしての認識が強まり、クレジットカードとの使い分けが進んでいるようだ。
やや余談ではあるが。「日常生活における買い物」ではなく、公共料金などの定期的な支払では、口座振替が主流となっている。ただしポイント制の恩恵(利用金額次第でポイントが加算され、ポイントが貯まると色々なサービスを受けられる仕組み)を受けるためと考えられるが、クレジットカードの利用が漸増している。2017年ではついに、クレジットカードの利用率が現金利用率を上回る形となり、その状況は2018年も続いている。
↑ 公共料金などの定期的な資金決済手段(二人以上世帯、2つまでの複数回答)
現金比率に大きな変化が無いこと、口座振替の値が漸減していることから、現金支払いをする対象はほぼそのまま、そして口座振替の手口が一部クレジットカード支払に切り替えられているようだ。少しでも特典を得ようとする、賢い選択をしている動きが見受けられよう。
続きはモデルプレス
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