これからの50代は子どもの教育費、住宅ローン返済が重なり、もっとも家計が厳しい年代になります。

50代でお金に困らない! 40代で準備しておく4つのこと

ビンボー50代になるかならないかは、40代の過ごし方にかかっています。では、40代で、お金に関して、どんな点に注意したらいいのか、4つのチェックポイントで具体的に紹介しましょう。

40代のうちから、50代、60代になってからのマネープランを詳細に計画することは難しいかもしれません。10年程度のライフプラン表、マネープラン表を作ることで、ひとつのきっかけにはなりますが、いつどんな突発的なことがあるか誰にもわかりません。

でも、だからといって40代のうちに何もしないのでは、漠然とした不安を抱えたまま、老後を迎えることになってしまいます。今、準備しておく、予定しておくことは非常に重要なことです。

お金に関することでは、以下の4つが今やっておくべきチェックポイントです。

1. 今の家計と将来の家計予算を比較し、チェックしておく

40代の家計支出は、子どもの成長とともに膨らむ一方。高校進学で最初の教育費のピークがやってきます。学資保険やこども保険などで用意している家庭も多いでしょう。さらに大学進学に備えて教育費の積立もしっかりやっておきたいところです。

日々の家計支出では、夫婦+アルファで済んでいた食費をはじめ、洋服代や子どものスマホ代など、子どもにかかる生活費も1人分として予算組みをしないといけない時期になっています。これは50代になっても続くことです。

家計支出が膨らむ時期にさしかかると、自分たちの老後資金を考えるゆとりはなくなります。また、無理に節約しようとするとストレスを溜めることにもなります。この段階ですべきなのは、現在の家計をもう一度洗い出し、費目ごとに膨らんでいる支出が何かを把握することです。

そのうえで、50代、60代になったときに、減らせるであろう費目や金額が把握できれば、この10年を乗り切る覚悟もできるでしょう。現状と将来の家計を比較、チェックしておくことで、支出に歯止めをかけることもできます。

今、将来に向けたチェックをせずに、流れのまま50代、60代になったとき、「いざ生活費のダウンサイジングを」と思っても、生活のレベルを変えることが難しくなります。もちろん、そのときに余裕があれば別ですが、50代、60代で生活が苦しくなるのは、生活パターンを変えることができないからです。

2. 子どもの進学時期と住宅ローンの見直しはずらして考える

住宅を購入する際に、子どもが小学校や中学校に上がる前にと考える家庭は少なくありません。しかし、そのときに住宅ローンの返済期間と、子どもの年齢をリンクさせて考えることは、あまりないでしょう。

たとえば、10年固定で借りた場合、10年経過後は、そのまま固定金利にするか変動金利にするか、選択しなければなりません。その時期に子どもの進学など重大な時期にさしかかった場合、住宅ローン金利の選択でも頭を悩ますことになります。どちらも家族にとっては重要な決断です。
万一、重なることがわかっていれば、事前に、そのときに住宅ローンはどういう選択にするのか、どういう金利状況なら固定金利にするのか変動金利にするのかという方針を決めておくことが大切です。

また、住宅ローンを繰り上げ返済していく場合は、やはり子どもの教育費との兼ね合いで、教育資金を貯めることを優先するのか、先に繰り上げ返済をしていくのか、考えておく必要もあります。教育資金の目途が立っていないまま、繰り上げ返済に手元資金を使ってしまうリスクも考えるべきでしょう。

限りある収入から、どう貯蓄し、いくら返済に回していくのか。お金の割り振りを計画的に行う準備をしておきましょう。退職金で残りの住宅ローンを一括返済するから大丈夫、という考えは老後破綻につながります。

3. 医療保険の見直しはラストチャンス

住宅ローン同様、人生で大きな買い物である生命保険。多くの場合、子どもが独立するまでの期間の保障額を手厚く確保しているはずです。今は通販型の割安な定期保険で準備している家庭も増えています。こうしたケースでは、子どもの年齢とリンクさせて保険期間を決めているはずなので、40代の今、あまり心配することはないでしょう。

問題なのは、結婚したばかりのころの保険をそのままにしているケースや、子どもの年齢とリンクさせて保険期間を設定していないケース。いずれも必要な期間、十分な保障額が確保できていない可能性があるからです。

本来、子どもが生まれ、家族構成が変化したら生命保険も見直しが必要です。結婚時に加入したからと見直しをしていないと、万一のときに子どもに十分なお金を遺すことができなくなります。

また、従来の生命保険では、60歳までの保障を厚くするといった父親の年齢で保険期間を決めるケースが少なくありませんでした。しかし、60歳の時点で子どもが独立していないなら、子どもが20歳、22歳までの保障を確保する必要があります。一方、子どもが独立したあとは、保障額を減らすことができます。

再度、家族の年齢と照らし合わせて、生命保険の保険期間と保障額をチェックし、不足する分は追加で加入する、何年後には減額できるなどの対応を確認しておくことようにしましょう。

医療保険に関しては、単独の医療保険なのか、定期付き終身保険などセット型・総合型の保険の特約なのかを確認しましょう。特約で加入している場合は、終身保障ではなく、ある年齢で保障がなくなるケースがほとんど。40代の今は健康不安がないからと、そのままにしておいてはいけません。病気になってから新たな保険に加入するのは、非常に難しいのです。

健康な40代の今、医療保険についても、見直しをしておくべき。そのラストチャンスの年代だと認識しましょう。

4. 定年後の過ごし方の下調べは、動ける40代から進めておく

最後に、定年後の過ごし方への準備についても紹介しましょう。定年退職したら海外に移住、田舎に移住、お店を開きたい、趣味を生かした仕事につきたい、と定年退職後の生活に何かイメージを持っている人は多いでしょう。

セカンドライフをどう過ごすかは、何も50代になってから考えることではありません。今、40代で何かイメージを持っているのなら、40代を下調べの時間と捉えるといいでしょう。

子どもが小さいうちは、子ども中心の旅行先になりますが、1年に一度は移住先を探す旅にしてもいいかもしれません。旅行中も各所を転々と回るのではなく、滞在型の旅行ならその場所での生活イメージも湧きやすくなります。

シニア起業にチャレンジする人も、最近は多くなっています。これまでの経験を生かしたり、趣味を生かしたお店を開いたりと、今の60歳はアクティブで隠居するには早すぎます。

定年退職後に、こうしたことを考え始めても遅くはありませんが、現役で働いている40代だからこそ得られる情報は多くあります。人脈を広げるのもそのひとつです。資金的にもいくら必要なのか、それをどう準備すればいいのかも計画しておくことが大事です。

50代になってから、と思っているうちに、あっという間にその年代はやってきます。そして今以上に忙しく、生活や家族のことを考えなくてはいけなくなってきます。元気でカラダが動くうちに、頭が柔らかいうちに、下調べをしておいても無駄にはならないでしょう。

筆者は、40代でここにあげた4つのことを実践してきました。そのことによってビンボー50代にならずに済むのかは、これからにかかっていますし、もちろん想定外のことも起きるでしょう。しかし、心の準備、お金の準備を前倒しでできたことは、50代に突入した今、少しばかりの安心材料です。

40代だからこそ、やっておきたいお金のこと。ぜひ一度、考えてみてください。
(文:伊藤 加奈子(マネーガイド))