「広告収益は小遣いのようなもの」: 短尺コンテンツから収益化を狙うメディア企業たち
メディア企業にとって収益源の多様化は必須だ。近年、英国のメディア企業は放送製作費といった従来の収益源が圧迫されていることを受けて、商品販売やギフティング、コンテンツ配信などを活用して、短尺のコンテンツでバランスの取れた収益源を生み出している。
とはいえ10分以内に収まる短尺コンテンツの台所事情は厳しい。予算は1分間あたり1000ポンド(約14万円)から2000ポンド(約28万円)の間になることが多いが、問題は広告による収益化が難しい点にある。英国では、ここ数カ月間でFacebookやSnapchatといったプラットフォームが短尺の非独占コンテンツでも収益化できるようにしたことで、コンテンツの所有者は新たな収益源を手にすることとなった。
コンテンツ制作企業のバークロフト・メディア(Barcroft Media)の創設者でありCEOのサム・バークロフト氏は、短尺コンテンツについて次のように述べている。「当社オリジナルの短尺コンテンツについて、投資効果を最大限に確保しつつ、リスクを分散するやり方を見つける必要があった。将来を見据えている企業にとって、複数の収益源の確保は必須だ」。
理想的なシナリオとして、短尺コンテンツは長尺番組を作る前にコンセプトの試験運用として活用できる存在だ。うまくいけばオーディエンスを抱えるテレビ局にその長尺番組を販売でき、果ては世界配信による新たな収益源の確保まで狙えるというわけだ。実際、バークロフトの短尺番組「メイキング・マッド(Making Mad)」の成功を目の当たりにして、Netflix(ネットフリックス)は同社にインテリアデザイン番組の「拝見! こだわりの住空間(Amazing Interiors)」の制作を依頼した。
バークロフトはほかにも5つの収益源を確保している。たとえばブランデッドコンテンツや、BBCなどの放送局各社とのコンテンツ配信契約、FacebookやSnapchatなどプラットフォームからの広告収益などだ。バークロフトがスケーリングによって得ている利益は大きく、2月時点と比較してプラットフォームから得ている収益は、5倍にまで伸びた。今後も成長の余地は大きく、WARCは世界的なAVOD(広告付き動画配信)への支払額は現在の238億ドル(約2.6兆円)から2023年には倍の466億ドル(約5.2兆円)に達すると予測している。
「持続可能性の観点からすれば、非独占型の配信契約の方がはるかに良い。商業モデルとして、パブリッシャーとプラットフォームの双方にとって利益がある形態だ」と、バークロフト氏は指摘する。当然、十分な収益を得るには規模と視聴時間が重要になる。
コンテンツ制作スタジオのスピリットメディア(Spirit Media)のCEO、ピーター・カウリー氏は「我々の見立てでは、広告収益はお小遣いに過ぎない。本物の収益はそれ以外であげるものだ」と語り、次のように述べている。「テレビと比べれば、YouTubeやFacebook上に存在するコンテンツの量には際限がない。希少性がなければ価値は生み出せない」。
スピリットメディアでは、商品販売や番組クリップの販売、ブランデッドコンテンツ、そして最近加わったギフティングといった、5つの収益源が柱となっている。
数週間前に、スピリットメディアが保有しているYouTubeチャンネルのひとつで、80万人が登録している「ライオン・ウィスパラー(The Lion Whisperer)」がYouTubeの会員制度に加わった。月に4.99ポンド(約715円)払った視聴者のみが、特製バッジや専用の動画、メンバーのみが見られる投稿といった特典が得られる仕組みだ。カウリー氏によると、登録者はまだ数百人しかいないものの、その収益だけですでにチャンネルの広告収益に匹敵しているという。一般的なルールとして、YouTubeで動画が100万回視聴されるとおよそ1000ドル(約11万円)の広告収益が発生する。「ライオン・ウィスパラー」の動画あたりの再生数はおよそ数十万だ。
カウリー氏は次のように語る。「昔ながらのパブリッシャーや放送局、制作会社は常に大衆を相手にしてきた。そこから抜け出せていない企業が多い。デジタルは、ディープでニッチな世界でコミュニティを築くことが重要になる。何か興味をひきつけるものが必要なのだ。こうした収益源がビジネスになりうるほど大きくなったのはつい最近のことだ」。
もちろん、デジタルプラットフォームでのブランド構築との共通点も多い。「ブランドを構築する要素全体にいえることだが、裏側を見ることで収益源となるものを見つけ出すことができる」と、カウリー氏は語る。
業界が成熟し、コンテンツが拡大して、プラットフォームのアルゴリズムが整備されることで、大量のオーディエンスを獲得することも、広告収益のスケーリングも難しくなる。
多彩な収益モデルが編み出され、そのなかから非常に効率的な収益源が登場する。たとえば制作会社のコネクテッドセット(Connected Set)では制作物の半分が短尺コンテンツとなっており、制作したコンテンツを世界配信するプラットフォームとのライセンス契約が全収益の25%を占めている。この収益は拡大を続けており、ここ数週間で世界配信を行っているプラットフォームからの短尺コンテンツの需要が大きく増えている。SVOD(月額定額課金のストリーミング)のプラットフォームが世界のさまざまな地域で誕生しつつあるためだ。
コネクテッドセットの共同創設者のジェイク・カッセルス氏は「現在取り組んでいるのは、知的財産の構築だ」と語る。同社ではYouTubeで展開しているコメディアニメチャンネル「マッシュド(Mashed)」のキャラクターの商品販売を進めている。マッシュドに関し、同社はイギリスの公共テレビ局であるチャンネル4(Channel 4)とも提携している。
カッセルス氏は、次のように語った。「放送事業者は制作予算を減らしていくだろう。制作に全資金をつぎ込むかわりに、制作会社が販売代理店から収益を得るか、赤字を補填することを期待している。これまで以上に番組づくりに創意工夫が求められるようになる」。
Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
とはいえ10分以内に収まる短尺コンテンツの台所事情は厳しい。予算は1分間あたり1000ポンド(約14万円)から2000ポンド(約28万円)の間になることが多いが、問題は広告による収益化が難しい点にある。英国では、ここ数カ月間でFacebookやSnapchatといったプラットフォームが短尺の非独占コンテンツでも収益化できるようにしたことで、コンテンツの所有者は新たな収益源を手にすることとなった。
コンテンツ制作企業のバークロフト・メディア(Barcroft Media)の創設者でありCEOのサム・バークロフト氏は、短尺コンテンツについて次のように述べている。「当社オリジナルの短尺コンテンツについて、投資効果を最大限に確保しつつ、リスクを分散するやり方を見つける必要があった。将来を見据えている企業にとって、複数の収益源の確保は必須だ」。
理想的なシナリオ
理想的なシナリオとして、短尺コンテンツは長尺番組を作る前にコンセプトの試験運用として活用できる存在だ。うまくいけばオーディエンスを抱えるテレビ局にその長尺番組を販売でき、果ては世界配信による新たな収益源の確保まで狙えるというわけだ。実際、バークロフトの短尺番組「メイキング・マッド(Making Mad)」の成功を目の当たりにして、Netflix(ネットフリックス)は同社にインテリアデザイン番組の「拝見! こだわりの住空間(Amazing Interiors)」の制作を依頼した。
バークロフトはほかにも5つの収益源を確保している。たとえばブランデッドコンテンツや、BBCなどの放送局各社とのコンテンツ配信契約、FacebookやSnapchatなどプラットフォームからの広告収益などだ。バークロフトがスケーリングによって得ている利益は大きく、2月時点と比較してプラットフォームから得ている収益は、5倍にまで伸びた。今後も成長の余地は大きく、WARCは世界的なAVOD(広告付き動画配信)への支払額は現在の238億ドル(約2.6兆円)から2023年には倍の466億ドル(約5.2兆円)に達すると予測している。
「持続可能性の観点からすれば、非独占型の配信契約の方がはるかに良い。商業モデルとして、パブリッシャーとプラットフォームの双方にとって利益がある形態だ」と、バークロフト氏は指摘する。当然、十分な収益を得るには規模と視聴時間が重要になる。
会員制度という手段
コンテンツ制作スタジオのスピリットメディア(Spirit Media)のCEO、ピーター・カウリー氏は「我々の見立てでは、広告収益はお小遣いに過ぎない。本物の収益はそれ以外であげるものだ」と語り、次のように述べている。「テレビと比べれば、YouTubeやFacebook上に存在するコンテンツの量には際限がない。希少性がなければ価値は生み出せない」。
スピリットメディアでは、商品販売や番組クリップの販売、ブランデッドコンテンツ、そして最近加わったギフティングといった、5つの収益源が柱となっている。
数週間前に、スピリットメディアが保有しているYouTubeチャンネルのひとつで、80万人が登録している「ライオン・ウィスパラー(The Lion Whisperer)」がYouTubeの会員制度に加わった。月に4.99ポンド(約715円)払った視聴者のみが、特製バッジや専用の動画、メンバーのみが見られる投稿といった特典が得られる仕組みだ。カウリー氏によると、登録者はまだ数百人しかいないものの、その収益だけですでにチャンネルの広告収益に匹敵しているという。一般的なルールとして、YouTubeで動画が100万回視聴されるとおよそ1000ドル(約11万円)の広告収益が発生する。「ライオン・ウィスパラー」の動画あたりの再生数はおよそ数十万だ。
コミュニティ形成が肝
カウリー氏は次のように語る。「昔ながらのパブリッシャーや放送局、制作会社は常に大衆を相手にしてきた。そこから抜け出せていない企業が多い。デジタルは、ディープでニッチな世界でコミュニティを築くことが重要になる。何か興味をひきつけるものが必要なのだ。こうした収益源がビジネスになりうるほど大きくなったのはつい最近のことだ」。
もちろん、デジタルプラットフォームでのブランド構築との共通点も多い。「ブランドを構築する要素全体にいえることだが、裏側を見ることで収益源となるものを見つけ出すことができる」と、カウリー氏は語る。
業界が成熟し、コンテンツが拡大して、プラットフォームのアルゴリズムが整備されることで、大量のオーディエンスを獲得することも、広告収益のスケーリングも難しくなる。
知的財産の構築
多彩な収益モデルが編み出され、そのなかから非常に効率的な収益源が登場する。たとえば制作会社のコネクテッドセット(Connected Set)では制作物の半分が短尺コンテンツとなっており、制作したコンテンツを世界配信するプラットフォームとのライセンス契約が全収益の25%を占めている。この収益は拡大を続けており、ここ数週間で世界配信を行っているプラットフォームからの短尺コンテンツの需要が大きく増えている。SVOD(月額定額課金のストリーミング)のプラットフォームが世界のさまざまな地域で誕生しつつあるためだ。
コネクテッドセットの共同創設者のジェイク・カッセルス氏は「現在取り組んでいるのは、知的財産の構築だ」と語る。同社ではYouTubeで展開しているコメディアニメチャンネル「マッシュド(Mashed)」のキャラクターの商品販売を進めている。マッシュドに関し、同社はイギリスの公共テレビ局であるチャンネル4(Channel 4)とも提携している。
カッセルス氏は、次のように語った。「放送事業者は制作予算を減らしていくだろう。制作に全資金をつぎ込むかわりに、制作会社が販売代理店から収益を得るか、赤字を補填することを期待している。これまで以上に番組づくりに創意工夫が求められるようになる」。
Lucinda Southern(原文 / 訳:SI Japan)
国税庁が5月25日に発表した「平成29年分の確定申告状況等について」によると、平成29年分の所得税の確定申告書を提出した人は2,198万人で、平成23年分からほぼ横ばいで推移した。確定申告書を提出した人のうち、申告納税額がある人は前年比0.6%増の640万8,000人、所得金額は同3.4%増の41兆4,298億円に増加した。日経新聞の報道によると、全体の申告から公的年金以外の雑所得の収入が1億円以上あった549人を抽出したところ、仮想通貨取引による収入があった資産1億円以上を持つ「億り人」は331人だった。
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